アルコール・タバコ・コーヒーと睡眠の関係
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はじめに
アルコール・タバコ・コーヒー、みなさんお馴染みかと思います。
さて、これらは睡眠にとってはよいのでしょうか?
カフェインは睡眠に良くないということはご存知かと思います。ですが、アルコールやタバコは誤解されている方が多いです。
これらはすべて、睡眠には悪影響です。そのわけを詳しくお伝えしていきます。
アルコールと睡眠
お酒を飲むとよく眠れると思われている方も多いかと思います。ですがこれは大きな過ちです。
日本人が頼るのはお酒
この統計は2002年に10か国の企業労働者35,327人にアンケート調査したものになります。古い統計にはなりますが、日本人の不眠のときの対処法の傾向があわられています。
不眠で悩んだとき、日本人はお酒に頼ってしまいます。意外かと思いますが、他国と比較してもかなり多いです。そして、医者に受診はダントツに低いです。
お酒を飲むと寝つきがよくなると思われている方はかなり多いです。確かに寝つきは一時的によくなります。ですが、すぐに逆効果になってしまいます。
アルコールが睡眠によくない5つの理由
アルコールを少し飲むと、寝つきが良くなるのは事実です。アルコールが脳に達し、覚醒させる働きをしている脳幹網様体賦活系というところに働きます。これが抑制されて眠くなります。この効果のために、寝酒をされる方が多いです。
ところが、アルコールは5つの点で睡眠によくありません。
- 睡眠の質を悪化
低用量のアルコールでは、睡眠相に影響はないですが、徐々に寝つきが悪くなり、睡眠時間が長くなる傾向があります。
高用量のアルコールでは、REM睡眠が減少して深い眠りが増加しますが、睡眠の後半に交感神経の活動が高まります。このため、睡眠が続かなくなり、変な時間に目が覚めるようになります。
- トレイが近くなる
お酒を飲んでいる時にトイレが近くなることは、皆さんもご経験があるかと思います。水分をたくさん摂っているということもありますが、アルコールには、おしっこが作られないようにするホルモン(抗利尿ホルモン)をブロックする働きがあります。
本来は、睡眠中に分泌される抗利尿ホルモンが働かなくなるために、膀胱の中におしっこがたまります。さらに睡眠の後半になると、眠り自体がアルコールために浅くなるので、尿意で目が覚め、睡眠が分断されてしまいます。
- 舌の筋肉が緩むことで、気道が圧迫される
アルコールは筋肉の弛緩作用があります。このため、仰向けで眠ったときに、ゆるんだ舌がのどに落ち込みやすくなります。
これにより空気の通り道が狭くなり、イビキをかきやすくなります。体に酸素を十分に運べなくなるので、睡眠が浅くなり中途覚醒が増えます。
- アルコールに慣れて少しずつ強くなっていくこと
アルコールを毎日飲み続けていると、はじめの量ではだんだん寝付けなくなります。睡眠時間を確保しようとしてお酒の量が増えてしまい、結果としてアルコール依存症になるリスクが高まります。
- 離脱症状
しばらくお酒を飲み続けていると、急に飲酒を中断すると、身体がビックリして一時的に不眠がひどくなります。REM睡眠が増加し、寝つきも悪くなります。このためお酒を再び飲みはじめ、やめられなくなってしまいます。
アルコールと睡眠のまとめ
このように最初はアルコール摂取で寝つきが良くても、慢性的に摂取することでその効果がなくなるので、アルコールの摂取量が増えてアルコール依存症となる危険性がでてきます。
特に高齢者では、寝る前にアルコールを飲むと、トイレに行く際などにふらついて転倒する可能性が出てくるので注意が必要です。
また、アルコールは睡眠薬と同時に内服すると、記憶障害やもうろう状態、いびきや無呼吸を悪化しやすいため併用してはいけません。
このため、就寝前の飲酒は控えるべきです。
タバコと睡眠
タバコはリラックスするから睡眠によい!このように誤解されている方がたくさんいらっしゃいます。ですが、タバコは睡眠に悪影響なのです。
タバコに含まれるニコチンの身体への作用は複雑です。ニコチン性アセチルコリン受容体に作用して、刺激と抑制の両作用があります。このため覚醒作用と鎮静作用の両方があります。ですが、より強く表れるのは覚醒作用の方です。そのため、寝タバコは完全に逆効果と言えます。
タバコに含まれるニコチンは刺激が強く、しかも効果が非常に早く表れます。タバコを吸ってから10秒以内にニコチンは脳に到達します。ニコチンの体内での半減期は約2時間なので、喫煙者も就寝前の2時間はタバコを吸わない方が睡眠の質はよくなります。
非喫煙者に比べて喫煙者は、床に就いてから寝つくまでの時間が平均5分長く、総睡眠時間が14分短いという報告もあります。また、浅い睡眠が24%多く、深い睡眠が14%減となったとも報告されています。さらに睡眠時無呼吸症候群になる確率が、非喫煙者に比べて2.5倍も高いといわれています。
また、目覚めたときにすぐタバコを吸いたくなる人は、ニコチン依存症になっている可能性が高いです。睡眠中は血液中のニコチン濃度が低下しますが、ニコチン依存症だとこの状態に耐えられなくなっています。このため、起きてすぐにニコチンを補給せずにはいられなくなってしまいます。もっと悪化していくと、途中で目が覚めるようになっていきます。
コーヒー(カフェイン)と睡眠
コーヒーはカフェインがたくさん含まれています。カフェインをとると目が覚めることはみなさんご存知の通りです。
カフェインは、興奮物質になります。ですから、交感神経が刺激され、緊張状態となります。また、カフェインは胃酸分泌亢進作用や利尿作用があります。これによって睡眠が妨害されることもあります。
カフェインは摂取してから30分程度で覚醒効果が始まり、1時間後に効果はピークを迎えます。半分になるのに3~7時間と個人差は大きく幅がありますが、およそ3~4時間は効果が持続します。
ですから、少なくとも就寝4時間前のコーヒーは避けていただいたほうが、睡眠にとってはよいと思われます。
カフェインはおよそコーヒー1杯で100mgほど含まれています。一日に250mg以上とると急性中毒症状がおこるかもしれないといわれています。また日常で大量のカフェインをとっていると、カフェインがないと離脱症状がおこってしまうようになることもあります。
カフェインは日常に浸透していて、コーヒーに限らず様々なものに含まれています。総合感冒薬、解熱鎮痛薬、栄養ドリンク、コーラ、紅茶、お茶、チョコレート、ココアなど様々です。コーヒーやお茶でしたら、水出しすることでカフェインは少なくなります。
※詳しく知りたい方は、『カフェインのとりすぎは危険?カフェイン中毒とカフェイン離脱症状』をお読みください。
まとめ
日本人は病院に受診するよりも、お酒に頼る方が多いです。
アルコールが睡眠に悪影響な理由は5つあります。
- 質が悪化する
- トイレで起きる
- 舌の筋肉が緩み、呼吸しにくい
- 少しずつ強くなってしまう
- やめる時に睡眠が悪化する
ですから、就寝前の飲酒は控えるべきです。
タバコも睡眠に悪影響です。寝タバコは避け、就寝前2時間はあけるのが理想です。
カフェインを含むコーヒーは、夕食以降に飲まないのが理想です。もしくは水出ししましょう。
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カテゴリー:不眠症(睡眠障害) 投稿日:2023年3月23日
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