【専門家が解説】障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)

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障害者手帳(精神障碍者保健福祉手帳)とは?

心療内科や精神科で治療する病気の中には、慢性化して治療が長引いたり、完治が望めずある程度は付き合っていかなければいけない病気もあります。

精神障害者保健福祉手帳(以下、「障害者手帳」)とは、長期精神疾患を抱え生活に支障のある患者さんが、福祉のサポートを受けるために必要な証明書のようなものです。

症状の重さによって1~3級があり、障害者雇用制度や、自治体が定める税金・交通費の一部減額などのサービスを受けることができます。

障害者手帳は、精神・身体・知的それぞれの障害に対応するものが違います。精神に障害を持つ方の障害者手帳が「精神障害者保健福祉手帳」です。身体障害がある方の手帳は身体障害者手帳、知的障害がある方の手帳は療育手帳(横浜市では愛の手帳と呼びます)という区分になります。

手帳の申請は、医師の診断書とともに役所に書類を提出し、基準に応じた障害等級(1~3級)に該当すると認められたときに交付されます。

障害者手帳の目的

精神障害者保健福祉手帳は、精神障害を抱えた方の自立・社会参加・社会復帰の促進を目的としています。障害者手帳の中ではもっとも歴史が浅く、平成7年から始まった制度です。

この手帳を持つことで、障害者雇用制度を活用したり、税金や交通費の減額などのサービスを受けたりすることができ、障害を抱えながらも社会生活の幅が広がりますし、余裕を持って治療が続けやすくなります。

治療ができる病気の方の場合は、病気が完治したり、一般の仕事へ完全復帰できたりしたときには障害者手帳は返還することになります。

手帳の交付が始まった平成8年には取得者が59,888人でしたが、平成28年には921,022件と飛躍的に増えてきています。当時に比べ精神疾患の認知度が高くなり、病院へ受診して正式な認定を受けた患者さんが増えたこと、障害者雇用制度の充実で障害手帳を持つことのメリットが大きくなったことが大きな理由です。

精神疾患で苦しむ患者さんの数も増えており、精神疾患のために社会生活や日常生活に支障がある方の回復・自立・社会復帰の促進のために、国も力を入れて取り組むようになっています。

精神障害者保健福祉手帳の対象疾患

精神障害者保健福祉手帳の対象疾患は、症状によって生活に大きな支障があると認められれば、すべての精神疾患が対象になります。

ただし、

  • 初めて精神科・心療内科で診断を受けたときから6カ月以上経過していること
  • 現在も生活への支障が続いていると主治医が判断すること

が条件になります。

6カ月以上というのは、現在の主治医の元に6カ月通っていなくても構いません。複数の医療機関を転院してきた方は、最初に診断を受けた医療機関から含めて6カ月以上経過していれば条件を満たします。

つまり、「精神科の初回受診日から6ヶ月以上経過していること」となります。6か月以上にわたって治療していても回復が不十分で生活に支障が残る場合に、「病気」から「障害」となったと考えます。

具体的には、

  • 統合失調症
  • 双極性障害
  • うつ病
  • てんかん

といった病気が多いです。

これらの病気は治療が長引き、生活への支障も大きくなりやすいので障害認定のされやすい病気です。それ以外でも病気の種類には関わらず、情動・行動の障害や不安及び不穏状態があり、日常や社会生活に多くの支障がともなうと判断されれば対象になります。

精神障害者保健福祉手帳の交付対象になるか、どの等級になるかは、主治医の診断書によって役所の専門機関が審査しています。どのような病気にしても、まずは手帳の申請が可能な状態かどうかを主治医と相談しましょう。

障害者手帳の等級

精神障害者保険福祉手帳の等級は、生活への支障の程度を診断書から判断して、1~3級の等級に分けられます。審査は各自治体の精神保健福祉センターという専門機関が行っています。

生活への支障は、食事・身だしなみ・買い物・通院・人間関係・安全保持・公共手続き・趣味や娯楽などの状態を総合的に見ていきます。

病気の種類や患者さんの状態、自治体によってもその基準は異なりますが、おおよその目安としては以下のようになっています。

  • 1級:自立した日常生活が不可能
  • 2級:就労不可で、日常生活に大きな支障がある
  • 3級:日常生活や社会生活に支障が

1級

精神障害によって日常生活が著しく困難な方に適応されます。自立した日常生活は成り立たず、他人の援助を受けなければ自分の着替えや食事も自発的に行えない状態で、ほぼ寝たきりのような生活の方が該当します。

自力で医療機関に通院されている方が1級に認定されることはほとんどありません。外来の患者さんの多くは2級か3級になります。

2級

精神障害によって日常生活に大きな支障があり、就労は困難な方が対象です。生活で常に他人の助けを借りる必要はないものの、日常に様々な制限のかかる状態です。

例えば、一応1人で外出はできるが、ストレスのかかる状況では困難になる、デイケア・就労移行支援事業所などの利用はできるが、自分の意志だけで適切な家事・食事・買い物・入浴などを問題なく行うことはできず、誰かの助けや助言が必要な方などが該当します。

3級

精神障害によって日常生活に支障がある方・社会生活に支障がある方が対象です。

一応の日常生活は単独で行えるものの、大きなストレスがかかると困難になる、日常の家事やデイケアの利用・精神障害者への配慮がある環境なら就労は可能だが、ストレスがかかると困難が生じてくるなどの方が該当します。

障害者手帳の診断書について

精神障害者福祉手帳を申請するには、医師による診断書が必要になります。診断書は、初診日から6か月以上経過し、申請日から3か月以内に書かれたものでなければいけません。

医師の診断書をもとに審査がされて、精神障害等級が判定されます。障害年金を受給中の方に限り、医師の診断書の代わりに年金証書の写しなどでも申請が可能です。障害年金のほうが申請が厳しいため、同程度の障害者手帳は自動的に認められるのです。

精神障害者の等級判定は、診断書の内容によって決まるといっても過言ではありません。主治医がしっかりとした診断書を書くにもそれなりの時間が必要のため、診断書の依頼は日数に余裕をもって主治医へ伝えましょう。

障害者手帳の診断書は医者が記載しなければいけない事項が比較的多い書類ですし、とくに初回申請のときは、病歴を詳しく書く必要があります。長く通院されている方ならカルテをさかのぼって確認もしなければいけないので、時間に余裕があった方がていねいに書くことができます。

診断書は客観的に現在の状態を書くように努めますが、心の病気は検査や画像でわからないために医師の主観に頼るところが大きくなります。悪い言い方をすれば、医師の書き方次第にもなりますので、余裕をもってお願いするに越したことはありません。

診断書の様式は、都道府県および政令指定都市(川崎市・横浜市などの大都市)ごとに異なった様式となっています。しかしながらその内容は、大きくは変わりません。

精神障害者保健福祉手帳の診断書は、例えば以下のような書式になります。

の様式があります。

障害者手帳診断書の内容と料金

診断書の内容は大きくは3つに分けることができて、

  • 発病から現在までの病歴
  • 現在の病状と状態像
  • 生活能力の状態

こちらになります。

精神障害者手帳の診断書でとくに重要なのは、「生活能力の状態」です。具体的には以下の4つを記載していきます。

  • 現在の生活環境
  • 日常生活能力の判定
  • 日常生活能力の程度
  • 日常生活能力の程度の具体的程度、状態像等

東京都の書式では、以下の部分になります。

障害者手帳の診断書での重要な部分をピックアップしました。

生活への支障の大きさはここで判断され、障害の等級判定が行われます。

まず現在の生活環境ですが、単身なのか家族との同居なのかを記入します。単身ならばより生活への支障が大きいことが伝わります。

次に、代表的な日常活動を具体的にあげて、日常生活能力の判定を行っていきます。

  • 適切な食事
  • 身辺の清潔保持・規則正しい生活
  • 金銭管理や買い物
  • 通院・服薬
  • 他人との意思伝達・対人関係
  • 身辺の安全保持・危機対応
  • 社会的手続きや公共施設の利用
  • 趣味娯楽への関心・文化的社会的活動への参加

以上の項目それぞれに対し、「自発的に(適切に)できる」「おおむねできるが援助が必要」「援助があればできる」「できない」の3段階にわけて評価をし、最後に文章でコメントを入れます。

1級の方では、ほとんどが「できない」に丸がつく必要があります。2級と3級の線引きが微妙ですが、「援助があればできる」が相対的に多ければ2級、少なければ3級となることが多いです。

これらの項目を総合して、日常生活能力の判定が以下の5段階で行われます。

  1. 日常生活と社会生活が普通にできる
  2. 日常生活または社会生活に一定の制限を受ける
  3. 日常生活に大きな制限を受けており、時に応じて援助が必要
  4. 日常生活に大きな制限を受けており、常に援助が必要
  5. 自力で身の回りのことはほとんどできない

①は精神障害者として認定されません。②は3級相当になります。は状態によって2級・3級どちらにもなり得ますが、最近は判定が厳しいので3級とされることが多いです。は2級となり、は1級相当になります。

診断書は記載する内容がけっこう多いため、当日すぐに記載することは難しいです。診断書の料金は医療機関によって様々ですが、5000円+税ほどが一般的かと思います。(当院の料金設定です)

障害者手帳で受けることができるサービス

障害者手帳を申請する一番のメリットは、障害者雇用が最も大きいです。病状を理解していただいた上での就労なので、配慮をうけながら通常就労することができます。この点については後述します。

それ以外にも、障害者手帳で受けることができるサービスがあります。経済的なメリットがそこまで大きなものではなく、これを目的にした障害者手帳の申請は、当院では原則的に行っておりません。就労の選択肢を広げるために、障害者手帳の申請をお勧めしています。

障害者手帳で受けることのできるサービスは全国一律のものと、自治体が独自に設定しているものがあります。

<全国一律>

  • 所得税や住民税の控除
  • 相続税や贈与税の控除
  • 自動車税や自動車取得税の軽減(1級のみ対象)
  • 生活保護の障害者加算(1級・2級のみ)
  • NHK受信料の減免(市県民税非課税世帯及び1級所持者が世帯主の場合のみ)
  • その他、携帯電話会社や公共料金会社によっては、障害者割引を設定している所もあります

<自治体による>

  • 市営、県営住宅への入居時の優遇
  • 鉄道・バス・タクシーの運賃割引
  • 上下水道料金の割引
  • 水族館・博物館など、公共施設などの入場料の割引

その他、自治体が独自のサービスを行っていることがあります

※上記のようなサービスはその場で手帳を提示することで利用できるものと、事前に管轄登録や申請が必要なものがあります。具体的な内容は自治体や時期によっても異なるため、詳細は、お住まいの市区町村役場障害福祉担当や各団体までお問い合わせください。

障害者手帳と障害者枠雇用

精神障害者手帳の最大のメリットは、障害者雇用制度が活用できることです。手帳を取得すると障害者枠の雇用に応募できるようになるため、そのメリットが大きいと考えられる方には、医師の方からも手帳の申請をすすめることがあります。

障害者雇用制度とは?

障害者雇用制度は、障害者雇用促進法にもとづき国が行っている事業です。障害者の社会復帰の促進が目的です。元々は身体・知的障害者が主な対象でしたが、近年は精神障害者にさらなる追い風となる方針となっています。

現在は、100人以上規模の民間企業では、労働者の2.2%に相当する人数の障害者の雇用が義務付けられています。その枠には障害者の方しか応募ができません。

そして平成30年3月1日より、雇用義務に精神障害者が加わりました。以前は必ずしも精神障害者を含む必要は無かったのですが、それが義務に変わったのです。障害者枠の中には必ず精神障害者の方を雇用しなければいけません。

規定の雇用が満たせなかった場合、企業側は1人につき月3~5万円の納付金が徴収され、他の障害者雇用事業のための資金として使われることになっています。反対に、決められた枠を超えて採用した場合は、月27,000円の援助金が給付されます。

そのような事実上の罰則規定があるため、企業も障害者雇用には積極的になってきています。

ハローワーク(職業安定所)の紹介・就職状況によると、平成17年の精神障害者の就職実績は4,665件でしたが、平成27年度には38,396件となっています。精神障害者保険福祉手帳を取得すると、障害者枠への応募ができるようになります。

障害者雇用を活用するメリット

障害者雇用では、企業側も何らかの障害があることを前提に雇うわけですから、普通枠の雇用にチャレンジするよりはハードルが低くなります。障害者雇用という形で規模の大きな企業に就職できる可能性がありますし、病状をある程度理解してもらいながら仕事をしていくことができます。

ですから、比較的病状が安定した慢性の患者さんで、仕事をしながら治療継続をすることが必要な方には、医師からも障害者手帳をすすめることが多いです。

職業安定所(ハローワーク)を使って求職活動をされる場合、精神障害者保健福祉手帳の所持を伝えることで「障害者枠」という求人の閲覧、応募ができるようになります。

また、障害者雇用を行っている企業は、ホームページの採用の項目でも障害者枠雇用の募集要項を出していることが多いです。

ただし、職業安定所を利用して求職活動される際に気をつけておきたい点がひとつあります。

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、一般の求人へ応募する時にも企業によっては手帳を開示しなければならない場合があります。障害者枠での就労を希望する際には、そのような点も考える必要があるでしょう。

障害者手帳の申請手続きの流れ

それでは、障害者手帳の申請手続きの流れを見ていきましょう。

障害者手帳の申請には、まずは主治医に相談してください。主治医が「障害」として考えていくのが適切と判断していることが前提となります。当院でも患者様に希望されることがありますが、障害として考えていくのが適切でない場合、診断書の記入をお断りすることもあります。

それでは具体的に、手続きの流れを見ていきましょう。

主治医に診断書の作成を依頼

申請のためには、主治医の診断書が必要です。(障害年金受給中の方を除く)。まずは主治医に手帳の申請を希望していることを伝え、自分の病状が該当するかどうかを相談をしましょう。

申請をすることになった場合、診断書フォーマットを用意します。当院では川崎市・横浜市・相模原市・神奈川県のフォーマットは準備があります。それ以外の地域にお住まいの方は、役所で診断書原本を貰って持参していただくことになります。

診断書は、初診日から6か月以上経過し、申請日から3か月以内に書かれたものでなければいけません。

当院では、完成した診断書の受け取り方法は以下のようになります。

  • ご自宅に郵送(切手代をいただきます)
  • 完成したら連絡して取りに来ていただく
  • 次回診察時にお渡し

その他の書類

診断書以外には以下のようなものが必要ですが、お住いの地域によって異なる場合もありますので、事前に役所で確認することをお勧めします。役所の担当窓口は、障害担当の窓口となります。(障害支援課や障害福祉課など)

  • 印鑑
    →シャチハタは使えませんが認印は大丈夫です。代理の方が申請される場合は患者さん本人と代理の方の印鑑両方が必要です。
  • 顔写真
    →たて3㎝×3㎝、顔が明確に分かるもの。全身写真・帽子・サングラス着用不可
  • 身元確認ができる書類
    →写真付きの書類なら1枚(自動車運転免許証、個人番号カード、パスポート、精神障害者保健福祉手帳等の写しなど)、顔写真なしの書類なら2枚(健康保険証、生活保護受給者証、国民年金手帳等の写しなど)
  • マイナンバー個人番号確認書類
    →個人番号カード、番号通知カード、住民票の写しなど

役所の障害担当の窓口に提出

診断書と必要書類を揃え、お住まいの地域の役所の障害担当の窓口に提出します。患者さん自身が出向けないときは代理の方でも申請が可能ですが、それ用の書類が必要な場合があるので事前に役所へ確認をしましょう。

代理人の場合に川崎市では、

  • 委任状
  • 委任者と代理人との関係が確認できる書類
  • 代理人の身分証

などが必要になります。

申請してからおおむね1カ月~2カ月で審査結果通知書が郵送で自宅に届きます。手帳の交付が決まった方は、通知書に書かれた方法に沿って申請した窓口まで手帳を受け取りに行きます。

各福祉サービスを受ける際は、別途申請が必要なものや要件があるものが多いですので、手帳と一緒にもらう冊子をよく読んで確認をしてください。

障害年金を受給されている方の場合

障害年金を受給している方は、医師の診断書にかえて次の書類で申請できます。

  • 障害年金証書の写し
  • 直近の障害年金振込通知書
  • 障害年金支給者に照会するための同意書(用紙は役所にあります)

また、自立支援医療との同時申請・更新も可能です。そうすれば診断書が1通で済み、診断書代や申請の手間が節約できます。

障害者手帳更新と自立支援医療同時申請について

手帳の更新は2年に1度の更新手続きが必要です。更新期日は手帳に記載されており、期日の3カ月前から更新が可能です。更新の都度に主治医の診断書の提出が必要ですので、更新時期が近づいてきたら余裕を持って主治医へ診断書を依頼しましょう。

手帳の診断書を提出することで、自立支援医療の同時申請(更新)をすることができます。ただし、自立支援医療の方は1回の更新が必要ですので、注意してください。

その他に必要となる手続きとしては、更新手続き以外には以下があります。

  • 転居をした際
  • 氏名が変わった際

このような場合は、役所の障害担当の窓口で手続きが必要です。事前に役所に必要物を確認してから、手続きに行くようにしましょう。

よくある質問

精神障害健康福祉手帳についてよく頂くご質問を、こちらでまとめていきたいと思います。

申請すれば必ず適応になるのでしょうか?

診断書の内容を見て、各地域の精神保健福祉センターという機関が審査を行います。

基準の病状に該当しないと判断された際は申請が通らないこともあり得ます。その基準は自治体によってあいまいな部分もあるため、似た病状で同じ主治医が診断書を書いても、等級が異なってしまったり、認定されなかったりということもあり得ます。

また、更新の際に病状の改善が見られれば等級が下がったり、非該当になることもあり得ます。

有効期限が切れるとどうなりますか?

有効期限が切れてしまうと再申請をするまで手帳の適応ができなくなってしまいます。

続けて適応を希望の方は、必ず有効期限内で更新を行うようにしてください。また、続けての適応を希望しない方は、更新をしないで手帳の返還を行うことも可能です。

取得することでデメリットはありますか?

制度としては様々なサポートが受けられるので、デメリットと呼べるものは概ねありません。ですが、「精神障害者」と名前が付く写真付きの手帳をとることについて、自身や家族はどう受け止めるかということを事前に考えることをお勧めいたします。

あまり考えず取得をしてしまった際に、実物が手元に来てから実感が湧き、思い悩む方も中にはいらっしゃるためです。

個人の考え方によっては、あえて障害者手帳をとらないことを選択する方もいらっしゃいます。

また、精神障害者保険福祉手帳は、本来精神障害を抱えた方の治療や社会参加を応援するためのものです。

しかしながら、障害者として福祉のサポートを得たことで、治る可能性のある方の回復がすすまなくなってしまうことがあります。疾病利得といったりしますが、病気のままでいた方が得をすると思えば、良くなろうとする前向きなエネルギーが薄れてしまう場合があるのです。

障害者手帳の精神障害には、「治せる病気」も含まれています。治療が長期間に渡ることが多いため一時的に障害者手帳を持ったものの、適切な治療や社会生活でのトレーニングを続ければ、通常の状態まで回復できる方もいるのです。しかし、治療へのモチベーションを保ち、病気を克服していくのは大変なことなので、「このまま病気が治らず福祉のサポートが受けられる方が楽だ」と無意識に流されてしまうことも少なくはありません。

障害者手帳を取得したことで、完治の望めるはずの患者さんの治療へのモチベーションが失われ、回復がストップすることは、医師としても一番悩ましいところです。精神障害者福祉手帳は、精神障害を抱えた方の自立・社会参加・社会復帰の促進を目的としています。そのことを忘れず、手帳のメリットを上手く使いながら治療や回復を続けていただきたいと願っています。

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診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:制度・サービス  投稿日:2019年5月11日

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