自分でできる!自律訓練法の効果
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自律訓練法でセルフ・ストレスケアを!
自律訓練法は、簡単に言えば自己暗示によって不安を解消する方法です。リラックス状態を身体に言い聞かせながらイメージをしていきます。
不安や不眠で悩まれている方だけでなく、日頃のストレスを和らげるためにもとても有効です。病気で苦しまれている方の中には、自分をコントロールする力を取り戻すきっかけとなることもあります。副作用も特にないのでぜひ取り組んでみてください。
自律訓練法とは?
- 自律訓練法は、リラックス状態を自己暗示することによって作り上げていく方法です。
人間の自律神経系は、本来自分ではコントロールできません。しかし自律訓練法では、言葉(言語公式)とイメージ(受動的集中)を重ね合わせることで、自律神経系のバランスを自己コントロールすることを目指していきます。
『言語公式』とは、暗示効果を得るために同じ言葉を繰り返すことです。『受動的集中』とは、暗示を意識しすぎず、身体の声に耳を傾け、ありのままを感じることです。
この方法は、ドイツの精神科医シュルツの手によって1930年頃に生み出されました。1952年には日本でも導入され、今日では医療に限らず、教育やスポーツなどさまざまな分野でも取り入れられたりしています。
自律訓練法の効果と副作用
自律訓練法によって得られる効果としては、以下のようなものがあります。
- 心身に蓄積された疲労の回復
- イライラを抑える、気持ちが穏やかになる
- 自己を統制する力が身に付き、衝動的な行動が少なくなる
- 集中力が増し、勉強や仕事の能率が上がる
- 身体的、精神的な苦痛を和らげる
- 寝つきがよくなる
副作用を心配される方もいらっしゃいますが、特別な副作用などはみられません。なかなか眠れない夜や、感情を少し落ち着けて物事を考えたいときなどにも有効だといえます。
誰にでも効果がある?
自律訓練法は、自己暗示によってリラックス状態を作り上げていくのですが、中には上手く自己暗示がかからない方もいます。
以前、クリニックの患者さんで自律訓練法の効果を実験してみたことがあります。分けへだてなく患者さんに、自律訓練法をすすめてみたのです。
すると面白い結果になりました。10人のうち、1人は効果テキメンでした。1人は有効な印象をもっていただけました。一方、3人は効果を感じなかったということでした。
そして、残りの5人はというと…「やらなかった」そうです。
ということは、実践した5人のうち、2人の方は効果が感じられたということですね。
自律訓練法は、最初のうちはなかなか上手くいかないこともありますが、体系的にしっかり学ぶとより効果が出てきます。私個人は、とても有効な方法と感じています。
自律訓練法のやり方
自立訓練法は、グループワークなどで体系的に学んでいくことが一般的です。しかしながらセルフケアの一環として、自宅で一人でもできます。
ここでは自律訓練法の方法について、概要を説明させていただきます。ぜひ試してください。
まずは姿勢と呼吸を整えましょう
①自分が楽だと感じられる姿勢をとります。ベッドに仰向けになったり、椅子の背もたれにゆったりと身を任せた状態が良いでしょう。
②それから、ゆったりとした腹式呼吸を行います。口をすぼめてゆっくりと息を吐き切り、お腹に空気を入れる感覚で鼻から深く息を吸います。これを5~10回、気持ちが落ち着くまで続けます。
※腹式呼吸について詳しくは、『リラックスする呼吸法とは?』をお読みください。
6つの公式とイメージ
③呼吸が整い気持ちが落ち着いたら、リラックス状態を心の中で言語公式として唱えながら、身体の感覚をイメージしていきます。
例えば、第一公式は「手足が重たい」です。この言葉を心の中で唱えながら、手足が重たくなっている感覚をイメージします。
公式は6つあります。
呼吸のリズムに合わせるようにして、順番に行っていきます。
- 第一公式:「手足が重たい」
- 第二公式:「手足が温かい」
- 第三公式:「心臓が静かに脈打っている」
- 第四公式:「楽に呼吸ができる」
- 第五公式:「お腹のあたりが温かい」
- 第六公式:「額(ひたい)が涼しい」
最初は簡単な方法から始めましょう
言語公式は、状況や症状に応じて一部を省略したり、少し変えたりすることもあります。
最初から6つの公式すべてやりきるのは大変なので、第一公式と第二公式を重点的に行う場合が多いです。
①まず「右手の力が抜ける」イメージを頭に浮かべ、右手から左手へ意識を移していきます。
②しばらくこれを続けたら、足からも力が抜けるイメージを思い描いていきます。
③その次は、両手から両足にかけて「あったかくなる」と自己暗示をかけます。
④最後に、「重くて温かい」という第一公式+第二公式を行っていきましょう。
以上の過程を2~3回に分け、一日10分間ほど行ってください。慣れてくると、「力が抜ける」「あったかくなる」といった感覚をすぐに起こせるようになります。
このとき全身の筋肉も緩むと同時に、心の落ち着きを得ることもできます。
最後に『消去動作』を行います
自律訓練法の最後には、かならず『消去動作(終了動作)』を行います。
リラックスした姿勢から身を起こし、手足の屈伸・背伸び・深呼吸を数回ずつ行います。
自律訓練法の効果を最大限に得るためにも、この過程を欠かさないようにしてください。
心身がリラックスしたからといって、消去動作を怠ると、かえって脱力感や不快感に襲われることがあるのです。
ただし、そのまま寝たいときや不眠の方は消去動作は行わず、寝落ちしてしまってもかまいません。
継続は力なり!
自律訓練法は、その名の通り『訓練』が必要で、自分で練習を続けることが何よりも大切です。すぐに効果を得られない方もいらっしゃるかと思いますが、続けていくうちに少しずつ自己暗示が上手になっていきます。
一度身につければ、生活のさまざまな場面で応用できます。正しい方法を自分に覚えこませるよう、努力を継続していただければと思います。
※自律訓練法以外にも、自分でできる不安・ストレスのコントロール法があります。興味のある方は、『薬に頼らず不安を解消する4つの方法』をお読みください。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:セルフケア 投稿日:2019年9月27日
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