セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)とは?セントジョーンズワートの効果と副作用を解説
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セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)の効果や副作用について、知りたい方は多いのではないでしょうか?
セントジョーンズワートとは、ヨーロッパでうつ病の治療に使われてきた、黄色い花を咲かせる薬用植物です。日本ではサプリメントとして市販されていますが、その使用には注意が必要です。
この記事では、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)の効果と副作用について、詳しく解説します。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)とは?
セントジョーンズワートは、黄色の花を咲かせる根茎性の多年草ハーブで、日本では西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ)と呼ばれています。
セントジョーンズという名前は、新約聖書に登場するイエスの使徒「聖ヨハネ」の誕生日(6月24日)頃に花が咲くことから「聖ヨハネ(英名セント・ジョン)」を意味しています。
セントジョーンズワートの薬効成分は様々な不調や病気に効果があるといわれ、欧州では外用として切り傷、火傷、内服としては不眠症、更年期症状、うつ症状に重宝されてきました。
和名の西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ)の由来は、この草が原料の秘薬の秘密を弟が漏らしたので兄が怒って斬り殺したという伝説からきています。
セントジョーンズワートにはどんな効果があるの?
セントジョーンズワートは、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)として働きます。
モノアミン酸化酵素は、不要になったモノアミン(セロトニンやノルアドレナリン、ドパミンなど)を分解しますが、その働きを邪魔するお薬になります。
MAO-AとMAO-Bに分けることができ、Aがセロトニンとノルアドレナリンを、Bがドパミンに働きます。
抗うつ剤と似た働きをしていますし、MAO-Bだけを阻害薬するお薬は、ドパミン減少が原因となるパーキンソン病の治療薬としても使われています。
セントジョーンズワートはMAO-AとMAO-Bの弱活性の阻害物質で、セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリンの取り込みをほぼ等しい親和性で阻害します。
セントジョーンズワートはうつ病効果あり
このような作用メカニズムになりますが、実際の効果はどれくらい期待できるのでしょうか。
研究報告からご紹介します。
セントジョーンズワートはうつ病に効果があります。
セントジョーンズワートは抗うつ剤のSSRIと同じくらいうつ病へ効果があり、同じくらい安全だと報告されています。
あくまで軽度~中等度のうつ病患者さんに対しての効果で、4~12週での検証になります。
このため、数か月以上の長期間服用した場合、重度のうつ病患者が服用した場合、自殺傾向の高い患者や自殺リスクの高い患者が服用した場合に有効性があるかどうかは、この研究からはわかりません。
Clinical use of Hypericum perforatum (St John’s wort) in depression: A meta-analysis
セントジョーンズワートの創傷治癒への効果はエビデンス不十分
エッセンシャルオイルは、傷の治癒と傷跡の縮小に効果があると報告されています。しかし研究自体の数が少なく、医薬品として使用するのに十分な証拠があるとは言えません。
Effects of Essential Oils on Scars and Wound Healing: A Systematic Review
更年期の症状やその他の身体症状症についても同じようなことが言われています。
セントジョーンズワートの副作用って何?
セントジョーンズワートの副作用って何なのでしょうか。ここでは、研究報告から説明します。
セントジョーンズワートを大量に摂取した場合は日光過敏症に注意!
セントジョーンズワートを大量に摂取した場合は日光過敏症に注意しましょう。セントジョーンズワートに含まれるヒペリシンが光感受性を高めるためです。
日光過敏症とは、身体の日差しが当たった部分を中心に、皮膚が赤くなったり、腫れたり、小さいブツブツや水ぶくれができたりして、ひどいかゆみを生じるものです。
セントジョーンズワートのその他の副作用
抗うつ薬と比べてセントジョーンズワートは治療効果に差がなく、有害事象は少なかったとの報告があります。したがって、一般的にセントジョーンズワートの副作用は少ないと言えます。
A systematic review of St. John’s wort for major depressive disorder
まれに生じる副作用として報告されているのは、不眠、不安、口渇(ドライマウス)、めまい、胃腸症状、倦怠感、頭痛、性機能不全などです。
St. John’s Wort and Depression: In Depth
セントジョーンズワートは多くの医薬品と薬物相互作用を起こす
セントジョーンズワートは、ほかの医薬品と一緒に服用すると医薬品の効果を変化させてしまう可能性があります。
効果を強めてしまうために併用を避けることとされているのが、
- 抗うつ剤
- トリプタン系片頭痛治療薬
になります。セロトニンが一気に高まって、セロトニン症候群を引き起こすリスクがあります。
またセントジョーンズワートはCYP3A4やCYP2c19、P糖タンパクなどを誘導するため、一緒に服用すると代謝がすすんでしまい、作用が弱まる可能性のある医薬品があります。
- 経口避妊薬(避妊用ピル)
- 免疫抑制剤
- 一部の心臓病治療薬(ジゴキシン)
- 一部のHIV感染症治療薬(プロテアーゼ阻害薬)
- 一部の抗がん剤(イマチニブなど)
- ワルファリンおよび似たような抗凝血剤
- 一部の高脂血症薬剤
すでに心療内科や神経科に通っていて、向精神薬を服用している場合には、併用を避ける必要があります。
また、自分が服用している医薬品が上記のものに該当するかどうかわからない時は、医師、薬剤師にご相談ください。
まとめ
セントジョーンズワースの効果と副作用について、説明してきました。
セントジョーンズワートは、副作用も少なく、重症ではないうつ病に効果がある有用な薬用植物ですが、他に病気があり、服用している医薬品がある場合は要注意です。
特に、すでにうつ病と診断されていて、神経系に作用する医薬品を服用している場合は、併用は避けなければなりません。
また、うつ病に効果があると言っても、現在使われている医薬品のように、十分に検討されているわけではないので、使用する場合には十分に注意する必要があります。
セントジョーンズワートを使用する際に不安や心配がある場合は、服用する方の健康状態を十分に知っている医師、薬剤師に相談することをおすすめします。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:サプリメントについて 投稿日:2023年6月15日
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