睡眠と食事・牛乳・水分の関係

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はじめに

「お腹がすきすぎて眠れない…」

多くの皆さんが経験されているかと思います。そんなときについついカップラーメンやインスタントラーメンなどの夜食に手を出してしまう人も多いのではないでしょうか。

睡眠と食事は密接に関係しているといわれています。確かに空腹時は覚醒が強まることがわかっています。だからといって、寝る前に食事をとればよいのかというと、そうではありません。

ここでは、食事と睡眠の関係について考えていきたいと思います。それに加えて、睡眠によいといわれている牛乳と睡眠の関係、睡眠薬と食事の関係についてもみていきましょう。

睡眠への食事の影響とは?

睡眠への食事の影響を考えるには、体内時計のリズムを考える必要があります。

体内時計は、覚醒と睡眠のリズムをつくっています。それだけでなく、食欲・体温・心肺機能・性欲・代謝・免疫など様々な機能をコントロールしています。人間は本来、約24.2時間の体内時計のリズムで生きているといわれています。

朝の光や食事は、その体内時計を調整しています。ですから、朝食をきっちりとることがとても重要です。朝に食べ物が胃に入ることが刺激となり体がめざめます。また、これにより腸にも刺激が伝わり便通がよくなります。そして、体内時計のリズムをしっかりと確立させるために、3食しっかり規則正しく食べた方がよいです。

夜食との関係はどうでしょうか?空腹では覚醒することがわかっていますし、食事をとることで眠くなることは間違いではありません。ですが、食事をとり過ぎてしまうと体内時計のリズムが乱れてしまいます。

一方で、空腹感が強すぎると交感神経が活発になって不眠の原因にもなります。ですから、あまりに空腹感が強い時は、夜食をとるとしても少量にしましょう。後述しますが、牛乳をコップ1杯程度飲むくらいがよいと思います。

就寝前の水分はどれくらいがよいの?

夜に尿意で目を覚めてしまう方では、水分には気を付ける必要があります。入浴や睡眠中の発汗により水分は失われますので、少しは取った方がよいです。ですが、就寝前および起床後には、それぞれコップ1杯程度の水にとどめておいた方がよいです。

また、カフェインとアルコールには利尿作用があるので注意が必要です。コーヒーやお酒を飲むとトイレが近くなるのはご経験があるかと思います。

カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶やお茶などにも含まれています。お酒は、抗利尿ホルモンをブロックしてしまうので尿がたまりやすくなります。これらは、夕食以降はひかえるようにしましょう。

また、男性の場合は、年をとるにつれて前立腺が肥大してきます。そうなると、膀胱の刺激に過敏となり頻尿となります。女性も過活動膀胱である可能性もあります。水分の工夫をおこなったのにもかかわらず、夜間のトイレが改善されない場合は泌尿器科に受診してください。

牛乳は睡眠によいのか?

牛乳が睡眠によいということがよくいわれています。

確かに牛乳はトリプトファンを多く含んでいます。このトリプトファンはリラックスする脳内物質であるセロトニンや、睡眠のホルモンであるメラトニンの材料になります。このようにトリプトファンは材料にはなりますが、だからといってこれらの物質が増えるわけではありません。

実際に、200ml程度の牛乳が睡眠を改善したという報告もあります。ですが、規模の小さな研究なので定かではありません。

空腹感が強くて眠れない場合、牛乳を1杯のむというのはよいかもしれません。

睡眠薬の食事や水分に関わる注意点

睡眠薬を服用されている患者さんでは、食事や水分に関してどのようなことに注意したらよいのかをお伝えしていきます。

睡眠薬を適切に使っていくために、以下のことを守ってください。

睡眠薬は食後ではなく空腹時に

薬は腸で吸収されます。食事をすると薬が胃から腸に運ばれるのに時間がかかります。すると吸収がゆっくりになりますので、血中濃度が変化します。

どのように変化するかというと、最高血中濃度(Cmax)が低下し、最高血中濃度到達時間(Tmax)は遅れます。つまり薬の効果でいうと、効いてくるまで時間がかかり、効きが弱くなります。

睡眠薬はもともと、空腹時を想定して作られています。ですから、なるべく空腹時に服用するようにしましょう。

睡眠薬は水で服用する

水分は大量にとると、睡眠薬が腸に届くのを遅らせます。さらに冷たい水はさらに吸収を遅らせます。ですから、睡眠薬を飲むときは、少量のぬるま湯が一番効きます。ですが大変なので、水で十分です。

また、グレープフルーツジュースは飲まないようにしましょう。薬を分解する肝臓の働きを抑えてしまいます。特にハルシオンは注意が必要です。

このため、薬が身体にたまりやすくなります。一見良いことに思えるかもしれませんが、記憶障害や持ち越しなどの副作用が起こるリスクが増えます。

これは、グレープフルーツジュースを朝にとっても同じように働いてしまうので、気を付けてください。

※詳しく知りたい方は、『グレープフルーツジュースとお薬の飲み合わせとは?』をお読みください。

まとめ

規則正しく食事をとることが、体内時計のリズムにつながります。寝る前は、ほどほどの空腹が理想です。

睡眠薬は空腹時を想定して作られています。ですから、空腹時に服用するようにしましょう

寝る前の水分はコップ1杯程度にしましょう。

空腹が強い時は、コップ1杯程度の牛乳はよいかもしれません。

少量のぬるま湯での服薬が理想ですが、水で結構です。グレープフルーツジュースは取らないようにしましょう。

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カテゴリー:不眠症(睡眠障害)  投稿日:2023年3月23日

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