睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状・診断・治療

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは、その名の通り睡眠中に何度も無呼吸になる病気です。

無呼吸状態を繰り返すことで睡眠の質を悪くするだけでなく、全身が低酸素状態となり、体の負担も大きくなります。

深い睡眠がとれず、日中に強い眠気に襲われることもあるため、仕事や日常生活に支障が出るケースも少なくありません。

体型に関係なく発症する可能性があるので、日中の眠気に悩んでいる方は睡眠の状況が把握できるアプリで確認してみるのもよいでしょう。

睡眠時無呼吸症候群の原因と種類

睡眠時無呼吸症候群の原因は種類によって異なります。

  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(O-SAS)
  • 中枢性睡眠時無呼吸症候群(C-SAS)

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は空気の通り道が狭くなることで無呼吸となる病態です。

大部分は閉塞性睡眠時無呼吸症候群である方が多く、以下のことが原因となって空気の通り道が狭くなります。

  • 肥満
  • 扁桃肥大
  • 飲酒をする習慣がある
  • 上向きで眠る
  • 下あごが小さい
  • 高齢
  • 鼻がつまっている

睡眠時無呼吸症候群は肥満の方がなりやすいと思ってしまいがちですが、痩せている方でも発症するリスクがあるので注意が必要です。

その一方で、中枢性無呼吸症候群は何らかの病気が原因となり、中枢神経が集まる脳幹で、呼吸に関連する筋肉に正しい信号が出せていない状態を引き起こす病態です。

中枢性無呼吸症候群には次のような病気などが影響しています。

  • 脳や脊髄の病気
  • 心臓に影響を与える病気
  • 呼吸を抑制する薬などの影響

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群の症状は次のようなものが挙げられます。

  • いびき
  • 睡眠中に無呼吸状態となる
  • 目が覚める
  • 日中の強い眠気
  • 常に疲労感やだるさがある

上記のなかで最もわかりやすい症状がいびきです。

約10秒息が止まり、再び大きないびきをかき始める場合は睡眠時無呼吸症候群である可能性が高いといえるでしょう。

重度であれば低酸素状態となり、体が危険と認識して目が覚めてしまうこともあります。

そのため、睡眠をとっても十分な休息にならず、日中に我慢できないほどの眠気に襲われることも少なくありません。

重篤な合併症

睡眠中に気道が狭くなり、無呼吸状態になると全身が酸素不足に陥ります。

全身が低酸素状態となれば、本来は夜に休むはずの心臓が激しく動くことにより負担がかかります。

そのため、睡眠時無呼吸症候群の方は心不全を併発することが多いです。

心臓が激しく働いても低酸素状態が続いた場合は、以下のように重篤な病気を引き起こす可能性もあります。

  • 心筋梗塞
  • 不整脈
  • 脳卒中

睡眠中に少し呼吸が止まるだけと軽視せず、あまりに酷いいびきをかくようであれば、一度検査を受けてみるとよいでしょう。

睡眠時無呼吸症候群の診断

睡眠時無呼吸症候群は、無呼吸低呼吸指数(AHI:apnea hypopnea index)の数値をもとに診断します。

AHIとは、1時間あたりの低呼吸と無呼吸の値を合算した数値のことです。

もう少し詳しく以下の図で解説します。

睡眠時無呼吸症候群のAHIについて、医師が詳しく解説していきます。

重症度の指標となるAHIの数値は以下の通りです。

  • 正常:AHIが5未満
  • 軽症:AHIが5~15未満
  • 中等症:AHIが15~30未満
  • 重症:AHIが30以上

つまり、AHIが5以上であれば睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群の治療はCPAP(シーパップ)を使用するのが一般的ですが、歯科医院との連携によって治療を行うマウスピースや外科矯正手術という選択肢もあります。

CPAPは就寝中にマスクを取り付け、加圧した空気を鼻から送り込むことによって気道にある一定の圧力をかける治療です。

気道に圧力をかけることで狭くなった部分が広がり、空気の通り道が確保できるようになるため、低酸素状態を改善します。

CPAPの実際の使用状況を医師が詳しく解説します。

一見すると眠りづらいのではないかと思うかもしれません。

しかし、CPAPは導入したその日から効果を実感しやすく、翌朝からスッキリ目が覚めたという方や、日中の眠気が改善したという方も多いです。

また、CPAPは根治治療ではないので、毎日継続する必要があります。

「マスクの装着感が合わない」「圧が強くて眠れない」などの悩みがある方は、医師に相談してみましょう。

CPAPの導入基準と費用

CPAPの導入基準は以下のように定められています。

  • 簡易アプノモニター:AHIが40以上
  • ポリソムノグラフィー(PSG):AHIが20以上

上記の通り、簡易アプノモニターで睡眠時無呼吸症候群と診断されたとしても、重度でなければCPAPは導入できません

しかし、睡眠時無呼吸症候群は軽度だからといって放置していると、心臓や脳へのダメージが蓄積してしまう病気です。

中等症の睡眠時無呼吸症候群の方は、可能であればポリソムノグラフィー(PSG)検査を行い、CPAPが導入できるか確認してみることをおすすめします。

また、CPAPは根治を目的とした治療ではありません。

途中で辞めてしまえば睡眠時無呼吸症候群が再発してしまう可能性もあるため、CPAPを継続するために毎月の通院を行い、再発予防として長期的な治療が必要です。

費用が気になるという方は以下を確認してみてください。

CPAPの費用(保険適用)
  • 3割負担:4,350円
  • 1割負担:1,450円
※別途、受診料がかかります。

お困りの方は当院のSAS/CPAP外来へ

田町三田こころみクリニックは、芝浦方面に徒歩3分の生活習慣病に特化したクリニックになります。

済生会中央病院・NTT東日本関東病院・昭和大学病院と強固に連携しており、専門医による内科診療を行っています。

入院でのSAS検査も連携可能ですし、在宅でも精密検査まで行うことができますので、安心して通院いただくことが可能です。

芝浦・田町・三田周辺で睡眠時無呼吸症候群でお困りの方は、ぜひご相談ください。

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