作業療法って何?精神科訪問看護で利用できるリハビリについて
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精神科訪問看護で利用できるサービスの1つに「リハビリ」があります。リハビリというと、足を骨折した人などが、歩くための練習をしているような場面を想像する人が多いのではないでしょうか。
精神科訪問看護ではどのようなリハビリをしてもらえるのか?疑問に思う人もいるでしょう。
今回は、精神科訪問看護で提供する「作業療法」についてお話していきます。
そもそもリハビリって?
リハビリとは「リハビリテーション」の略称です。
Rehabilitation(リハビリテーション)は、再び、戻すという意味のreと適した、ふさわしいという意味のhabilisから成り立っています。
リハビリテーションは、身体機能の回復という一般的にイメージすることだけではありません。
その人が可能な限りもとの社会生活を送ることができるよう、そして「自分らしく生活できること」を目指すことがリハビリテーションです。
精神科訪問看護の「リハビリ」って?
リハビリテーションに携わる専門職の中には、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士などがいます。
一般の訪問看護では、上記のどの職種でも訪問することは可能ですが、精神科訪問看護で訪問することができるのは、作業療法士だけです。
作業療法士は、筋力などの身体機能の向上だけではなく、食事や着替え、排泄動作などの生活に欠かせない日常生活における訓練を行います。
さらに、社会での生活や就労する上で必要な心身の機能を回復することにも精通しています。
作業療法士は、精神科訪問看護師と協力しながら、その利用者にとって必要なリハビリを提供していきます。
精神科作業療法で期待できること
作業療法を受けることで期待できることは主に次のような3つがあります。
①認知機能の回復
認知機能とは、物事に注意を向けたり、理解・判断したり、論理的に考えたりする力のことです。精神疾患をもつ方は、この認知機能が低下してしまうことがあります。
認知機能が低下することで、生活上様々な支障を来し、それがストレスの原因となることで、精神症状の再発が起こってしまう恐れもあります。
作業療法では、脳トレや道具を用いたゲーム性のある作業を行ったり、リハビリ中の会話を通じて認知機能の改善を図ります。
②日常生活動作の回復
作業療法では、私たちの生活に欠かせない食事や着替え、排泄などの日常生活動作に対してもアプローチします。
それでは、着替えを例に考えてみましょう。
一見単純に見える「着替える」という動作ですが、着替え1つにとっても、実はいくつかの工程が存在しています。
あなたが着替える場面を想像してみてください。
まず、その日にどの服を着るのか選ぶところから始まります。
そして、今着ている服を脱ぎます。
服が脱げたら、選んだ服を着ます。
服を着脱するときには、ボタンやチャックの開閉などの細かい動作があるかもしれません。
最後に、脱いだ服を脱衣所に持っていきます。
これらの工程の中でも、そもそも服を選ぶことが苦手な人がいるかもしれません。
ボタンやチャックの開閉といった細かい動作が難しいかもしれません。
このような1つ1つの工程に対して、できないところはどこか、どうしたらその人ができるようになるのかを考え、アプローチしていきます。
③社会機能の回復
リハビリテーションの目標は、可能な限りもとの社会生活を営めるようになることです。中には、就労を目指す人もいるでしょう。
作業療法では、社会機能の回復の為に必要なリハビリテーションも行います。
例えば、外出支援がそのうちのひとつです。
精神疾患を持つ人の中には、症状の為、他人とのコミュニケーションを避けて、自宅にこもりがちな生活をしている方も少なくありません。
外出支援とは、文字通り利用者が自宅を出て、外に出かける為の援助を行うことです。近所を散歩したり、買い物に付き添うなど、その方の段階に応じた援助を行います。
自宅の外に出るという一見なんともない行為でも、精神疾患を持つ人にとっては、恐怖心や不安が強い行為かもしれません。
そのような気持ちに寄り添いながら、徐々に利用者ができることを増やし、自信を持ったり「もっとできるようになりたい」という気持ちを高められるように関わっていきます。
まとめ
精神科訪問看護における作業療法とは、単に体の機能を回復させることだけではなく、利用者が少しでも「自分らしく生活できること」を支えるものです。
作業療法を受けたいと考えた方は。まずは精神科の主治医に相談してみましょう。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:訪問診療/訪問看護 投稿日:2023年11月17日
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