認知症ケアとは?基本と注意点を解説!具体的な事例もご紹介

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認知症になるとADLが低下し、家族などの介護が必要になります。
それでは認知症の人を介護・ケアする際には、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか?
この記事では、認知症ケアとは何か、認知症ケアの基本・注意点について解説します。
また具体的な事例と接し方もご紹介します。
認知症ケアのやり方の基本が理解いただき、認知症のご家族を介護する際に役立ててみてください。

認知症ケアとは?

認知症の方が安心して暮らせるように生活全般を支援していくことです。
以下のような理念・技法に沿ってケアを行います。

認知症の方の尊厳を守りながら生活を支援すること

認知症の方には尊厳があります。
個性・希望を生かし、その人らしい生活を送れるように支援しながら、食事・入浴・排せつなどの世話をすることが大切です。

パーソン・センタード・ケアの理念に沿ったケア

認知症の人の存在意義を認め、尊重し、一人一人に合ったケアをすることが必要です。
以下のような理念を重視します。

  • 認知症の人の心に寄り添う
  • 認知症の人の視点や立場を理解する
  • 認知症の人の心理的なニーズを察知
  • 生活における不便・苦悩・悲しみを理解する

愛、自分らしさ、結びつき、ともにあること、たずさわること、くつろぎといった6つの要素を満たしてあげることが重要です。

ユマニチュードの技法をもちいたケア

認知症の人の尊厳を守りながらケアするコミュニケーション技法です。
「見る」「話す」「触れる」「立つ」を4つの柱としてケアします。

  • 相手を正面にとらえ、目線の高さを合わせて見る
  • ケアの内容をその都度言葉にして伝える
  • 子どもを持ち上げるときのように優しく触れる
  • 認知症の人を1日数十秒から数十分立たせる時間を作る

認知症ケアの基本

以下の基本に沿ってケアしてください。

本人のペースに合わせる

本人ができることは自分でやってもらうのが大切です。
ただし危険がないかどうか見守ることは必要です。
先回りして何でもやってあげることは避けてください。
急がせると興奮しやすいため、ゆったりと見守るとよいでしょう。

分かりやすい言葉で話す

認知症の人は理解力が低下しています。
相手の目の前で声をかけ、ゆっくりと、分かりやすい言葉で話すようにしてください。
いっぺんにたくさんのことを話さず、一つずつ話しかけるとよいでしょう。

失敗や間違いを責めない

間違ったことでも本人なりの理由があって行動していることがあります。
頭ごなしに訂正したり、叱ったりするとプライドを傷つけます。
子供扱いしたり、怒ったりしないで、本人の話をよく聞き、相手を尊重しながらケアしてください。

スキンシップをとる

手を握ったり、肩をたたいたりして、スキンシップをとることが大切です。
スキンシップは、感情に訴え、心を安定させ、ストレスを軽減します。
ただしスキンシップを嫌がる場合は無理強いしないでください。

急な環境の変化を避ける

家族との同居、介護施設への入所など、急に環境が変わると混乱しがちです。
急な変化は避け、最初は短期間だけにするなどして、徐々に慣らしていくとよいでしょう。
また家で一人になると不安になるため、なるべく孤独にしないことも大切です。

認知症ケアの注意点

認知症の人をケアする際の注意点を解説します。

一日中見守るわけにもいかない

24時間見守ることは不可能です。
目を離している時間帯の対策を立てましょう。
具体的には、包丁・ライター・漂白剤など、ケガや誤えんにつながるものは手の届かない所へ収納する。
トイレの場所が分かりにくい人は、トイレの入り口に「トイレ」と書いた紙を貼るなどです。

相談することも大切

介護者は自分だけで抱え込まないようにしてください。
地域包括支援センター、在宅介護支援センターなどに相談してください。
認知症カフェ、オレンジカフェを利用するのもよいでしょう。
認知症について「知る・学ぶ・考える」ことができます。

認知症のケアの事例

よく見られる事例と具体的な接し方をご紹介します。

同じことを繰り返し聞かれたとき

「今日は何曜日?」「食事の献立は何?」などと何回も聞かれることがあります。
本人は尋ねたことを覚えていないからです。
いらつかず、ていねいに対応するようにしてください。
そのつどカレンダーを見ながら確認したり、話題を変えたりするとよいでしょう。
感情的に対応すると、プライドを傷つけ、ストレスを与えてしまいます。
くり返し同じことがあると信頼してもらえなくなるのもデメリットです。

物を盗られたと言われたとき

とっさに否定したり、反論したりすると逆効果です。
「それは大変でしたね」と共感し、状況を詳しく尋ねてください。
そのうえで、なくなったものを一緒に探すとよいでしょう。

トイレを失敗したとき

本人は失敗にショックを受けています。
プライドを傷つけないように対応することが重要です。
汚れたトイレの掃除や、下着の後始末は、さりげなく行ってください。

別の人と間違われたとき

認知症の人が息子を夫と間違えるケースなどです。
言い争うと余計にややこしくなることがあります。
否定しないで、その人になりきってしまうのも一法です。
いったん姿を消して、戻ってきてから、「ただいま帰りました。息子の〇〇です」というとよいでしょう。

まとめ

認知症ケアとは、認知症の方が安心して暮らせるように生活全般を支援していくことです。
認知症の方の尊厳を守りながらケアすることが大切です。
本人のペースに合わせる、分かりやすい言葉で話す、失敗や間違いを責めないなどを基本としてケアしてください。
認知症ケアは大変なことであり、一人で抱え込まず、地域包括支援センターなどに相談することが大切です。
さまざまな問題点がみられますので、他の方が経験した事例を参考にしながら対応するとよいでしょう。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:認知症  投稿日:2023年11月17日

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