高尿酸血症(通風)の症状・診断・治療
高尿酸血症とは
高尿酸血症とは血液中の尿酸値が高い状態のことをいいます。
女性ホルモンによって尿酸値が調節されるため、女性よりも男性が圧倒的に多いです。
また、尿酸が高いというだけでは自覚症状がないため、治療をせず放置してしまう人も少なくありません。
しかし、進行すると痛風や腎障害、尿路結石の原因となる他、肥満や脂質異常症、高血圧、糖尿病を合併し、動脈硬化が進行するリスクも高まります。
このように、高尿酸血症はさまざまな病気を引き起こす可能性があるため、放置せず早期の段階から治療を行うことが大切です。
高尿酸血症の症状
プリン体が分解されることで老廃物となった尿酸が過剰に作られてしまい、血液中の尿酸が高くなります。
しかし、尿酸値が高いだけであれば症状は現れません。
注意すべきは高尿酸血症が原因となって発症する合併症です。
- 痛風
- 腎障害
- 尿路結石
- メタボリックシンドローム
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 脳血管障害
- 心血管障害
痛風
高尿酸血症が進行すると関節などに尿酸が結晶として現れることで炎症し、痛風発作を引き起こします。
痛風発作が起こりやすい部位は以下の通りです。
- 足の親指
- くるぶし
- かかと
- 足の甲
この他に、膝や手の指、肘などにも起こります。
痛風は激しい痛みが出る症状がよく知られていますが、赤みや腫れが出たり、発熱することもあります。
7~10日ほどで症状が和らぐと発作が出現しない限り、症状は現れません。
しかし、痛風の症状がなくなったからといって放置していると痛風発作を繰り返した末、慢性的な関節炎を引き起こし、痛風結節ができるので注意が必要です。
腎障害
尿酸の結晶が腎臓に沈着すると機能が低下し、腎障害を引き起こします。
さらに、腎障害となることで尿酸が排泄しづらくなり、尿酸値が高くなるという悪循環が生じます。
腎障害が進行すると慢性腎臓病(CKD)や腎不全を引き起こし、透析が必要となることもあるので注意が必要です。
尿路結石
高尿酸血症となると尿が酸性に傾いたり、尿中の尿酸が溶けにくくなったりすることで濃度が高まり、結石ができやすくなります。
尿路とは、以下のような尿を排泄するときの通り道となる部位のことです。
- 腎臓
- 尿管
- 膀胱
- 尿道
尿管に結石ができると、通風と同じように激しい痛みが走ります。
生活習慣病や重篤な合併症
高尿酸血症は高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病と合併しやすいとされています。
生活習慣病の原因となるメタボリックシンドロームもそのうちの一つです。
これらはすべて動脈硬化を進行させるリスクが高いため、脳血管障害や心血管障害が起こり、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気を発症する恐れがあります。
尿酸値を下げることも大切ですが、生活習慣病やメタボリックシンドロームを併発させないよう、生活習慣の見直しを行うことも必要です。
高尿酸血症の診断
血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断され、以下のような3つの病型に分類されます。
排泄低下タイプ:尿酸の排泄量が少なくなる病型
産生過剰タイプ:体内で過剰に尿酸をつくりすぎて排泄しきれなくなる病型
混合型:排泄低下タイプと産生過剰タイプが合わさった病型
投薬治療を行う場合は上記の病型に合わせたお薬の選択が必要です。
高尿酸血症の治療
高尿酸血症は痛風や尿路結石、腎障害などの合併症の発症を予防するために、生活習慣の改善やお薬で治療するのが基本です。
以下の図表のように、痛風や合併症の有無によって治療方針を決定します。
高尿酸血症の治療における血清尿酸値の目標値は6.0mg/dL以下とされており、大きく分けて以下の2種類のお薬を使い分けます。
- 痛風発作治療薬
- 尿酸値をコントロールする治療薬
痛風発作があるときに尿酸値をコントロールするお薬を使用すると炎症が悪化するため、痛風の治療を優先します。
それぞれの治療薬について解説していきましょう。
痛風発作治療薬
痛風発作の前兆期はコルヒチンを投与します。
前兆期に治療が開始できず、痛みの症状が現れている場合は非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)で痛みを改善します。
- ナプロキセン(一般名:ナイキサン®錠)
- オキサプロジン(一般名:アルボ®錠)
- プラノプロフェン(一般名:ニフラン®錠)
短期間に痛風発作が頻発したり、遷延性痛風発作がある場合はステロイドの使用が有効です。
尿酸治療薬
尿酸治療薬は主に以下の2種類を使用します。
尿酸合成阻害薬:体内で尿酸をつくりすぎないようにするお薬
尿酸排泄促進薬:尿酸を排泄しやすいようにするお薬
どちらも尿酸値を下げる働きがあるお薬ですが、尿酸合成阻害薬は尿酸過剰タイプの病型、尿酸排泄促進薬は尿酸排泄低下タイプの病型に使用することが多いです。
腎臓や心臓などの病気や副作用を考慮しながら処方します。
尿酸産生抑制薬:フェブリク(一般名:フェブキソスタット)・ザイロリック(一般名:アロプリノール)・トピロリック/ウリアデック(一般名:トピロキソスタット)
尿酸排泄促進薬のユリノームでは頻度が低いものの、重篤な肝障害を引き起こす可能性があります。
さらに、ユリノームは肝障害・腎結石がある方や、妊娠・あるいは妊娠の可能性がある患者さんでの使用が禁忌となっていました。
2020年に承認された比較的新しいお薬の「ユリス(一般名:ドチヌラド)」であれば、肝機能障害となるリスクが低く、ユリノームが禁忌とされている患者さんでも問題なく使用できます。
ユリスは使用頻度が高い従来の尿酸排泄促進薬と同等の効果に期待できると考えられています。
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