インチュニブの特徴
<メリット>
- 他のお薬との併用での増強効果が期待できる
- 依存性や乱用のリスクが少ない(注:コンサータ・ストラテラと比較して)
<デメリット>
- 眠気の副作用がある
- 噛んだり割ったりできない
- ジェネリックが発売されていない(薬価が高い)
それではインチュニブの特徴を、
に分けてみていきましょう。
インチュニブの効果
インチュニブは、脳内でドパミン・ノルアドレナリンを受け取りやすくし、脳の働きを円滑にしてくれます。
他のADHD治療薬とは異なり、静穏作用を持つのが特徴です。
インチュニブはコンサータと違って流通が管理されていないため、どこの医療機関でも処方してもらうことが可能なお薬です。
インチュニブの副作用
インチュニブは、ADHD治療薬であるコンサータ・ストラテラと比べると依存性が少ないです。
しかし、全体的な副作用の数値を見ると、コンサータ・ストラテラ・インチュニブともさほど差はないようです。
インチュニブは効果がマイルドにみえる分、副作用が少ないイメージがありますが、勝手な思い込みは禁物です。
また、インチュニブは元は血圧を下げるお薬として販売されていたため、血圧低下に注意が必要です。
注:インチュニブ・コンサータ・ストラテラは6歳以上に使用可能
小児ADHD患者におけるインチュニブ・コンサータ・ストラテラ服用時の副作用(承認時までの集計)
|
傾眠 |
頭痛 |
倦怠感 |
インチュニブ |
57.5% |
12.2% |
7.9% |
コンサータ |
報告なし |
8.3% |
0.5% |
ストラテラ |
14.0% |
22.3% |
5.4% |
成人ADHD患者におけるインチュニブ・コンサータ・ストラテラ服用時の副作用(承認時までの集計)
|
傾眠 |
口渇 |
体位性めまい |
インチュニブ |
41.3% |
30.9% |
19.6% |
コンサータ |
1.1% |
14.7% |
0.1% |
ストラテラ |
13.3% |
18.7% |
0.7% |
ADHD治療薬の中でのインチュニブ
ADHD治療薬としては、成人では3つのお薬が承認されています。
インチュニブはどのような位置づけなのかをみていきましょう。
|
コンサータ |
ストラテラ |
インチュニブ |
即効性 |
即効性が強い |
穏やかな効果 |
ある程度の即効性 |
持続性 |
持続しにくい |
持続しやすい |
持続しやすい |
覚醒度 |
覚醒しやすい |
覚醒しにくい |
鎮静作用がある |
実際のきき方のイメージを、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
ADHDでは、シグナルノイズ比(S/N比)が低下しているといわれていて、情報が雑音にぼやけている状態となっています。
ドパミンが低下すると雑音(ノイズ)が強まり、ノルアドレナリンが低下すると情報(シグナル)を弱めてしまいます。
これに対してインチュニブは、ノルアドレナリンを強まることでシグナルを強くしていきます。ストラテラも同様のメカニズムです。
ですからインチュニブでは、全体的な音量がアップするようなイメージで自然と情報に注意が払えるようになっていきます。
患者さんの実感として、メモリーが増設された感覚と表現された方もいらっしゃいました。
一方でドパミンの働きを強めるコンサータは、ノイズが減少してシグナルに集中できるようになります。
このため、やや自然さがない改善に感じる方もいらっしゃいます。
インチュニブの剤型と薬価
インチュニブのお薬としての特徴についてみていきましょう。
インチュニブにはジェネリック医薬品は販売されておらず、先発医薬品のみとなります。
徐放錠とは、お薬の服用後に長時間効果が続くよう設計された錠剤のことです。
2023年4月現在の薬価について
となります。
薬価に自己負担割合(1~3割等)をかけた金額が、患者さんの自己負担になります。薬局では、これにお薬の管理料などが加えられて請求されています。
また、各種医療制度を利用されている患者さんは、請求額が変わってきます。(こども医療費助成等)