認知症になりやすい人の口癖・性格を解説!認知症発症への対策も紹介
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認知症を発症していく人には、特有の性格が見受けられます。
それは元々の性格傾向であることもあれば、認知症を発症していく2~3年前に人格変化として見えてくることもあります。
そして性格にもとづいた口癖もみえてきたりします。
この記事では、認知症になりやすい人の口癖、性格、認知症発症への対策について解説します。
これを参考にしていただき、認知症の早期発見につなげて、早期介入や体制準備に繋げていただければと思います。
※認知症になりやすい性格というわけではないので、過度な心配をしないでください。
認知症に進行していく人の口癖
認知症に進んでいく人には、以下のような口癖がみられることがあります。
- どうせできない
- もうだめだ
- 疲れた
- もう死にたい
- 今の若いものはどうしようもない
- 昔はよかった
- こんな世界は滅びればよい
あなたの周りにも、このようなことばかり言う人がいるでしょうか? それは認知症のサインかもしれません。
認知症に進んでいく人の口癖から分かる性格変化
口癖は性格や状態を表すサインです。
こういった口癖の人は、以下のような性格傾向もしくは状態になっていることがあります。
- 抑うつ的
- 協調性がない
- イライラしやすい
- 神経質
- 心配性
- 批判や皮肉が多い
もともとの性格傾向として認知症の要因となっていることもあれば、認知症を発症する少し前に性格変化として認められることもあります。
特に性格変化として認められた場合は、早期介入していく糸口になるかもしれません。
抑うつ的
抑うつ的になるとストレスがたまりやすくなります。
ネガティブ思考がみられ、ストレスを受ける環境を自ら作り出してしまうのも特徴的です。
ストレスによりコルチゾールというホルモンが分泌され、これが慢性化すると記憶力の低下、注意力の低下、感情の乱れを来します。
うつ状態に伴う認知機能低下と、認知症の発症が紛らわしいことが多く、「仮面認知症」と呼ばれていたりします。
協調性がない
協調性がないひとは、周囲への適応能力が低く、場の空気を読む能力が低いため、人づき合いが苦手です。
人との関わりが少なくなり、脳への刺激が減り、認知機能低下の原因になります。
結果としてこのような性格の人は、認知症になりやすい環境に陥りやすくなります。
もしくは認知症の前駆症状としての不安定さから、協調性のない状態になっている可能性もあります。
イライラしやすい
イライラしやすいと、すぐに怒っていまい、周囲から嫌われます。
コミュニケーションがうまくいかず、社会的に孤立しがちです。
認知症を発症する少し前に、穏やかな性格だった方が急にイライラしやすくなったという経過をとることもあります。
神経質
神経質な人は、小さなことが気になってストレスを感じやすいのが特徴です。またネガティブ思考になって抑うつ的になります。
ストレス・抑うつが原因となり、認知症になる確率が高まると考えられています。
心配性
スウェーデンのイエーテポリ大学の研究によると、心配性の人は、そうでない人と比べると認知症になる確率が約2倍となるそうです。
批判や皮肉が多い
東フィンランド大学の脳神経学者トルパネン博士の論文によると、批判や皮肉が多い人は認知症のリスクが約3倍に高まるそうです。
認知症になりやすい人の口癖がみられるときの対策
以上のような口癖・性格がみられるときは、認知症にも注意していく必要があります。
実際に診療においても、初老期の性格変化や状態変化でご相談いただくときには、認知症の可能性を常に念頭にいれながら診察をしていきます。
認知症の前駆症状は、どのような症状も取りうるのです。
認知症になりにくくするためには、以下の3つを心がけてください。
- 生活習慣の改善
- 活動性を高める
- 基礎疾患を治療する
生活習慣の改善
まず食事や睡眠の習慣を改善することが大切です。
食事の改善
認知症を予防する可能性がある栄養成分としては以下がしられていますが、科学的な根拠(エビデンス)は十分ではありません。
- EPA・DHAなどの多価不飽和脂肪酸
- カテキン・βカロチンなどの抗酸化物質
- オレイン酸
ただいずれも、身体に悪いものではないので、食品から摂取していくことをお勧めします。
この栄養成分を多く含むおすすめの食品を紹介します。
- 青魚
- 緑色野菜
- 果物
逆に減らした方がよいものは以下の2つです。
- アルコール:アルコール依存はアルコール性認知症を引き起こす
- 高脂肪食
睡眠の改善
アルツハイマー型認知症の原因となる「アミロイドβ」は起きているときに増加し、睡眠中に減少します。必要な睡眠時間を確保することは大切です。
夜にまとめて眠れない人は、30分以内の昼寝を追加するとよいでしょう。
活動性を高める
社会的・知的・身体的な活動を高めることが必要です。
社会的活動
地域社会と関わりをもち、多くの人に接するようにしてください。
趣味の会、デイサービス、ショートステイなどを利用するとよいでしょう。散歩に行き、誰かにあいさつするだけでも効果的です。
知的活動
脳トレを通じて頭を働かせてください。料理は工程が多く、頭を使うため、知的活動の一つに数えられています。
スマホ依存は脳で考えて情報を打ち出すという習慣が減り、考える力、集中力が衰えるため、よくありません。
身体的活動
有酸素運動は全身の血流を促し、脳の働きを高めます。
散歩やウォーキングが効果的です。歩く速度は息が弾まない程度とされています。毎日30分程度歩くのがよいでしょう。
基礎疾患を治療する
認知症になりやすい基礎疾患を治療することも大切です。
高血糖
高血糖は糖尿病だけでなく、認知症、フレイル、がんのリスク因子です。
糖尿病になりインスリンが減ると、アルツハイマー型認知症の原因となる物質「アミロイドβ」の分解が阻害され、体の中にたまってしまい、脳の神経細胞が壊されることが分かっています。
高血圧
高血圧は脳梗塞・脳出血の原因となり、血管性認知症になりやすい病気です。
高血圧の人の認知症発症リスクは、そうでない人と比べると、中年期で2.4倍、老年期で3.2倍(老年期認知症研究会誌 21(9), 2017 )という報告がみられます。
歯周病
歯周病になると、歯がぐらついたり、抜けたりして、かむ力が弱くなります。かむことで与えられていた脳への刺激が減るのが問題です。
慢性腎臓病
腎機能障害があると認知症のリスクが高くなります。特に女性の慢性腎臓病が影響しやすいそうです。(日腎会誌会誌 58: 263, 2016)
腎機能が低下すると、体の中に不要な物質が増加し、脳の認知機能の低下をまねき、認知症のリスクが高まります。
高血圧・糖尿病・脂質異常症の原因となり、認知症につながるでしょう。
まとめ
認知症になりやすい人には「どうせできない」「今の若いものはどうしようもない」などの口癖がみられることがあります。
これは元々の性格からくることもあれば、認知症になる前の性格変化として認められることもあります。
結果として人との関わりが少なくなり、脳への刺激が減ることで認知症のリスクが高まる悪循環になります。
認知症発症への対策として、生活習慣の改善、活動性を高める、基礎疾患を治療することが重要です。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:認知症 投稿日:2023年8月20日
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