食前薬は食後に飲んじゃダメ?
【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
「食前薬」の理由は?
お薬は多くが「食後」の服用になっています。しかし、中には「食前」と指定されているものがありますよね。
食前薬は服用を忘れがちで、飲む前に何かを食べてしまった…ということも多いのではないでしょうか?
どうせ胃に入るんだから、食後でも別に同じではないかと思われるかもしれませんが、お薬によっては食事の影響を大きく受けることがあります。用法を間違えてしまうと、著しく効果が落ちてしまうものもあるのです。
食前に飲まなければいけないお薬は?
食前に飲まなければいけない代表的なお薬には、
- 吐き気止め
- 糖の吸収を抑える糖尿病薬(α‐GI)
- 骨粗鬆症でよく使われるビスホスホネート製剤
があります。
吐き気止めと糖の吸収を抑えるお薬は、食後に飲んだのでは意味がありません。食事を摂る前に飲むようにしましょう。
ビスホスホネート製剤は、食事内のミネラル成分によって吸収を妨げられてしまいます。必ず食前でなければいけないわけではありませんが、空腹時に飲むことが大切です。
吐き気止めを食前に飲む理由
食事をしたら消化をしなくてはいけませんので、胃腸の働きは当然活発になります。
そうなると困るのが、吐き気などの胃腸症状があるときで、食後に飲んだのでは吐き気止めの効果が発揮されません。
糖の吸収を抑える糖尿病薬(α‐GI)を食前に飲む理由
食事をすると糖質が吸収されて血糖値が上がります。糖尿病の患者さんでは食後に高血糖となるのを避けるため、糖の吸収を抑えるお薬(α‐GI)を服用することが多いです。
食事を先にすれば糖の吸収は進んでしまうので、α‐GIは食前に飲むことが重要です。
ビスホスホネート製剤を食前に飲む理由
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療ででよく使われるビスホスホネート製剤では、食事中のカルシウムやマグネシウムなどと一緒になると吸収が妨げられてしまいます。
そのため、朝食前に服用するのが一般的になっています。
まとめ
食前に飲むお薬は、食後では効果が十分に発揮されません。
- 吐き気止め
- 糖の吸収を抑える糖尿病薬(α‐GI)
- 骨粗鬆症でよく使われるビスホスホネート製剤
などは食事を摂る前の空腹時に飲むようにしましょう。
食前薬は忘れがちですので、食卓にかならず置いておくなどの工夫をしてみてください。
※食事がお薬に与える影響について知りたい方は、『食前薬や食後薬は守らなきゃダメ?お薬と食事の関係』をお読みください。
【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。
(医)こころみ採用HP取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:お薬の基礎知識 投稿日:2019年12月25日
関連記事
抗不安薬(精神安定剤)の効果と副作用
抗不安薬(精神安定剤)とは? こころの治療では、抗不安薬は即効性の期待できるリラックスできるお薬として、よく使われています。 世間的には、精神安定剤という方が一般的でしょうか。 現在使われている抗不安薬は、そのほとんどが… 続きを読む 抗不安薬(精神安定剤)の効果と副作用
投稿日:
人気記事
デエビゴ(レンボレキサント)の効果と副作用
デエビゴ(レンボレキサント)とは? デエビゴ(一般名:レンボレキサント)は、オレキシン受容体拮抗薬に分類される新しい睡眠薬になります。 覚醒の維持に重要な物質であるオレキシンの働きをブロックすることで、睡眠状態を促すお薬… 続きを読む デエビゴ(レンボレキサント)の効果と副作用
投稿日: