ベンゾジアゼピン系抗不安薬の作用時間・効果による使い分け

抗不安薬(精神安定剤)は使い分けも大切です

不安や緊張を速やかにしずめてくれる抗不安薬(精神安定剤)は、症状が辛いときの頓服薬としても優れた特徴を持っています。

現在使われている抗不安薬は、ほとんどが『ベンゾジアゼピン系』という分類で、脳のリラックス物質GABAの働きを高め、抗不安や催眠などの効果を発揮します。

しかし、同じベンゾジアゼピン系抗不安薬といっても作用時間や効果の強さには違いがあり、状態に合わせて選ぶことが大切です。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の効果と作用時間の比較

現在日本で発売されているベンゾジアゼピン系抗不安薬のうち、よく使われているものの作用時間と効果の強弱を一覧表にまとめてみました。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

これ以外にも、ベンゾジアゼピン系抗不安薬はたくさんの種類があります。一般的にはあまり目にすることがありませんが、服用されている方もいるかと思いますので、こちらも参考にしてください。

マイナーな抗不安薬の比較

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の作用時間・効果と使い分け

抗不安薬の作用時間は、

  • 「ピーク」(お薬の血中濃度が最高になるまでの時間)
  • 「半減期」(血中濃度が半分に減るまでの時間)

をみると、ある程度予測することができます。それにより、

  • 短時間型
  • 中間型
  • 長時間型
  • 超短時間型

の4つの分類がされています。

それぞれの特徴・種類・使い分けをみていきましょう。

短時間型

短時間型は、速やかに効き、速やかに抜けていきます。

頓服薬として効果実感が高いのですが、その分依存もつきやすいため、期間や量に注意して使っていくことが大切です。(依存など副作用への対策については、『ベンゾジアゼピン系抗不安薬の副作用と対策』をお読みください)

主な短時間型には、

  • デパス
  • リーゼ
  • グランダキシン

があります。

効果の強さは、

  • グランダキシン<リーゼ<デパス

となります。デパスは抗不安・催眠・筋弛緩の作用がすべて強く、

  • 不眠
  • 肩こり

などにも使われます。

中間型

中間型も短時間型と同様に、即効性を期待して使うことが多いです。

主な中間型には、

  • レキソタン
  • ワイパックス
  • ソラナックス
  • コンスタン

があります。どれも抗不安作用の強いお薬なので、不安の発作などにも有効です。

効果の強さは量によっても異なりますが、

  • ソラナックス/コンスタン≦ワイパックス<レキソタン

といった印象です。レキソタンは筋弛緩作用も強いお薬です。

長時間型

長時間型は、即効性も、持続する気分安定効果も期待できます。

効果の実感もあり、比較的即効性も期待できます。飲み続けることでお薬が身体にたまっていき、不安になりにくい土台をつくってくれます。

作用時間が長くなれば依存しにくいというメリットもありますが、その分

  • ふらつきや眠気などの副作用がでやすい

ので注意が必要です。

主な長時間型には、

  • リボトリール/ランドセン
  • セパゾン
  • セルシン/ホリゾン

があります。

効果の強さは、

  • セルシン/ホリゾン<セパゾン<リボトリール/ランドセン

となります。

リボトリール/ランドセンとセルシン/ホリゾンには抗けいれん作用もあり、最近は少ないですが、てんかんの治療で利用されることもありました。

超長時間型

超長時間型は非常に作用時間が長く、一日たってもお薬の作用が残ります。即効性よりも、飲み続けることで不安を落ち着かせていくときに使われます。

主な超長時間型には、

  • メイラックス
  • レスタス(販売中止)

があります。

効果の強さは、

  • メイラックス<レスタス

になります。

抗不安薬(精神安定剤)は上手に使いましょう

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は短時間~超長時間型と作用時間の幅が広く、効果も4つの作用の強弱がそれぞれ違い、状態に合わせて使い分けていくことができます。

とはいえ、抗不安薬(精神安定剤)は一時的に症状をしずめてくれるお薬で、不安を根本から改善していくような治癒薬ではありません。

症状や時期に合わせて抗不安薬を上手に使いながら、病状が長引くときには抗うつ剤への変更や、お薬以外の不安対策も取り入れていくなど、病気の根本の治療も行っていくことが大切です。

※お薬以外の不安治療については、『薬に頼らずに不安を解消する4つの方法』をお読みください。

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カテゴリー:抗不安薬(精神安定剤)  投稿日:2023年3月28日