ジェネリック医薬品とは?先発品との効果・副作用の違い
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ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品は、国がその使用を進めていることもあって、かなり浸透してきました。患者さんから、「ジェネリックありますか?」と聞かれることもあります。
ジェネリック医薬品とは、特許が切れた成分で作られたお薬になります。お薬によりますが、様々な製薬メーカーがジェネリック医薬品を作っています。広く使われるお薬ほど多くの製薬会社から作られています。
最近ではオーソライズド・ジェネリック(AG)といって、先発品メーカーが割り切って全く同じ成分でジェネリックを作ることもあります。「どうせジェネリックが普及して先発品が売れなくなるなら、ジェネリックを作ってシェアをキープしよう」ということなのでしょう。もはや先発品と同じになりますので、患者さんの負担を考えればジェネリックにしてしまったほうが良いです。
それでは、どのメーカーのジェネリックになるのかというと、それは処方箋をもっていく薬局さん次第になります。同じ成分のジェネリックであっても、
- 剤形の違い
- 卸値の違い
- 流通経路の違い
- 担当営業さんの対応の違い
などがありますので、薬局さんごとに製薬メーカーを選んで用意しています。
ここではジェネリック医薬品について、効果や副作用の違いなどをお伝えしていきます。
ジェネリック医薬品と先発医薬品はどこが違う?
新薬の開発には莫大な費用がかかります。このため、新薬を開発した会社にはその開発費を回収するために、特許で知的財産が守られます。一定期間、独占的に薬を販売する権利が与えられます。この期間を過ぎると、成分の特許がきれます。
一定期間とは、薬によって異なります。有効成分を見つけ出し、それを特許庁に申請してから20~25年の期間になります。臨床試験や承認審査にかかった時間が含まれるので、多くの場合は新薬の発売から10年ほどになります。
ジェネリック医薬品とは、この特許の切れた成分で開発された薬です。先発品の成分の情報を使って、他の会社が作ったものになります。特許がないので開発費が抑えられますので、価格が先発医薬品の5割程度からはじまり、どんどんと安いものが出てきます。
作った企業が違ってもどこもそんなに変わらないでしょ・・・と思われるかもしれませんが、これは異なります。特許がきれたといっても、それは薬の効果とその目的に対する特許である「物質特許と用途特許」だけなのです。
お薬の特許には、新しい製造方法に対する「製法特許」や、薬の製剤工夫に対する「製剤特許」などがあります。これらに関しては特許が切れていない場合が多いです。このため成分がまったく同じであっても、その薬自体の工夫を使う事はできなくなってしまいます。ですから、薬の溶け方や吸収のされ方などが、製薬メーカーによって微妙に変わってきてしまいます。
ジェネリック医薬品の効果と品質
それでは、ジェネリック医薬品はどの程度の品質が保証されているのでしょうか?ジェネリック医薬品が開発されるのは、先発品で10年以上使われた後になります。ですから、薬の効果などはデータが蓄積していますし、毒性や用法や用量も判明しています。このため、ジェネリック医薬品が開発の中で求められるのは、
- 製剤の吸収
- 排泄・薬の安定性
の2つです。
これらを踏まえて、「先発医薬品と生物学的同等性を示すこと」が認可の条件となっています。どうやって示すのかといいますと、健康な成人が先発品と後発品を、期間をずらして服用します。その時の血中濃度の変化が類似していることを示す必要があります。その誤差は80~125%の間とされています。
このように感じると誤差がとても大きいように感じるかもしれません。この差は45%の誤差があるという意味ではなく、薬の吸収や代謝には個人差があるので、この範囲に収まっていれば統計的に同じ作用と考えてもよいということなのです。
実際に930ものジェネリックと先発品を比較すると、最大血中濃度では4.61±3.41%の差しかなかったと報告されています。
薬の研究がはじまってから特許がきれるまで、20年以上の年月が経っていることが少なくありません。その中で技術力は確実に上がっています。例えば、本当は少ない量の有効成分でも同等の効果をだせるけれど、制度にあわせて仕方なく吸収を遅らせるようにするケースもあります。
このように、製薬メーカーそれぞれの技術力は高まっていますので、品質自体は大きな問題がないことがほとんどだと思います。
ジェネリック医薬品で気を付けることは?
ジェネリック医薬品に対して、批判的な意見もあります。
- 安全性の試験は全くおこなっていない
- 誤差があまりに大きい
- 効き方がかわってしまう
ですが、ちゃんと使い分ければ大きな問題にならないことがほとんどです。
ジェネリックを使っていて何か問題が起きたとしても、成分のことでしたら先発メーカーのMR(製薬会社の営業)さんに確認をすることができます。安全性に関しては、先発品での長い年月でのデータの蓄積があります。
先発品とジェネリックの誤差が大きいと感じるかもしれませんが、薬の代謝は個人差もありますし、そこまで安定しているものではありません。そもそも、きっちりと欠かさずに薬を決まった時刻に飲める人もそう多くはありません。たまには飲み忘れることもありますよね。
ただし先発品とジェネリック医薬品とで、効き方がかわってしまうのは事実です。薬が効きすぎる、効果が出にくい、副作用がでてきた、などといった差が生じてくるわけです。ですから患者さんの状態や薬の目的によっては、急に変更することが適切ではない場合があります。
- 安定していない患者さん
- 睡眠導入薬など、効果の時間(半減期)が重要なお薬
- 血中濃度を維持することが大切なお薬(気分安定薬や抗てんかん薬など)
また、ジェネリックも製薬メーカーによって多少の違いがありますし、処方箋薬局によって異なってしまいます。このため、
- かかりつけの薬局を決める(できれば同じジェネリックにする)
ことも大切かと思います。
これらを意識してジェネリック医薬品に切り替えていければ、効果や副作用面で問題になることは少ないです。ジェネリック医薬品に切り替えることで、患者さんの経済的な負担も軽減されます。
ジェネリック医薬品でおかしいと思ったら
ジェネリックに切り替えた時に調子を崩される方は、心の病気では少なくありません。もちろん多少なりとも、薬効が変化しているのは間違いなくあります。
ですが、「お薬が後発品に変化した」ということ自体で動揺してしまう方もいらっしゃいます。心の病気の患者さんは変化に弱い方が多いですし、不安が強い方が多いです。このような時は、主治医の先生とよく相談して、先発品に戻すべきか相談してください。
ずっとジェネリックを服用していても、効果が違って感じることもあります。その時にまず思い返していただきたいのは、いつもの薬局でもらった薬かどうかです。ジェネリック医薬品は様々な種類があります。薬局によっては採用しているジェネリック医薬品が異なることもあります。
とくに変わりなく服用している場合は、症状の変化ととらえた方がよいので、主治医に相談してください。
ジェネリック医薬品の普及状況
ジェネリック医薬品はお薬が安いので、国の医療費の負担も軽減されます。日本の医療費が年々増加しているのはご周知かと思います。その中でいかに医療費を抑制するのか、一つの対策としてジェネリック医薬品への切り替えを国がすすめています。
ですが日本では、ジェネリック医薬品はそこまで浸透していませんでした。これは日本の医療保険制度に原因があります。1~3割の自己負担の中では、そこまで薬の価格に対して患者さんが敏感にならないためです。欧米では、医療費は個人や民間会社にかかってきます。このため、少しでも安いジェネリック医薬品に切り替えようとする流れが自然とできていました。
平成25年のデータで見ると、世界35か国の平均は約62%となっており、アメリカは約80%、イギリスでも約70%ですが、日本は約25%にとどまっていました。協会けんぽの発表では、平成31年1月では79.1%となっており、かなり力を入れて進められているのがわかります。2020年9月までに80%を目標としています。
まとめ
ジェネリック医薬品とは、特許のきれた成分で作った別会社の薬です。
ジェネリック医薬品は、先発品と比べて80~125%の範囲にあるものが統計的に同じとされています。930もの先発品とジェネリック医薬品を比較した研究では、最大血中濃度では4.61±3.41%の差しかなかったと報告されています。
以下のケースでは、効果が先発品と変わるかもしれないことを念頭に置いて、慎重に切り替えましょう。
- 安定していない患者さん
- 睡眠導入薬など、効果の時間(半減期)が重要なお薬
- 血中濃度を維持することが大切なお薬(気分安定薬や抗てんかん薬)
また、
- かかりつけの薬局を決める(できれば同じジェネリックにする)
ことも大切です。ジェネリックでおかしいと思ったら、遠慮なく主治医と相談してください。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:お薬の基礎知識 投稿日:2020年8月8日
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