レメロンの効果と副作用
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レメロンとは?
レメロン(一般名:ミルタザピン)は、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)に分類される新しい抗うつ剤になります。
セロトニンとノルアドレナリンの働きを高める作用のあるお薬で、
- セロトニン:不安や落ち込み
- ノルアドレナリン:意欲や気力
といった精神症状の改善に効果が期待できます。ですからうつ状態だけでなく、不安の病気にも使われています。
レメロンは、四環系抗うつ薬に分離されるテトラミド(一般名:ミアンセリン)が改良されたお薬になります。
効果がしっかりとしており、不眠や食欲低下などのうつ状態によく認められる症状の改善も直接的に期待できるお薬になります。
その一方で眠気や体重増加などの副作用が目立ち、とくに飲み始めの眠気に耐えられるかが問題となるお薬になります。
NaSSAは現在、
- リフレックス/レメロン(一般名:ミルタザピン):2009年発売
と一種類のみになります。
2社が共同で開発したため、2つの会社からリフレックス錠とレメロン錠というお薬が発売されていますが、どちらも同じ先発品になります。
ジェネリック医薬品は、2018年12月にミルタザピン錠として発売されました。
効果のわりに副作用が少ない抗うつ剤としてSSRIやSNRIがありますが、これらと合わせて新規抗うつ剤と呼ばれています。
レメロンの効果が期待できる病気
レメロンはどのような効果が期待できるのでしょうか。
レメロンは、セロトニンとノルアドレナリンを増加させるお薬になります。
さらには抗ヒスタミン作用(ヒスタミンの働きをブロックする作用)が認められます。
- セロトニン:落ち込みや不安
- ノルアドレナリン:意欲や気力
- 抗ヒスタミン:眠気や食欲増加
といった作用が認められます。
このため、
- うつ病・うつ状態
- 様々な不安障害
- 外傷後ストレス障害(PTSD)
- 不眠症
に効果が期待できます。
うつ状態の方では、不眠や食欲低下といった症状が目立つ方に使われることが多いです。
飲み始めの眠気が強いため、休職中や専業主婦の方、高齢者などに使われることが多いです。
お仕事がある方は、連休を利用して開始することもあります。
後述しますがレメロンは吐き気を抑えるため、SSRIやSNRIの副作用として多い胃腸障害が気になる方、とりわけ嘔吐恐怖が認められる方に使われます。
このように不眠や食欲低下、吐き気などが認められる方には直接的な効果が期待でき、不眠症や不安障害の方にも使われます。
またレメロンは他の抗うつ剤とは作用のメカニズムが異なるため、SSRIやSNRIで効果が認められなかった場合にも、レメロンへの変更や併用によって改善が期待できます。
レメロンの適応が正式に認められている病気
日本でレメロンの適応が正式に認められている病気は、以下のようになります。
- うつ病・うつ状態(2009年)
これは海外でも同様で、レメロンはうつ病やうつ状態のみの適応となっています。
レメロンの特徴
<メリット>
- 効果がしっかりとしている
- 1日1回の服用で効果が期待できる
- 不眠に有効
- 食欲低下に有効
- 吐き気や性機能障害が少ない
- 独自の作用メカニズムでSNRIと相性がいい
- 離脱症状が少ない
<デメリット>
- 眠気が強い
- 太りやすい
それではレメロンの特徴を、
- 効果
- 副作用
- 剤形と薬価
に分けてみていきましょう。レメロン以外の抗うつ剤との比較も行っていきます。
レメロンの効果
レメロンは、セロトニンやノルアドレナリンをしっかりと増加させるお薬です。
このため、
- 落ち込み
- 不安
- 意欲や気力
に対する効果が期待できます。
MANGA studyと呼ばれる抗うつ剤を比較した有名な研究では、レメロンはもっとも有効性が高いという評価を受けています。
またレメロンは眠気と食欲増加が副作用として認められ、それを逆手にとって治療に使われることも多いです。
睡眠や食欲が改善することで、効果の実感も得やすいお薬になります。
それではレメロンは、抗うつ剤の中でどういった効果の位置づけなのでしょうか。
レメロンの作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。
NaSSAであるレメロンは、
- セロトニンとノルアドレナリンの効果が期待できる
- 抗ヒスタミン作用が強い
ということがお分かりいただけるかと思います。
レメロンは、四環系抗うつ薬のテトラミドを改良したお薬です。副作用を軽減させ、効果が増強されています。
ですが抗ヒスタミン作用が強く、眠気や体重増加が問題となることが少なくありません。
治療の中で他のお薬と併用することがありますが、とくにSNRI(サインバルタやイフェクサー)とは相性が良いといわれていて、カルフォルニアロケット療法ともいわれています。
レメロンの副作用
レメロンの副作用は、眠気と食欲増加が問題となることが多いです。
しかしながら昔の抗うつ剤と比べると明らかに副作用は少なく、新規抗うつ薬に分類されます。
レメロンの副作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。
レメロンの副作用として中心になるのは、抗ヒスタミン作用による
- 眠気
- 体重増加
になります。
他の新しい抗うつ剤であるSSRIやSNRIでは、セロトニンを刺激しすぎることでの副作用が目立ちます。
- 嘔吐や下痢といった胃腸障害
- 睡眠が浅くなる不眠
- 性機能障害
こういった症状は、レメロンでは少ないです。
お薬承認時のレメロンの副作用頻度は、
- 傾眠(50.0%)
- 口渇(20.6%)
- 倦怠感(15.2%)
となっています。
レメロンの剤形と薬価
レメロンのお薬としての特徴についてみていきましょう。
現在レメロンは、
- 15mg錠
- 30mg錠
の2剤形となります。ジェネリック医薬品のみ、それぞれのOD錠が発売されています。
薬価は、
- 15mg錠:84.3円(ジェネリック:16.6~32.2円)
- 30mg錠:142.4円(ジェネリック:29.9~52.7円)
- 15mgOD錠:(ジェネリック:16.6~30.1円)
- 30mgOD錠:(ジェネリック:29.9~48.0円)
※2023年4月現在になります。
これに自己負担割合(1~3割)をかけた金額が、患者さんの自己負担になります。薬局では、これにお薬の管理料などが加えられて請求されています。
レメロンでは2018年12月より、ジェネリック医薬品が発売となりました。これによって、薬価が大幅に下がりました。
レメロンの用法と効果のみられ方
レメロンは、以下のようなお薬になります。
- 開始用量:15mg(7.5mg~のことも多い)
- 用法:1日1回就寝前
- 最高用量:45mg
- 剤形:錠(15mg・30mg)
レメロンは1日1回服用を続けることで、少しずつ効果が期待できるお薬です。
睡眠や食欲に関する効果はすぐに認められることが多く、抗うつ剤の中では早めに効果の実感がみられることがあります。
眠気が強いお薬ですので、就寝前に服用することが一般的です。食事による影響はあまり大きくありません。
眠気の副作用は、2~3日をピークに、1~2週間で慣れていくことが多いです。
飲み始めは眠気や倦怠感が強く出やすいため、用法の半分の7.5mgから始めていくことが多いです。
仕事をされている方などでは、まずは連休前の夜からお薬を開始するのも方法です。
眠気に慣れてきたら2週間ごとを目安に、効果が不十分な場合は増量していきます。
- 7.5mg→15mg→30mg→45mg
このように増やしていきます。
30mgまで増量して効果がない場合は、経験的に45mgまで増量しても変わらないことが多いです。
このため30mg~45mgまで増量して効果が不十分な場合は、
- 他の抗うつ剤を追加
- 抗精神病薬や気分安定薬を追加(増強療法)
- 薬物療法のアプローチの変更(診断の見直し)
を検討していきます。
抗うつ剤を併用する場合は、とくにSNRI(サインバルタやイフェクサー)との相性が良いといわれています。
カルフォルニアロケット療法ともいわれています。作用のメカニズムが異なっているため、相乗効果が期待できます。
【参考】レメロンの半減期
お薬の効き方を見ていくにあたっては、
- 半減期:血中濃度が半分になるまでの時間
- 最高血中濃度到達時間:血中濃度がピークになるまでの時間
が重要になってきます。
レメロンは、
- 半減期(T1/2):32時間
- 最高血中濃度到達時間(Tmax):1時間
となっています。
レメロンは1時間ほどでピークになり、そこから32時間で半分の量になるということになります。ですから1日1回の服用が可能なのです。
そしてお薬の血中濃度は、飲み続けていくことで安定していきます。
およそ半減期の4~5倍の時間で安定するといわれていて、このようになると定常状態と呼ばれます。
ですからレメロンの血中濃度は、安定するまでに5日~1週間ほどかかります。
服用時期でみたレメロンの副作用
レメロンの飲み始めに注意すべきことは、眠気の副作用です。
レメロンの副作用として最も多く、そして中止の理由として最も多いのも眠気になります。
レメロンの眠気は2~3日をピークに、1~2週間ほどで慣れていくことが多いです。
しかしながら一日中ボーっとしてしまったり、眠気が続いてしまったりします。
SSRIやSNRIの飲み始めとして多い賦活症候群(アクチベーション シンドローム)は、多くありません。
中枢神経を刺激しすぎることで躁転してしまうなどのリスクは低く、鎮静系抗うつ薬と呼ばれています。
服用中に問題になるのは、
- 眠気が続く
- 食欲の増加
といったことがあります。
眠気に慣れてきて服用はできても、多少の眠気や倦怠感が続いてしまうことがあります。
また、食欲の増加によって体重増加につながってしまうことが少なくありません。
そしてレメロンは、お薬を減量していく際には離脱症状が認められることがあります。
身体にお薬が慣れてしまい、急激に減量すると心身の不調が生じてしまうことがあるのです。
他の抗うつ剤に比べると明らかに少ないのですが、急に減量してしまうことで精神的に不安定になったり、不眠や食欲低下、めまいや倦怠感が認められることがあります。
ですから、減量は少しずつ行っていくことが必要です。
レメロンの副作用の対処法
レメロンの副作用が認められた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
レメロンの副作用が認められた場合、
- 何とかなるなら様子を見る(経過観察)
が基本的な対処法となります。お薬を飲み続けるうちに身体が少しずつ慣れていき、落ちついてくることが多いためです。
生活習慣で改善ができる部分もあれば、副作用を和らげるお薬を使っていくこともあります。
レメロンの副作用で頻度が最も多いのが、
- 眠気
- 太る
の2点です。
どちらも生活に支障となりやすい副作用になります。対処法も含めてみていきましょう。
レメロンと眠気
レメロン承認時の副作用頻度では、
- 傾眠:50.0%
となっています。実にレメロンを使った2人に1人は、眠気の副作用が認められます。
レメロンはその結果の通り、理論的にも眠気が強いお薬です。その原因は、大きく2つの作用にあります。
- 抗ヒスタミン作用
- 抗セロトニン2A作用
抗ヒスタミン作用とは、花粉症のお薬や風邪薬にも含まれていますので、その眠気と同じ働きになります。
レメロンでは抗ヒスタミン作用が強く、眠気の一番の原因となります。
またセロトニン2A受容体をブロックしますが、こちらも睡眠を深くします。
SSRIやSNRIでは不眠の副作用が認められますが、この受容体を刺激してしまうことが原因となります。
これらの2つの作用が重なり、レメロンは眠気の副作用がもっとも多いです。
レメロンで眠気が認められた場合の対処法としては、
- 慣れるまで待つ
- お薬を少量から開始する
- 他の抗うつ剤に変更する
といったことがあります。
花粉症や風邪薬と同様に、眠気は少しずつ慣れることが多いです。ですから何とかなりそうならば、様子を見てください。
お薬を少量から開始することで、眠気の副作用が軽減できることがあります。錠剤を粉砕して、1/4錠から開始することもあります。
どうしても眠気が耐えられない場合は、他のお薬に変更していきます。
レメロンと体重増加(太る)
レメロンの副作用としてもう一つ問題になるのが、体重増加になります。
レメロン承認時の副作用頻度では、
- 体重増加:10.3%
- 体重減少:0.6%
となっています。さらには男女の性差もあると報告されていて、女性は男性の2倍以上で体重増加が認められる
レメロンが太りやすい理由としては、
- 抗ヒスタミン作用による食欲増加
- 抗セロトニン2C作用による食欲増加
- セロトニンによる代謝抑制
これらがあげられます。
もっとも食欲増加に影響するのが、ヒスタミンをブロックする作用です。
脳内でのヒスタミンには覚醒作用があり、食欲も増加させてしまいます。
セロトニン2Cをブロックすることも、食欲増加につながります。
こういった食欲増加に加えて、セロトニンによって精神が安定してリラックスすることにより、エネルギー消費が抑えらえれて代謝が抑制されます。
このような直接的な食欲増加と代謝抑制が重なり、レメロンは太りやすいお薬になります。
レメロンで体重増加が認められる場合の対処法としては、
- 生活習慣を見直す
- 運動習慣を取り入れる
- 食事の際によく噛むようにする
- お薬の量を減らす
- 他の抗うつ剤に変更する
といったことがあります。
レメロンの離脱症状と減薬方法
レメロンを減量していく際には、離脱症状が認められることがあります。
レメロンでは離脱症状は多くはありませんが、長期間服用しているときには注意しなくてはいけません。
からだにお薬があることが当たり前になっていくと、急激にお薬を減らしてしまうと、心身に不調が生じてしまうことがあります。
- 身体症状:しびれ・耳鳴り・めまい・頭痛・吐き気・だるさ
- 精神症状:イライラ・ソワソワ感・不安・不眠
- 特徴的な症状:シャンピリ感・ビリビリする
これらのうちレメロンでは、不安や落ち込みなどの精神的な不安定さ、不眠、倦怠感などが認められることが多いです。
シャンピリ感などの特徴的な症状は、SSRIやSNRIで多いです。
これらの離脱症状は、薬が減って1~3日ほどして認められます。
2週間ほどで収まっていくことが多いですが、月単位で続いてしまう方もいらっしゃいます。
こういった離脱症状を防ぐために、レメロンの減量は少しずつ行っていく必要があります。まずは少しずつ量をへらしていきます。
レメロンは、
- 30mg→15mg→7.5mg
といった具合に、7.5mg~15mgずつ少しずつ減量していくことが多いです。
離脱症状は、抗不安薬(精神安定剤)を使うと症状が緩和することがあるため、必要に応じて頓服や併用を行っていきます。
このように少しずつ減量していく漸減法を行っていくことが一般的ですが、服用間隔を少しずつ伸ばしていく隔日法を行っていくのも方法です。
お薬を一気に中止して断薬することが難しいことも多く、その場合は少しずつお薬を間引きしながら、断薬を目指していきます。
レメロンの運転への影響
海外の研究では、レメロンを服用していても自動車運転や機械操作に対して与える影響は軽微~中等度と報告されています。
ですがレメロンは、眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性はあります。ですからレメロンの添付文章では、
眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
となっており、運転は禁止とされています。
レメロンの飲み始めなど、以下のような場合は運転は避けてください。
- はじめて使ったとき
- 他のお薬からの切り替えをしたとき
- 量を増減させているとき
- 体調不良を自覚したとき
症状が落ち着いてくると、むしろ病状の回復に伴って認知機能も回復に向かいます。
さらには眠気に慣れてしまうと、認知機能にまったく問題なさそうな方もいらっしゃいます。
その場合は運転をされている方もいますが、あくまで自己判断での運転となってしまいます。
レメロンの妊娠・授乳への影響
レメロンの妊娠への影響から見ていきましょう。レメロンのお薬の添付文章には、
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。
このように記載されています。
もちろん妊娠中は、お薬を避けるに越したことはありません。
しかしながらレメロンを中止したら病状が不安定になってしまう場合は、お薬を最小限にしながら続けていくことが多いです。
レメロンは動物実験で最高用量の2倍で投与したときに、流産の増加や新生児の体重増加の抑制や死亡率増加の報告があります。
しかしながらレメロンが奇形を引き起こしたり、胎児の発育に影響するという明かな報告はありません。
レメロンが影響するのは、むしろ産まれた後の赤ちゃんになります。
胎盤を通してお薬が赤ちゃんにも伝わっていたものが、急に身体からなくなります。
これによって、新生児離脱症状がまれに生じることがあります。
早めに見つけて症状を和らげる治療をおこなっていけば、問題ないことがほとんどです。
後遺症が残るたぐいのものではないので、産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。
次に、レメロンの授乳への影響をみていきましょう。レメロンのお薬の添付文章には、
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。
このように記載されています。
しかしながら授乳についても、明らかなネガティブな報告はありません。
母乳で育てることは、赤ちゃんにも非常に良い影響があるといわれています。
ご自身での判断にはなりますが、レメロンを服用していても授乳を続ける方がメリットが大きいようにも思います。
母乳を通して赤ちゃんにレメロンの成分が伝わってしまうことは、動物実験だけでなく人間でも確認されています。
乳児検診で体重が増えていかないといったことがあれば、医師と相談したほうが良いでしょう。
海外の妊娠と授乳に関する基準
海外の妊娠と授乳に関する基準をご紹介します。
妊娠への影響:FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準
- A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
- B:ヒトでの危険性の証拠はない
- C:危険性を否定することができない
- D:危険性を示す確かな証拠がある
- ×:妊娠中は禁忌
授乳への影響:Hale授乳危険度分類
- L1:最も安全
- L2:比較的安全
- L3:おそらく安全・新薬・情報不足
- L4:おそらく危険
- L5:危険
レメロンは、FDA基準で「C」、Hale分類で「L3」となっています。
レメロン錠のジェネリック医薬品
レメロンは、2009年に発売されたお薬になります。
お薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から10年ほどは成分特許が製薬会社に認められて、独占的に販売できるようになります。(先発品)
レメロンのジェネリックは、この特許が切れた後に発売されます。(後発品)
2018年11月ごろにジェネリック医薬品の発売が見込まれています。
ジェネリック医薬品の名称は、近年は薬の一般名がつけられます。レメロン錠であれば、ミルタザピン錠となっています。
ジェネリック医薬品になると、様々な製薬会社が製造を行います。これらのお薬は有効成分は同じですが、それぞれが微妙に異なります。
というのも、お薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。
ですがジェネリック医薬品は、先発品と同じように効果を示すための試験をクリアしていて、血中濃度の変化がほぼ同等になるように作られています。
レメロンは即効性を期待するお薬ではないため、ジェネリック医薬品が発売されれば、変更しても効果に大きな差はないと推定されます。
理屈ではそうですが、心配になってしまう方もいらっしゃいます。その場合はもちろん、先発品のまま使っていくことも可能です。
【参考】レメロンの作用機序
最後に、レメロンの作用の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。
レメロンは、どのようにして効果が認められるのでしょうか。
分かっていないことも多いのですが、モノアミン仮説がもっとも理解しやすく一般的です。
モノアミンとは、脳内の神経伝達物質になります。神経細胞と神経細胞の間を橋渡しをする物質で、情報を伝える働きがあります。
レメロンなどの抗うつ剤は、このモノアミンの量を調整することで脳内のバランスを整え、つらい症状を改善していくと考えられています。
おもな神経伝達物質として、以下の3つがあげられます。
- セロトニン(不安や落ち込み)
- ノルアドレナリン(意欲や気力の低下)
- ドーパミン(興味や楽しみの減退)
これらの物質と症状の関係をもう少し細かくみていくと、以下の図のようになるといわれています。
レメロンはこれらの物質のうち、
- セロトニン
- ノルアドレナリン
の働きを強めます。
レメロンの2つの作用
レメロンは2つの作用が組み合わさることによって、効果が発揮されると考えられています。
- 自己受容体に作用することで、
セロトニン・ノルアドレナリンの分泌増加 - セロトニン2・3受容体をブロックし、
セロトニン1A受容体に効率よく作用させる
自己受容体への作用で分泌増加
セロトニンやノルアドレナリンは、神経と神経の橋渡しをしています。
分泌する神経側では、どれくらい分泌しているかを感知する自己受容体があります。
多すぎると自己受容体が作用して、セロトニンやノルアドレナリンの分泌をストップさせます。
このような自己受容体として、
- セロトニン:α2ヘテロ受容体
- ノルアドレナリン:α2受容体
があります。
レメロンはこの受容体をブロックすることで、分泌が足りないと思わせます。
その結果、セロトニンやノルアドレナリンの分泌が増加します。
セロトニンの作用を効率化
レメロンには、セロトニンの作用を効率化させる働きがあります。
セロトニンには様々なタイプの受容体があります。
抗うつ効果や抗不安効果が期待できるのは、セロトニン1受容体が刺激されることが重要です。
レメロンはセロトニン1以外の受容体(2・3)をブロックすることで、効率よくセロトニン1受容体に作用させます。
このため、セロトニン1受容体に「特異的に」作用させるのです。
セロトニン2・3受容体をブロックすることで、以下のような効果・副作用につながります。
- 2Aブロック:睡眠作用(眠気)
- 2Cブロック:体重増加(食欲増加)
- 3ブロック:吐き気を抑える
【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
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カテゴリー:レメロン 投稿日:2023年3月23日
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