貧血の症状・診断・治療
貧血とは
貧血とは血液中の酸素を運ぶ役割を担うヘモグロビンの濃度が低下し、全身が酸素不足となる状態です。
そのため、不足した酸素を取り込むために心臓や肺が過剰に働き、動悸や息切れなどを引き起こします。
貧血となる原因はさまざまですが、もっとも多いのが鉄欠乏性貧血です。
貧血患者の70%が鉄欠乏性貧血であるとされています。
貧血と指摘されたにもかかわらず放置してしまうと、心臓をはじめとしたあらゆる臓器に負担がかかるので、医療機関で治療を受けるようにしましょう。
貧血の症状
貧血の症状は以下のような症状が現れます。
- 疲れやすい
- 息切れや動悸
- めまいや立ちくらみ
- 耳鳴り
- 頭痛
- 肩こり
- 強い眠気
- 食欲不振や悪心
- 性機能低下
本来であれば赤いはずの眼瞼結膜(目の下の部分)が、アッカンベーをしたときに真っ白になっている状態がもっともわかりやすい所見となります。
貧血かもと不安になった際は自分でかんたんに確認できるので、目の下が白くなっていたら血液検査を受けてみるのもよいでしょう。
また、全身が酸素不足となることに慣れてしまい、症状に気づかないという方も少なくありません。
原因によっては合併症が認められることもあるため、貧血と指摘された場合はしっかり治療を受けることが大切です。
この他に、鉄欠乏性貧血や巨赤芽球性貧血で出現する特有の症状を解説していきましょう。
鉄欠乏性貧血の症状
鉄欠乏性貧血では、鉄分が不足することで以下のような症状が出現します。
- スプーン状に爪が反って薄くなる(スプーン状爪)
- 食べ物が飲み込みにくい
- 舌炎や口角炎
- 異食症(氷や硬いものが食べたくなる)
- むずむず脚症候群
巨赤芽球性貧血
巨赤芽球性貧血では、ビタミンB12が不足することで次のような症状が現れます。
- 舌がツルツルになって痛む(悪性貧血では舌の痛みや味覚障害などをともなうハンター舌炎)
- 年齢不相応の白髪
- 食欲不振や下痢
- 末梢神経障害
貧血の診断
末梢血管内の血中ヘモグロビン(Hb)濃度が基準値以下となった際に貧血と定義されます。
ヘモグロビンの基準値は以下の通りです。
- 成人男性:13~14g/dL未満
- 成人女性:12g/dL未満
- 80歳以上:11g/dL未満
- 妊婦:10.5~11g/dL未満
妊娠中の基準値が低いのは、血液の液体成分(血漿)が増加することでヘモグロビン濃度が薄くなるからです。
出産への出血に備えて生理的に血液量が増えたことにより、ヘモグロビン濃度が薄くなっている状態なので、基準値が低いからといって過度に心配する必要はありません。
しかし、これらはあくまでも目安となり、急激に2g/dL以上の減少が認めらえた場合は基準値を超えていなくても貧血が疑われることもあります。
貧血の治療
貧血は栄養素の不足が原因であれば内科、他の病気が原因であれば血液内科で専門的な治療を行います。
内科で行う貧血の治療は次のような方法が挙げられます。
- 鉄剤を用いた鉄欠乏性貧血の治療
- 不足している栄養素(ビタミン剤)などの補助
赤血球をつくるには鉄やビタミンB12、葉酸が必要です。
これらを補うために以下のような栄養補助薬を用いて治療を行います。
- フェロミア
- フェルム(徐放剤)
- インクレミン(シロップ剤)
- フェロ・グラデュメット(徐放剤)
- フェジン(注射剤)
- メチコバール(一般名:メコバラミン)
- フォリアミン
鉄剤を飲むと便の色が黒くなりますが、鉄の色が含まれているだけなので心配ありません。
ただ、吐き気や下痢、腹痛の副作用が出やすいため、人によっては続けるのが困難となることもあります。
副作用により鉄剤が飲めない方や、吸収力が著しく低下している方は鉄剤を点滴で補う方法もあります。
貧血の予防と食事管理
貧血は治ったとしても、栄養のバランスが乱れると再発する可能性があります。
とくに、吸収されにくい鉄は不足しやすいミネラルなので、鉄欠乏性貧血の方は積極的に摂取するようにしましょう。
鉄を多く含む食品が知りたいという方は、以下を参考にしてみてください。
鉄はヘム鉄と非ヘム鉄に分類されるのですが、ヘム鉄の方が吸収しやすいです。
非ヘム鉄を効率よく吸収するには、ビタミンCを多く含む食品と一緒に食べるとよいでしょう。
しかし、貧血予防は鉄が多く含まれる食品ばかりを食べていればいいというわけではありません。
鉄の他に、赤血球をつくるために必要な栄養素も確認しておきましょう。
- ビタミンB12
- 葉酸
- タンパク質
- ビタミンC
- 亜鉛
- ビタミンB6
- 銅
サプリメントで補助する場合の注意点
栄養バランスのいい食事で対策するのが望ましいですが、忙しくて食生活が乱れがちという方は、サプリメントで補助するのもよいでしょう。
しかし、早く治したいから多く摂取しようと考えてしまう方も多いです。
サプリメントは多忙な方にとって手軽さが魅力ではありますが、過剰摂取とならないよう注意しましょう。
どんな栄養素にもいえることですが、「集中的に」ではなく、「適量をバランスよく」摂取することが大切です。
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田町三田こころみクリニックは、芝浦方面に徒歩3分の慢性疾患に特化したクリニックになります。
昭和大学・慈恵会医科大学・NTT東日本病院と強固に連携しており、血液専門医による専門外来になります。
そのほか、済生会中央病院の医師が勤務しており、安心して治療をうけていただくことができます。
芝浦・田町・三田周辺で貧血や血球検査の健診異常でお困りの方は、ぜひご相談ください。
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