非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果・作用時間の比較
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同じ超短時間型でも、効果や作用時間が異なります
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、日本ではマイスリー・アモバン・ルネスタの3種類が発売されています。
海外ではもう1種類、ソナタ(ザレプロン)というお薬が発売されています。
基本的に効果はおだやかで、作用時間はすべて「超短時間型」となりますが、そのなかでもやはり差はあります。
日本で発売されている3種類の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果と作用時間について比較してみましょう。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは?
睡眠薬の系列の中で、『非ベンゾジアゼピン系』に分類されるのは
- マイスリー
- アモバン
- ルネスタ
の3つです。
睡眠薬の多くを占める『ベンゾジアゼピン系』がベンゾジアゼピン受容体ω1とω2両方に作用するのに対し、非ベンゾジアゼピン系の3つはω1の受容体にだけ作用します。
ω1は催眠効果に関わる受容体です。ω2は抗不安や筋肉をゆるめる作用に関わる受容体のため、ベンゾジアゼピン系睡眠薬には抗不安作用や筋弛緩作用がありますが、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は催眠作用に的を絞ったお薬になります。
その分
- 副作用が少ない
- ベンゾジアゼピン系よりは依存が形成されにくい
というメリットがある一方で、
- 効果がおだやか
- 種類が少ない
- 超短時間型しかない
というデメリットもあり、不眠が中程度以下で、「寝つきが悪い」というときに向いている睡眠薬になります。
※非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のメリット・デメリットについて詳しくは、『非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のメリット・デメリット』をお読みください。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の比較
- 最高用量で比較した時の効果の強さは、アモバン>マイスリー≧ルネスタ
- 作用時間の長さは、ルネスタ>アモバン>マイスリー
となります。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果の比較
まず、効果に関してみてみましょう。上でお伝えした通り、最高用量で比較すると
- アモバン>マイスリー≧ルネスタ
という印象です。
3剤の中で、アモバンとルネスタは親戚になります。
アモバンは左右対称な成分(光学異性体)でできていますが、そのうちで睡眠効果の強い半分だけを取り出したのがルネスタなのです。
ですからこの2剤を最高用量(アモバン10mg・ルネスタ3mg)で比較すると、アモバンの方が効果があることになりますし、実際にそういった印象をうけます。
そして、マイスリー(最高用量10mg)はちょうど2剤の中間にくるでしょうか?
作用の特徴としては、マイスリーが最もω1(催眠に対する受容体)への選択性は高いです。
ですから、マイスリーのはより純粋に睡眠効果だけを期待するお薬といえます。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の作用時間の比較
次に、作用時間に関してみてみましょう。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の3剤はどれも「超短時間型」ではありますが、その中で作用時間が長い方から
- ルネスタ>アモバン>マイスリー
となります。
半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。
半減期が短いということは、身体からすぐにお薬が抜けていってしまうということを意味します。
この半減期をみると、睡眠薬の作用時間を予想することができるのです。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が向いている不眠のタイプは?
睡眠障害にもいろいろなタイプがあります。
- 寝つきが悪い「入眠障害」
- 途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」
- 明け方に目が覚めてしまう「早朝覚醒」
これら睡眠障害のタイプや、その程度に合わせ、睡眠薬の作用時間や効果を考えてお薬を選んでいきます。
非ベンゾジアゼピン系の3剤は、基本的には入眠障害に使うお薬です。
ルネスタやアモバンでは、中途覚醒などにも多少の効果が期待できます。
《睡眠薬のタイプと特徴》
まとめ
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、どれも効果がマイルドで作用時間の短いお薬です。
とはいえ、効果や作用時間に差があり、相性もあります。
睡眠薬は睡眠障害のタイプやその程度、副作用の出方などに合わせて選ぶことが大切ですので、効果や副作用について気になるときは主治医と相談するようにしましょう。
※非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用について知りたい方は、『非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用と対策』をお読みください。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:睡眠薬(睡眠導入剤) 投稿日:2023年3月28日
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