認知症は遺伝するのか?遺伝する確率・検査方法・対策をご紹介

認知症が遺伝することはあるのでしょうか?
もし遺伝するのなら、確率・検査方法・対策について知りたいはずです。
本記事では、認知症の遺伝について解説します。
認知症の10%弱が遺伝するともいわれています。
また認知症の遺伝子検査の仕方、遺伝子が陽性だった場合の対策もご紹介します。
認知症が遺伝しないかと心配している方の、お役に立てれば幸いです。

認知症が遺伝する確率は?

認知症の中には遺伝する病気も見られます。
認知症患者全体の約6.8%が、遺伝が関係する若年性認知症であり、認知症患者全体の約1.7%が、遺伝が関係するレビー小体型認知症です。
それ以外の認知症は、遺伝しないとされています。

家族型アルツハイマー型認知症(若年性認知症)

認知症患者全体の67.6%がアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症のうち、約10%は遺伝が関係すると言われています。
したがって認知症患者全体の約6.8%がこれに関係していることになるわけです。
遺伝が関係しているアルツハイマー型認知症は、家族型アルツハイマー型認知症と呼ばれます。
両親のどちらかが家族型アルツハイマー型認知症であると、子どもは50%の確率で発症します。
40~60代の比較的若い世代で発症し、若年性認知症とも呼ばれ、進行が速いのが特徴です。
症状は高齢型アルツハイマー型認知症と同じです。
アルツハイマー型認知症の一因はアミロイドβの蓄積ですが、アミロイドβの蓄積を起こす遺伝子変異(原因遺伝子)がみつかっています。

  • アミロイド前駆体タンパク質(APP)
  • プレセニリン1遺伝子(PSEN1)
  • プレセニリン2遺伝子(PSEN2)

この3つの遺伝子変異があると、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まります。
ただし、この遺伝子があれば必ず認知症になるわけではありません

レビー小体型認知症

認知症患者全体の4.6%がレビー小体型認知症です。
アルツハイマー型認知症についで頻度が高い認知症です。
36%のレビー小体型認知症は、遺伝が関与しているといわれます。
したがって認知症患者全体の約1.7%がこれに関係しているわけです。
MFSD3遺伝子のストップゲイン変異が、レビー小体型認知症の発症リスクを高めることが明らかになっています。
MRPL43遺伝子のミスセンス変異も、レビー小体型認知症の発症リスク遺伝子です。
MFSD3遺伝子変異、MRPL43遺伝子変異ともに、日本人に特有なものと考えられています。

認知症にかかりやすくなる遺伝子もある

アポリポタンパクE(ApoE)」の対立遺伝子4型というのがあり、この遺伝子(感受性遺伝子)を受け継ぐとアルツハイマー型認知症の発症リスクが高まります。
通常の3~5倍の確率でアルツハイマー型認知症にかかりやすくなるといわれます。
ただしApoE遺伝子だけで認知症になるわけではありません。
この遺伝子は日本人の10~15%が保有しているといわれています。

認知症を調べる遺伝子検査

遺伝リスクを調べる遺伝子検査技術はありますが、一般的には行われていません。
大学病院で行われている事例をご紹介します。

プレセニリン1、2遺伝子検査

山本講師ら神戸大学グループが実施している検査です。
血液から抽出したDNAから遺伝子の塩基配列を調べ、健常者の遺伝子と比べて変異がないかを判定します。
先進医療の技術料として、1回につき62,400円かかります。

APOE遺伝子検査

金沢医科大学病院認知症センターで行われている健康保険適用外の自費診療です。
MCIスクリーニング検査も含めて、50,000円かかります。
血液検査でAPOE遺伝子型を調べ、結果がでるまで2~3週間かかります。
病院によっては人間ドックの検診メニューに含まれることがあります。

認知症の遺伝子がある場合はどうしたらよいのか?

認知症の遺伝子があるからといって、すべてが認知症になるわけではありません
他の要因が加わって認知症が発症するのです。
したがって他の要因に対策を練れば、認知症を予防できます。
認知症の予防とは、認知症にならないという意味ではなく、認知症になるのを遅らせる、認知症になったとしても進行を穏やかにするということです。
アルツハイマー型認知症や血管性認知症は、生活習慣病と関係があります。
高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの予防・治療のために、バランスの良い食事を心がける、定期的に運動することが大切です。
また健康診断等で生活習慣病を発見して、ちゃんと治療を受けることも重要です。
さらに認知症の専門医にかかりながら、対策を練ることも必要でしょう。

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カテゴリー:認知症  投稿日:2024年3月19日