認知症の人とコミュニケーションがとれないときはどうしたらよい?

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認知症になると認知機能が低下して、コミュニケーションがうまく取れなくなります。
介護する人は対応に困ることが少なくないはずです。
そういうときはどうしたらよいのでしょうか?
本記事では、認知症の人とのコミュニケーション方法および事例をご紹介します。
これを読めば、認知症の人とのコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
認知症の人を介護する際に役立ててみてください。

認知症の人とのコミュニケーション方法

認知症の人とコミュニケーションをとる場合の基本を解説します。

共感する

まず大切なことは、認知症の人の言葉に耳を傾け、思いに寄り添うことです。
認知症の人に事実と異なる言動がみられると、介護者は反論して間違いを正そうとするでしょう。
しかし認知症の人は理解できず、不安感が強くなるばかりです。
たとえば誰もいないのに「あそこに誰かがいる」という場合、「誰もいませんよ」と否定するのではなく、「誰かがいるのですね」と共感し、「どんな人ですか?」と問いかけてコミュニケーションをとります。
また認知症の人の表情をよく観察し、感情をくみとることが大切です。
こういった対応で、認知症の人の不安を和らげられます。
共感することで信頼関係が築かれるのがメリットです。

その人らしさを大切にする

認知症の人は最近の記憶が喪失しており、世間話をするのが難しくなります。
しかし過去の記憶は残っていることが多くみられるため、本人の今までの暮らし、仕事、趣味を尊重し、話題にするとよいでしょう。

本人のペースに合わせる

認知症の人は、言われたことを理解するのに時間がかかります
介護者はイライラして、本人を急かしたり、叱ったりしがちです。
しかし決して急かすことはなく、本人のペースに合わせて、ゆっくりと会話してください。
話の途中で言い間違いがあっても指摘せず、本人の思うように話させましょう。
他のことに気が散って話が長くなっても急かさないことが重要です。

分かりやすい言葉で話す

認知症の人は、認知機能の低下や難聴のため、難しい内容や長い言葉は理解しにくくなります。
ですから理解しやすい短い言葉を用いて話すようにしてください。
さらに理解しやすくするために、以下のような工夫も必要です。

目をみて会話する

認知機能が低下すると、話しかけても気づかないことがあります。
また老化による難聴や視界の狭小化で、よけいに分かりにくい場合も少なくありません。
正面から声をかけ、視線を合わせてから会話を始めるようにしてください。
そのほうが会話の内容を理解しやすいです。

耳元でゆっくり話す

認知症で理解しにくいばかりでなく、難聴で聞き取れないことが多いため、耳元で大きい声でゆっくり話すことが必要です。
聴力に左右差がある場合は、聞こえやすい側から話すとよいでしょう。

気持ちに寄り添う

本人が言葉でうまく表せない場合は、表情をみて気持ちをくみとり、コミュニケーションをとるようにしてください。
そのうえで以下のような対応をすればよいでしょう。

ボディーランゲージを活用する

認知症の人は、話の内容は覚えていなくても、会話した時の感情は覚えているものです。
ですからコミュニケーションをとるときにプラスの感情を与えるようにしてください。
大きく相槌を打つなどのボディーランゲージは効果があります。

スキンシップをはかる

言葉を理解しにくくなった場合、自然で適度なスキンシップは有効なコミュニケーションの手段です。
肩や腕・背中などにやさしく触れると安心感を与えられます。
ただし本人が嫌がる場合は、無理にしない方がよいでしょう。

NGなコミュニケーション

以下のような対応は認知症の人の自尊心を傷つけるため注意してください。

  • 頭ごなしの否定
  • 威圧的な態度
  • 細かい指摘
  • 子ども扱い

認知症コミュニケーションの事例

認知症の人とコミュニケーションをとるのが難しいケースで、対策をご紹介します。

被害妄想がある場合

財布を盗られたなどの妄想がある場合、頭ごなしに否定せず、まず本人の訴えをよく聞き、そのうえで「一緒に探しましょう」などと対応するしてください。
すぐに見つけてしまうと、探し出した人が犯人にされてしまうこともあります。
しばらくは探すふりをするなどの工夫も大切です。
また介護者自身が犯人とされている際は、別の人に探してもらうとよいでしょう。

徘徊がみられる場合

徘徊する際には何らかの理由があることが多いようです。
そのため無理やり徘徊を止めようとすると、かえって悪化してしまいます。
なるべく見守り、一緒に歩いて話を聞くようにしてください。
>時間がたてば大抵は落ち着いてくる 途中で本人に疲れが見えたら、座らせて休ませ、「そろそろ帰りましょうか?」と声をかけてください。

攻撃的な言動がみられるとき

無理に落ち着かせようとすると、かえって悪化してしまいます。
しばらく距離をとり、見守ると自然に落ち着いてくるでしょう。
また特定の介護者を攻撃する時は、他の人に対応してもらってください。

食事をしたことを忘れているとき

食事が済んでいるにもかかわらず、何度も「食事はまだ?」というときは、決して否定したり、叱ったりしてはいけません。
気持ちを受け止め、軽食を出して、気持ちが落ち着くのを待ちましょう。

まとめ

認知症の人とコミュニケーションをとる際は、共感する、本人のペースに合わせる、目を見て会話する、スキンシップをはかるなどが大切なことを解説しました。
また盗られ妄想や徘徊などがみられるときの対策もご紹介しました。
認知症の人の介護をする際には、本記事の内容を参考にしてみてください。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:認知症  投稿日:2024年3月19日

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