反復性過眠症の症状・診断・治療
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反復性過眠症とは?
反復性過眠症は、傾眠期(眠り過ぎの期間)と正常睡眠期をくり返す状態です。以前は「周期性傾眠症」という呼び方もされていました。
過眠症のなかでも珍しい病気で、一般的にはほとんど知られていません。
主に10代で発症し、男性に多いのが特徴です。
傾眠期には1日中眠っていることもあるため、学業に支障をきたします。
その状態がずっと続くわけではなく普段は正常な睡眠状態で、不定期に傾眠期が出現するため、それが「病気」と認識されることが少なく、「やる気がない」「自分勝手」など誤解されてしまうこともあります。
反復性過眠症の症状
反復性過眠症の主な症状は、
- 睡眠時間が異常に多くなる「傾眠期」が不定期でみられる
- 傾眠期以外は正常な睡眠状態
となります。
この過眠症はずっと継続するわけではありません。過眠と正常睡眠の期間が不定期に入れかわります。普段の睡眠は正常ですが、過眠状態になる傾眠期にはほぼ1日中眠り続けることも多く、18時間以上眠ることもあります。無理やり起こそうとしてもなかなか覚醒せず、またすぐに眠りこんでしまいます。
傾眠期と正常睡眠期の境目はあいまいで、傾眠状態の睡眠時間が徐々に短くなり、正常睡眠に戻っていくようなサイクルになります。傾眠期が現れる間隔もバラバラで、数週間おきのこともあれば、数か月間隔のこともあります。
一部の患者さんでは、傾眠期の後半で過食・暴力行為・性的な逸脱行動などがおこるケースがあります。そのようなタイプは「Kleine-Levin症候群」と呼ばれて区別されていますが、反復性過眠症の一種だと考えられています。
反復性過眠症の診断
反復性過眠症の診断では、以下のようなポイントが重視されます。
- 2日~3週間程度続く傾眠期がくり返されている
- 傾眠期は1年に1回以上出現する
- 傾眠期と傾眠期の間の睡眠状態は正常
- 傾眠は他の病気や薬剤などの影響ではない
診断のときは医師が患者さんを診察し、上記のポイントを中心に病気を判断していきます。他の過眠症や過眠の原因となる病気と判別するため、PSGなどの睡眠の検査が行われることもあります。
反復性過眠症の原因
傾眠期に脳のオレキシン(脳を覚醒させる物質)濃度をはかると、低下が認められることが報告されています。このことから、傾眠期には脳に何らかの変異がおきていると推測されますが、その理由ははっきりとわかっていません。
何らかの刺激が覚醒中枢(脳の覚醒を保持する部分)や睡眠中枢(睡眠をコントロールする部分)のバランスを乱し、不定期で傾眠期が現れるのではないかと考えられています。
その引き金として、心身のストレスもかかわっていると推定されています。ひどい風邪、過労、睡眠不足、過度な飲酒などをきっかけにして傾眠期が現れることがあります。
また、反復性過眠症は男性に発症しやすい特徴から、遺伝的な影響も原因の1つとして考えられています。反復性過眠症の患者さんでは特定のHLA(ヒト白血球抗原)遺伝子を持つ率が高いことも報告されています。
反復性過眠症の治療
現在のところ反復性過眠症に特効薬はありませんが、傾眠期の予防に有効性が確認されているお薬がいくつかあります。
とくに双極性障害(躁うつ病)の治療で使う気分安定薬に有効性が認められています。気分安定薬にはいくつかの種類がありますが、
- リーマス(炭酸リチウム)
というお薬に傾眠期を予防する効果が確認されているため、よく使われています。
また、
- モディオダール・ベタナミン
などの中枢刺激薬も効果が認められることがあります。ADHDなど発達障害と重なっている場合は、ほかの精神刺激薬が用いられることもあります。
意欲を高めるタイプの抗うつ剤が効果を認めることもあります。
治療はお薬が軸になりますが、心身のストレスが多くなると傾眠期が現れやすい傾向があるため、可能な範囲で心身を疲労させ過ぎないような生活の見直しも勧められます。
- 精神的なストレスをため過ぎないようにする
- 正常睡眠期には寝不足を避け、睡眠リズムを整える
- アルコールを控える
などを心がけ、日ごろから生活リズムやストレスコントロールをし、安定した心身を保つことが予防につながります。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:過眠症 投稿日:2023年3月23日
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