セルトラリン（ジェイゾロフト）とは？

セルトラリン（商品名：ジェイゾロフト）は、SSRI（選択的セロトニン再取り込み阻害薬）に分類される抗うつ剤になります。

セロトニンの働きを高める作用のあるお薬で、

といった精神症状の改善に効果が期待できます。

ですからうつ状態だけでなく、不安の病気にも幅広く使われています。

セルトラリンは効果と副作用のバランスが良いため、内科などでも使われることもあります。

現在の日本では4剤のSSRIが発売されています。

日本では3つ目のSSRIとなり、2015年12月よりジェネリック医薬品として一般名（成分名）のセルトラリンが発売となっています。

※以下では「ジェイゾロフト」として、セルトラリンの効果や副作用をお伝えしていきます。

ジェイゾロフトの効果が期待できる病気

ジェイゾロフトはどのような効果が期待できるのでしょうか。

ジェイゾロフトは、セロトニンだけに絞って増加させるお薬になります。

それ以外の作用を抑えることで、副作用を軽減させています。

セロトニンは落ち込みや不安に効果を発揮するため、

に効果が期待できます。

うつ状態の方では、気分の落ち込みが目立つ方に使われることが多いです。

副作用がマイルドで中止もしやすいことから、初めに使うお薬としては使いやすいです。

そしてジェイゾロフトは、パニック障害や社交不安障害といった様々な不安障害にも使われます。

強迫性障害や外傷後ストレス障害（PTSD）にも使われます。うつ病によって生じている不安にも効果があるといわれています。

生理前に不安定になり、イライラして衝動的な気持ちを抑えられなくなってしまう月経前気分不快障害（PMDD）にも、気分の安定に効果が期待できます。

その軽度のものは月経前緊張症（PMS）になりますが、悩まれている方は少なくないです。

ですからジェイゾロフトは、女性に相性がよい抗うつ剤ともいえます。

ジェイゾロフトの適応が正式に認められている病気

ジェイゾロフトの適応が正式に認められている病気は、以下のようになります。

ジェイゾロフトは先の東日本大震災を受けて、外国で認められている外傷後ストレス障害の適応拡大が行われました。

海外での適応からみるジェイゾロフトの効果

海外では、日本よりも幅広くジェイゾロフトの適応が認められています。

アメリカでは、

このような適応となっています。

このためジェイゾロフトは、

に効果を期待して使われるお薬であることがお分かりいただけると思います。

お薬の適応としてはありませんが、ストレスによって下痢や便秘、腹痛が起きてしまう過敏性腸症候群（IBS）の治療に使われることもあります。

日本のIBSガイドラインでは、三環系抗うつ薬とSSRIが有効であるとされており、ジェイゾロフトは使いやすいお薬のひとつです。

ジェイゾロフトの特徴

＜メリット＞

＜デメリット＞

それではジェイゾロフトの特徴を、

に分けてみていきましょう。ジェイゾロフト以外の抗うつ剤との比較も行っていきます。

ジェイゾロフトの効果

ジェイゾロフトは、セロトニンを増加させる作用にしぼったお薬になります。

このため、

に対する効果が期待できます。不安に対しては、とくに発作的な不安（急性不安）には効果が期待しやすいです。

ジェイゾロフトの特徴としては、効果と副作用のバランスが良いことがあげられます。

MANGA　studyと呼ばれる抗うつ剤を比較した有名な研究では、ジェイゾロフトは総合力では1番の評価を受けています。

これには議論もありますが、ジェイゾロフトがバランスが良いお薬であることは臨床的な実感とも一致しています。

それではジェイゾロフトは、抗うつ剤の中でどういった効果の位置づけなのでしょうか。

ジェイゾロフトの作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

ジェイゾロフトなどのSSRIは、

ということがお分かりいただけるかと思います。

同じSSRIの中でみるとジェイゾロフトは、

という特徴があります。

ドパミンの作用を強めることは、非定型うつ病にみられるような過眠や気力の低下に対しても有効です。

またこのドパミンを増やす特性があるためか、ジェイゾロフトは女性の生理周期に伴う不調に対して、他の抗うつ剤より効果的な印象があります。

そして非定型うつ状態は、双極性障害との判断が難しい場合が少なくありません。

双極性障害に抗うつ剤を使うかは議論のあるところですが、うつ状態のときにジェイゾロフトは比較的使いやすいお薬です。

離脱症状が比較的少ないので、中止がしやすいこともあります。

ジェイゾロフトの副作用

ジェイゾロフトの副作用は、比較的マイルドになります。

昔の抗うつ剤と比べると明らかに副作用は少なく、使いやすいお薬になります。

ジェイゾロフトの副作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

ジェイゾロフトの副作用として中心になるのは、セロトニンを刺激してしまうことでの副作用です。

といった症状が目立ちます。特に胃腸障害と性機能障害が目立ちます。

お薬承認時のジェイゾロフトの副作用頻度は、

このようになっています。

報告しにくい性機能障害（性欲低下や勃起機能不全）は含まれていませんが、かなりの方に性機能障害が認められます。

頭痛の報告もありますが、ジェイゾロフトにはむしろ頭痛予防効果も期待できます。

またジェイゾロフトは、離脱症状は比較的少ないです。とはいえ、長い間服用していた方は少しずつ減量していく必要があります。

ジェイゾロフトの剤形と薬価

ジェイゾロフトのお薬としての特徴についてみていきましょう。

ジェイゾロフトにはジェネリックも発売されており、セルトラリン錠という名称で発売されています。

現在ジェイゾロフトで発売されているのは、

の6剤形になります。

OD錠とは口腔内崩壊錠（Oral Dispersing tablet）の略で、口の中にいれたらしばらくして自然に溶けていくお薬です。

薬価はジェネリック医薬品のセルトラリン錠が発売されているため、比較的リーズナブルになります。

これに自己負担割合（1～3割）をかけた金額が、患者さんの自己負担になります。薬局では、これにお薬の管理料などが加えられて請求されています。

ジェイゾロフトの用法と効果のみられ方

ジェイゾロフトは、以下のようなお薬になります。

ジェイゾロフトは1日1回服用を続けることで、少しずつ効果が期待できるお薬です。

効果が実感できるようになるまでには、およそ2週間～1か月ほどかかることが多いです。

1日1回服用すればいつでも良いのですが、一般的には夕食後とすることが多いです。

ジェイゾロフトは食事の影響は少ないお薬ですので、寝る前などに服用を変更することもあります。

ジェイゾロフトを開始すると、2週間ごとに効果を判定していきます。効果が不十分な場合は、25mg～50mgずつ増量をしていきます。

最高用量の100mgまで使っても効果が不十分な場合は、

を検討していきます。

ジェイゾロフトは海外では200mgまで使えるお薬ですので、病気によっては抗うつ剤を追加することもあります。

また月経前不快気分障害では、毎日服用する方法と黄体期（生理の2週間前の基礎体温の高温期）のみ服用する方法があります。

前者では150mgまで、後者では100mgまでとされています。

日本の用量では100mgまでになりますので、いずれの場合も100mgまでの範囲で服用していきます。

【参考】ジェイゾロフトの半減期

お薬の効き方を見ていくにあたっては、

が重要になってきます。

ジェイゾロフトは、

となっています。

ジェイゾロフトは8時間ほどでピークになり、そこから22～24時間で半分の量になるということになります。

ですから1日1回の服用が可能なのです。

そしてお薬の血中濃度は、飲み続けていくことで安定していきます。

およそ半減期の4～5倍の時間で安定するといわれていて、このようになると定常状態と呼ばれます。

ですからジェイゾロフトの血中濃度は、安定するまでに5日～1週間ほどかかります。

服用時期でみたジェイゾロフトの副作用

ジェイゾロフトの副作用について、服用時期ごとにみていきましょう。

ジェイゾロフトの飲み始めに注意すべきこととして、賦活症候群（アクチベーション　シンドローム）があげられます。

中枢神経系を刺激してしまうことで、気分が高揚して躁転してしまったり、不安や焦りが高まって衝動的に、自殺企図をしてしまうことがあります。

こういった異様な精神状態が認められた場合は、すぐに中止してください。

そして飲み始めには、セロトニンを刺激してしまうことによる副作用が認められることが多いです。

ジェイゾロフトの副作用として最も多いのは、下痢や吐き気といった胃腸障害です。

その他にも様々な副作用が生じることがありますが、多少であれば服用を続けるうちになれることが多いです。

そしてジェイゾロフトは、お薬を減量していく際には離脱症状が認められることがあります。

ジェイゾロフトは他の抗うつ剤に比べるとマシですが、身体にお薬が慣れてしまい、急激に減量すると心身の不調が生じてしまうことがあります。

少しずつ減量していくことが必要です。

ジェイゾロフトの副作用の対処法

ジェイゾロフトの副作用が認められた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

ジェイゾロフトの副作用が認められた場合、

が基本的な対処法となります。お薬を飲み続けるうちに身体が少しずつ慣れていき、落ちついてくることが多いためです。

生活習慣で改善ができる部分もあれば、副作用を和らげるお薬を使っていくこともあります。

ジェイゾロフトの副作用で多くの方が気にされるのが、

の5点です。対処法も含めてみていきましょう。

ジェイゾロフトと眠気・不眠

お薬承認時のジェイゾロフトの副作用頻度では、

となっています。

ジェイゾロフトは理論的には、「眠気」よりも「不眠」になりやすいお薬になります。

同じSSRIの中で眠気を比較すると、パキシルでは眠気がやや多く、ジェイゾロフトはむしろ眠気が少ないお薬といえます。

しかしながらジェイゾロフトを実際につかってみると、眠気の副作用が生じる患者さんも少なくありません。

その原因は残念ながら、よくわかりません。

こういったことが考えられます。

ジェイゾロフトは、セロトニン2A受容体を刺激します。これによって深い睡眠が妨げられてしまって、睡眠が浅くなってしまいます。

これが不眠として報告されることは考えられます。

また、睡眠薬代わりに使われることもあるNaSSA（リフレックス/レメロン）などと併用すると、むずむず脚症候群が起こりやすくなるという報告があります。

ジェイゾロフトで眠気が認められた場合の対処法としては、

といったことがあります。

反対に不眠が認められている場合の対処法は、

といったことがあります。

ジェイゾロフトと体重（太る？痩せる？）

ジェイゾロフトと体重について心配される方も少なくありません。

食欲や代謝などは様々な影響があり、お薬だけでなく病状も関係してきます。

このため一概にお薬の影響だけを評価していくことは難しいです。

ジェイゾロフトは、お薬の特徴としては体重増加しにくい抗うつ剤ではあります。

こういった体重に関係する要因を複合的に考えると、ジェイゾロフトは太りやすいお薬とは言えません。

SSRIの中でもパキシルは体重増加の報告が多いですが、ジェイゾロフトはそこまでありません。

ジェイゾロフトの分類されるSSRIは、飲み始めの数カ月は痩せる方向に行くことが多く、その後は太りやすい傾向にあることが報告されています。

もともと太っていた場合は、やせる傾向にあることも報告されています。

飲み始めの体重減少に関しては、胃腸障害によって食欲が落ちる影響が大きいかと思います。

長期に使って体重増加していくのは、精神症状が改善していくためかと思います。元気になって食欲が増加していくということと考えています。

ジェイゾロフトで太ってしまった場合の対処法としては、

といったことがあります。

ジェイゾロフトと胃腸症状

ジェイゾロフトの副作用で最も多いのは、胃腸症状になります。承認時の臨床試験では、

このようになっています。

このような胃腸症状が認められるのは、ジェイゾロフトによるセロトニン刺激作用が原因になります。

セロトニンは脳よりも、むしろ先に胃腸に作用してしまいます。

胃腸が動いてしまうことが多く、吐き気が認められるときは下痢も認められることが多いです。その一方で、便秘になることもあります。

ジェイゾロフトによる胃腸症状は飲み始めがピークで、徐々に慣れていくことが多いです。

このためジェイゾロフトで胃腸症状が認められた場合の対処法としては、

といったことがあります。

ジェイゾロフトと頭痛

ジェイゾロフトでは、頭痛の副作用が認められることが少なからずあります。

お薬の承認時の副作用の頻度でも、

となっています。

ジェイゾロフトで頭痛が生じるタイミングは、大きく２つあります。

ジェイゾロフトが頭痛を生じる理由はよくわかっていませんが、セロトニンが関係していると考えられます。

セロトニンは脳血管が収縮する作用がありますが、セロトニンが分解されると反動で、脳血管が急激に拡張します。

周りを取り巻いている三叉神経から痛み物質が作られ、頭痛につながると考えられます。

その一方でジェイゾロフトをはじめとした抗うつ剤は、片頭痛の予防効果もしられています。

セロトニンが安定することで脳血管の拡張を予防でき、さらにはセロトニンには痛みの抑制効果があることが知られています。

ですからジェイゾロフトで頭痛が認められた場合の対処法としては、

といったことがあります。

ジェイゾロフトと性機能障害（性欲低下・勃起不全）

ジェイゾロフトの副作用として、数字にあらわれている以上に多いのが性機能障害です。

なかなか相談しにくい副作用であるがゆえに、困っていても表に出てこない副作用です。

ジェイゾロフトでは抗うつ剤の中でも多く、およそ8割の方に認められるという報告があります。

性機能障害のうちでも、

になります。パートナーとの関係性にも影響するため、軽視できない副作用です。

ジェイゾロフトで性機能障害が生じる理由としては、セロトニン2A受容体作用や抗α1作用が関係しているといわれています。

ジェイゾロフトで性機能低下が認められた場合の対処法としては、

といったことがあります。

ジェイゾロフトの離脱症状と減薬方法

ジェイゾロフトを減量していく場合には、離脱症状に注意する必要があります。

ジェイゾロフトは離脱症状が多くはありませんが、長期間服用しているとお薬があることが当たり前になっていきます。

その状態で急激にお薬を減らしてしまうと、心身に不調が生じてしまうことがあります。

これらの離脱症状は、薬が減って1～3日ほどして認められます。2週間ほどで収まっていくことが多いですが、月単位で続いてしまう方もいらっしゃいます。

こういった離脱症状を防ぐために、ジェイゾロフトの減量は少しずつ行っていく必要があります。まずは少しずつ量をへらしていきます。ジェイゾロフトは、

と25mgずつ減量していくことが多いです。

離脱症状は、抗不安薬（精神安定剤）を使うと症状が緩和することがあるため、必要に応じて頓服や併用を行っていきます。

25mgまで減量できれば、以下の方法で断薬を試みていきます。

ジェイゾロフトの運転への影響

心の病気の治療薬は多くが運転や危険作業が禁止となっていました。

これは眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性があるためです。

そういったリスクがある以上は、製薬会社も「運転禁止」とせざるを得なかったのです。

その中でジェイゾロフトをはじめとしたSSRIでは、

眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。

という表現となっていました。

「注意は必要だが、禁止ではない」ということになります。このためジェイゾロフトは、運転することもできます。

抗うつ剤を服用してうつ状態が改善している方が、事故などにつながるリスクは少ないのでは？とも考えられます。

ただし、

は無理をせず、運転は控えていただいたほうがよいです。

ジェイゾロフトの妊娠・授乳への影響

ジェイゾロフトの妊娠への影響から見ていきましょう。ジェイゾロフトのお薬の添付文章には、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。

このように記載されています。もちろん妊娠中は、お薬を避けるに越したことはありません。

しかしながらジェイゾロフトを中止したら病状が不安定になってしまう場合は、お薬を最小限にしながら続けていくことが多いです。

ジェイゾロフトは、奇形のリスクに関して明かな報告はありません。

ジェイゾロフトが影響するのは、むしろ産まれた後の赤ちゃんになります。

胎盤を通してお薬が赤ちゃんにも伝わっていたものが、急に身体からなくなります。これによって、新生児離脱症状が生じることがあります。

早めに見つけて症状を和らげる治療をおこなっていけば、問題ないことがほとんどです。

後遺症が残るたぐいのものではないので、産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。

次に、ジェイゾロフトの授乳への影響をみていきましょう。ジェイゾロフトのお薬の添付文章には、

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。

このように記載されています。

しかしながら授乳についても、明らかなネガティブな報告はありません。

むしろジェイゾロフトは、抗うつ剤のなかでも授乳への影響は少ないといわれています。

母乳で育てることは、赤ちゃんにも非常に良い影響があるといわれています。

ご自身での判断にはなりますが、ジェイゾロフトを服用していても授乳を続ける方がメリットが大きいようにも思います。

母乳を通して赤ちゃんにジェイゾロフトの成分が伝わってしまうことは、動物実験だけでなく人間でも確認されています。

乳児検診で体重が増えていかないといったことがあれば、医師と相談したほうが良いでしょう。

海外の妊娠と授乳に関する基準

海外の妊娠と授乳に関する基準をご紹介します。

ジェイゾロフトは、FDA基準で「C」、Hale分類で「L1」となっています。

授乳に関しては、抗うつ剤の中でも安全性が高いと考えられています。

ジェイゾロフト錠のジェネリック（セルトラリン錠）

ジェイゾロフト錠は、2006年に発売されたお薬になります。

お薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から10年ほどは成分特許が製薬会社に認められて、独占的に販売できるようになります。（先発品）

ジェイゾロフト錠のジェネリックは、この特許が切れた2015年12月にセルトラリン錠として発売となりました。

薬価も先発品の半分以下となっているので、リーズナブルになっています。

先発品はお薬を開発した会社から発売されますが、ジェネリック医薬品は複数の会社から発売されます。

ジェイゾロフトも、様々な製薬会社から発売されています。

これらのお薬は有効成分は同じですが、それぞれが微妙に異なります。

というのも、お薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。

ですがジェネリック医薬品は、先発品と同じように効果を示すための試験をクリアしていて、血中濃度の変化がほぼ同等になるように作られています。

ジェイゾロフトは即効性を期待するお薬ではないため、変更しても効果に大きな差はないと推定されます。

理屈ではそうですが、心配になってしまう方もいらっしゃいます。

そのような場合はもちろん、先発品のまま使っていくことも可能です。

【参考】ジェイゾロフトの作用機序

最後に、ジェイゾロフトの作用の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。

ジェイゾロフトは、どのようにして効果が認められるのでしょうか。

分かっていないことも多いのですが、モノアミン仮説がもっとも理解しやすく一般的です。

モノアミンとは、脳内の神経伝達物質になります。神経細胞と神経細胞の間を橋渡しをする物質で、情報を伝える働きがあります。

ジェイゾロフトなどの抗うつ剤は、このモノアミンの量を調整することで脳内のバランスを整え、つらい症状を改善していくと考えられています。

おもな神経伝達物質として、以下の3つがあげられます。

これらの物質と症状の関係をもう少し細かくみていくと、以下の図のようになるといわれています。

ジェイゾロフトはこれらの物質のうち、

の働きを強めます。ジェイゾロフトは、再取り込み阻害という方法をとります。

セロトニンなどのモノアミンは、役目を果たすと不要になるため、再取り込みという形で回収されていきます。

ジェイゾロフトはこの働きの邪魔をして、セロトニンの働きを強めます。

これらの物質が直接的に効果があるのならば、すぐにでも抗うつ効果が認められるはずです。

しかしながら実際には、2週間くらいかけて効果が認められます。

タイムラグがあることは、ジェイゾロフトなどの抗うつ剤の作用が単純ではないということを意味しています。