認知症は80代から一気に進行するの?進行させる要因と予防法を解説

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一般的に認知症は80代になると一気に進行すると考えられています。
これは本当でしょうか?
実際はある年齢から一気に進行することはありません。
80代になると認知症の人が多くなるだけのことです。
また主な認知症は3種類で、それぞれに進行の仕方が違います。
この記事では、認知症の進行速度の違い、進行させる要因、進行の予防法を解説します。

認知症の進行速度の違い

主な3種類の認知症について、進行速度の違いを解説します。

1.アルツハイマー型認知症

知名度が高く、誰でも耳にしたことがある認知症です。
脳神経細胞にアミロイドβというたんぱく質の蓄積がみられます。
もの忘れが進行していき、時間や場所の感覚がずれ、体の動きが悪くなり、刺激に反応しにくくなります。
進行すると日常生活に支障を来し、介護が必要となる病気です。
病気の進行速度は比較的遅く、初期のもの忘れ症状が軽い場合ほど進行がゆるやかです。

2.脳血管性認知症

脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血などの脳卒中がもたらす認知症です。
認知症だけでなく、歩行機能・言語機能に支障を来すことがあります。
脳卒中をくり返すことで、段階的に認知症が進行します。
脳卒中の程度によっては、一気に症状が進むこともあるのが特徴です。
原因となる生活習慣病の治療をすれば、脳卒中の再発を予防でき、認知症の進行を予防できます。

3.レビー小体型認知症

大脳皮質の神経細胞内にレビー小体というたんぱく質がたまって起こる認知症です。
幻覚・パーキンソン症状(筋肉のこわばり、手足のふるえなど)から始まり、認知障害が後から現れます。
調子の良い時と悪い時を繰り返しながら、ゆるやかに進行していく病気です。
後期には認知障害の進行速度は遅くなり、パーキンソン症状が悪化していきます。

80代に限らず認知症を進行させる要因

80代に限らず80歳未満でも認知症が一気に進行することがあります。
認知症を進めてしまう要因は以下のとおりです。

1.生活習慣の乱れ

栄養バランス・睡眠サイクルが乱れると、生活習慣病を引き起こし、脳血管性認知症の原因となります。
栄養面では、味つけが濃い、脂っこいものが多い食事が影響します。
また睡眠時間の乱れ、昼夜逆転なども認知症を進める要因です。
さらに趣味や外出が少なくなるのも認知症を進行させるといわれています。

2.日常的なストレス

日常的なストレスがあると、脳への血流が低下して脳細胞の壊死が進行し、認知症の進行に影響することが分かっています。
認知症に関連してうつ状態になると、ストレスがたまりやすくなり、認知症の進行が早まります。

3.生活環境の大きな変化

パートナーや友人を失う、入院するなどのショックでうつ状態となります。
ストレスがたまり、脳の血流が低下し、認知症が一気に進行することがあります。

4.過剰なサポート体制

認知症の人に対してサポートし過ぎると、自分で考える機会が減ります。
たとえば家事をすべて家族がしてあげるなどです。
身の周りのことを自分でしなくなるため、脳の活動量が減って血流が低下し、認知症が悪化します。
過剰なサポートはかえってあだとなるようです。

5.ミスを過度に責められる

ミス・問題行動を過度に責められると、傷つきうつ状態になります。
その結果、意欲が低下し、行動が減り、脳機能も低下して認知症が進行します。

80代からでも認知症の進行を遅らせる方法

80代になると認知機能だけでなく、身体機能も衰えるのは自然の摂理です。
しかし少しでも認知機能の進行を遅らせる方法はあります。

1.脳トレ

パズルやクイズによる脳トレは、思考する習慣が身に付き、脳血流が増えて、脳の壊死を遅らせる効果があります。
脳トレは言語機能・認知機能の改善にも役立ち、デイサービス・老人ホームでリハビリとして取り入れられている方法です。

2.正しい生活習慣を守る

正しい生活習慣は生活習慣病を予防します。
また自律神経が正常化して、認知機能の改善が期待できます。
バランスのとれた食事、正しい睡眠サイクルが大切です。
緑黄色野菜やベリー類に含まれるポリフェノールは、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβの蓄積を抑制します。

3.適度に運動する

適度に運動すると、身体機能が向上するだけでなく、脳の血流も増え、認知症の進行を予防できます。
週2・3回以上、30分以上の運動をすると効果的です。
運動メニューとしてウォーキングをおすすめします。

まとめ

認知症は80代から一気に進行するするわけではなく、80代になると多くみられるだけです。
認知症の種類によって進行の仕方が異なります。
また生活習慣の乱れ、ストレス、環境の変化などによって、認知症が進行します。
脳トレ、正しい生活習慣、適度な運動により認知症の進行を遅らせることが可能です。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:認知症  投稿日:2024年3月18日

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