認知症は何歳から増えてくる?予防と対策も解説

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認知症は加齢とともに増えていくと言われますが、何歳から増えてくるのでしょうか?
実をいうと若年者の方でも認知症はみられます
それゆえに早期からの認知症の予防が大切です。
本記事では、認知症の発症年齢予防と対策について解説します。
認知症が心配な方で、認知症の予防に役立ててみてください。

認知症の発症年齢

年代別の認知症の割合、将来の認知症推計人口、ならびに若年性認知症について解説します。

認知症の発症年齢と割合

認知症の割合は年齢とともに高まります。
65歳以上の16%7人のうち1人が認知症です。
年齢階級別の認知症の占める割合を示します。

年齢階級 男性 女性
65~69歳 2.8% 3.8%
70~74歳 4.9% 3.9%
75~79歳 11.7% 14.4%
80~84歳 16.8% 24.2%
85~89歳 35.0% 43.9%
90~94歳 49.0% 65.1%
95歳~ 50.6% 83.7%

引用:厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業報告書(研究代表者:朝田隆、2013)
参考サイト:認知症と共に暮らせる社会をつくる|東京都健康長寿医療センター

将来の認知症推計人口

各年齢層の認知症の割合が、2012年以降も一定と仮定した場合、認知症高齢者の人口と割合は、年々増えていくと推定されます。

2012年 2015年 2020年 2025年 2030年 2040年 2050年 2060年
462万 517万 602万 675万 744万 802万 797万 850万
15.0% 15.2% 16.7% 18.5% 20.2% 20.7% 21.1% 24.5%

引用:厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業報告書(研究代表者:二宮利治、2015)
参考サイト:認知症と共に暮らせる社会をつくる|東京都健康長寿医療センター

若年性認知症の特徴

65歳未満で発症する認知症もあり、若年性認知症といいます。
若年性認知症の患者数は、全国で約37,800人(平成21年3月厚生労働省発表)です。
発症年齢の平均は51.3歳、約3割は50歳未満で発症しています。
女性よりも男性に多くみられるのが特徴です。
原因は脳血管性認知症が40%、アルツハイマー型認知症が25%を占めます。
若年性認知症の年齢別患者数は以下のとおりです。

年齢 患者数
18~19歳 20人
20~24歳 370人
25~29歳 450人
30~34歳 550人
35~39歳 840人
40~44歳 1,220人
45~49歳 2,090人
50∼54歳 4,160人
55~59歳 12,010人
60~64歳 16,040人

若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について(平成21年3月19日厚生労働省発表)により作成
参考サイト:若年性認知症|厚生労働省

認知症の予防と対策

認知症は年々増加していくと推定されますが、認知症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?
予防と対策のために、脳トレ、生活習慣の改善、食事、運動について解説します。

認知症予防のための脳トレ

「鳥取大学(浦上研究室)・鳥取県・日本財団」が共同開発した8つの知的活動をご紹介します。

  1. 記憶力トレーニング:記憶力チェック・神経衰弱・日記
  2. 遂行力トレーニング:折り紙・料理・カレンダーづくり・じゃんけん
  3. 視空間認知力トレーニング:フラワーアレンジメント・絵画・貼り絵・シルエット当てゲーム
  4. 注意力トレーニング:間違い探し・点つなぎ・迷路
  5. 計算力トレーニング:計算問題・暗算
  6. 判断力トレーニング:パズル・お手玉
  7. 作業記憶力トレーニング:数字の逆唱・クロスワードパズル
  8. 効果思考力トレーニング:音読・川柳・連想ゲーム

参考サイト:脳を鍛える とりだい流「8つの知的活動」|鳥取大学医学部付属病院

認知症予防のための生活習慣

生活習慣においては、以下の4点を心がけてください。

  1. 食生活に気をつける:塩分を控える、お酒はほどほどに、バランスのよい食事
  2. 適度に運動する:ウォーキング・体操
  3. 生活を楽しむ:趣味、さまざまな活動
  4. 人と交流する:地域の活動、介護予防教室など

参考サイト:認知症の予防につながる習慣 – 東京都福祉局

認知症予防のための食事

食事のバランスを整え、生活習慣病を予防することにより、脳血管性認知症のリスクを下げられます。
エネルギー1日摂取量の6割を主食でとるようにしてください。
1回分の主食の適量を示します。

  • 女性:100~150g
  • 男性:150~200g
  • ごはん(150g)=食パン6枚切り1枚=うどん・そば1玉

参考サイト:今日から始めたい!食事で認知症予防! | 山梨県厚生連健康管理センター

認知症予防のための運動

適度に運動することも認知症予防に役立ちます。

  1. ストレッチ運動:呼吸・循環機能を整え、運動・姿勢バランス機能を高めることで脳の働きをよくします
  2. 拮抗運動:左右の手それぞれが異なる動きを行う運動で、前頭葉の働きを高めます
  3. 下肢の運動・有酸素運動:50∼80%の酸素摂取水準、最大心拍数の60~90%の運動を1回に20~60分、週に3~5回行うと効果的です

参考サイト:認知症予防プログラム(運動・レク編)運用手順|大分県ホームぺージ

まとめ

65歳以上の16%、7人のうち1人が認知症です。
認知症高齢者の人口と割合は、年々増えていくと推定されます。
また65歳未満で発症する認知症もあり、若年性認知症といいます。
したがって比較的早期から、認知症の対策を練っておくほうがよいでしょう。
本記事では、認知症予防のために、脳トレ、生活習慣の改善、食事、運動について解説しました。
認知症が心配な方は、早めに対策を練り、予防と対策を心がけてください。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:認知症  投稿日:2023年11月30日

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