グレープフルーツジュースとお薬の飲み合わせとは?

なぜグレープフルーツジュースでお薬を飲んではいけない?

お薬を処方された時、「グレープフルーツジュースでは服用しないでください」と注意されることがありますよね。

なぜ、「グレープフルーツジュース」なのでしょうか?これは、グレープフルーツの成分がお薬と相互作用を引き起こすからです。

しかし、お薬と一緒に飲まなければOKということではなく、相互作用があるお薬の服用期間は、グレープフルーツをはじめ、夏ミカンやハッサクなども避けた方が好ましいのです。

お薬との飲み合わせは「グレープフルーツジュース」に限らず

お薬と相互作用があるのは、グレープフルーツに含まれるフラボノイドやフラノクマリンと呼ばれる成分です。これらの成分は、グレープフルーツなどの柑橘類の果肉に多く含まれています。ですから、「グレープフルーツジュースで飲んではいけない」という表現がされるのです。

よく勘違いされていることなのですが、お薬をグレープフルーツジュースで飲みさえしなければいいというわけではありません。

相互作用のあるお薬を服用している期間は、グレープフルーツジュースや果実そのもの、それ以外にも

  • ブンタン
  • スイーティー
  • 晩白柚
  • 夏ミカン
  • ポンカン
  • 伊予かん
  • はっさく
  • きんかん

なども避けた方がいいです。同じ柑橘類でも、

  • バレンシアオレンジ
  • レモン
  • カボス
  • 温州みかん

の影響は比較的少ないです。

グレープフルーツ類の影響は長時間にわたります。小腸の「CYP3A4」という酵素の活性を落とし、それがお薬の吸収率を高め過ぎてしまいます。

その作用はすぐには回復しません。完全に元に戻るまでには、グレープフルーツ類を食べ終わってからおよそ3~4日かかるといわれています。

グレープフルーツジュースと飲み合わせの悪いお薬

グレープフルーツ類との飲み合わせで注意が必要なのは、主にCYP3A4酵素で代謝されるお薬です。

精神科のお薬で言いますと、

  • ハルシオン
  • テグレトール
  • セルシン/ホリゾン

などがあります。これ以外の睡眠薬、気分安定薬、抗てんかん薬、抗不安薬にもCYP3A4酵素で代謝されるものは注意書きに「グレープフルーツジュースで飲まないでください」と記載されています。

内科のお薬も、

  • 降圧薬のCa拮抗薬
  • 高脂血症薬のリピトールやリポバス

などがあげられます。

お薬によって相互作用の強さに差はありますが、特にCa拮抗薬を使っている時は、血圧が下がり過ぎる危険があるので注意しましょう。

グレープフルーツ類のお薬への作用メカニズム

グレープフルーツ類がお薬と相互作用を引き起こすのは、お薬を吸収する小腸においてのみです。お薬の代謝を行う肝臓への影響と誤解されていることもあるのですが、そうではありません。

お薬の成分は、小腸の粘膜から吸収されて血中に運ばれます。小腸粘膜では、CYP3A4とP-糖蛋白という2つのメカニズムによって、お薬を代謝して吸収させない仕組みがあります。

グレープフルーツ類に含まれる成分は、この小腸粘膜で薬の代謝排出メカニズムを邪魔する働きがあります。とくにCYP3A4という酵素の働きをブロックします。

そのため、本来は小腸で分解されるはずのお薬の成分が分解されず、すべてそのまま吸収されて血中に運ばれてしまい、お薬の効果が強まるのです。

グレープフルーツジュースは、P-糖蛋白の働きもブロックすると考えられてはいますが、その影響はそこまで大きくはありません。

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カテゴリー:お薬の基礎知識  投稿日:2019年12月2日