治験のメリットとデメリット
治験のメリットとデメリット
新薬を世の中に生み出すためには、治験は重要になります。
しかしながら、治験というと怖いイメージを持たれる方も少なくないでしょう。
患者さんにお話しすると、「治験=人体実験」と誤解されてしまうことも多いです。
治験にはデメリットがあるのも確かですが、患者さんにとってもメリットもあるものになります。
ここでは、患者さんにとって治験にはどのようなメリットとデメリットがあるのかをお伝えしていきたいと思います。
治験のメリット
それではまず、治験のメリットからお伝えしていきたいと思います。
- 最新の治療薬を受けられることがあります。
- 医師による診察がより丁寧になります。
- コーディネーターによるサポートが受けられます。
- 製薬会社が治療費を一部または全部、負担してくれます。
- 来院や検査のたびに、負担軽減費を受け取れることが多いです。
- 新薬を世の中に出していく社会貢献ができます。
患者さんにとっての治験のメリットとしては、以上のような点があげられます。
「治験とは?」でもお伝えさせていただきましたが、まったくの新薬の治験というのは、日本ではとても少ないです。
海外ではすでに実際に使われているお薬を日本でも使えるようにするために、治験が行われることが多いです。
そういう意味では、治験によって海外のお薬が使えるチャンスがあります。治療の選択肢が広がるのです。
また治験中は、そのお薬の効果や副作用をしっかりと確認するため、医師側も評価していく必要があります。
治験によって方法は異なりますが、スコアシートなどを使いながら患者さんの状態を評価していきますので、客観的に治療を評価していくことになります。
そして治験中は、コーディネーター(CRC)というサポートスタッフが担当します。治験薬のことはもちろん、治療などのサポートを受けられます。
費用的なメリットもあります。
治験によっても異なりますが、製薬会社が治療費を負担してくれることがあります。検査や通院のたびに、負担軽減費(1回7000円ほどが多い)を受け取れることがあります。
そして治験は、新薬を世の中に出していくために必要不可欠です。
あなたが治験を受けることで、多くの患者さんの治療選択肢が広がる一助になります。そういう意味では、社会貢献ともいえるかと思います。
治験のデメリット
続けて、治験のデメリットについてみていきましょう。
- 服用内容がわからないことがあります。
- 偽薬(プラセボ)が使われることがあります。
- 現在服用中のお薬を中止する場合があります。
- 時間や労力がかかります。
- 転院が難しくなります。
- 予想しない副作用が生じることがあります。
治験の最大のデメリットは、薬の使い方を自由に決めることができない点です。
服薬内容がわからなかったり、偽薬(プラセボ)が使われることがあります。
お薬の効果や副作用をしっかりと確認するためには、医者も患者さんも先入観があってはいけません。ですから、服用内容を医師もわからないことがあるのです。
また治験によっては、現在服用中のお薬を中止しなくてはいけないこともあります。
そして治験は、スケジュールに従って受診をしなくてはいけません。時間と労力がかかってしまいます。
治験中は転院も難しくなってしまいます。
治験に至るまでに安全性は検証されていますが、それでも予期しない副作用が出現する可能性はあります。
治験では安全性を第一に進めていきますが、そういったリスクはゼロではありません。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了