牛乳とお薬の飲み合わせ
牛乳には、以下のような4つの特徴があります。
- カルシウム・鉄が豊富
- 脂肪が豊富
- 胃のPH(6.4~6.8)をあげる
- 胃腸の内面に膜を作る
これらの特徴が、お薬にさまざまな影響を与えます。順番にみていきましょう。
1.カルシウム・鉄が豊富
カルシウムや鉄といったミネラルには、「キレート作用」という作用があります。
キレート作用とは、お薬の成分とくっついて化合物をつくり出す作用のことで、これによってお薬の吸収効率が変わってしまいます。
その影響はお薬の成分によって違いますが、一部の抗菌薬や骨粗鬆症治療薬では注意が必要です。
2.脂肪が豊富
牛乳がお薬に与える影響で一番大きいのが「脂肪」です。
通常の牛乳には脂肪分も豊富ですよね。お薬の成分は、
と、特徴が異なりますが、脂肪豊富な牛乳で飲めば脂溶性のお薬は吸収がよくなります。
精神科で使うお薬は脂溶性のものが多く、とくに向精神病薬のロナセンやルーランは、食後と空腹時では吸収に大きな違いがあることがわかっています。
そのようなお薬では、「食事をとれないときは牛乳を飲んでから服用する」というのも、お薬の効果を保つ一つの工夫になります。
3.胃のPH(6.4~6.8)をあげる
牛乳を飲むと、胃の中の酸‐アルカリのバランスが変わります。アルカリ性(塩基性)に傾くことで、本来はアルカリ性の腸で溶けるようにできているお薬(プロドラッグ)が胃の中で溶けてしまい、せっかくの特徴が生かされない可能性があります。
プロドラッグの代表は胃薬のタケプロンなどがあげられます。
4.胃腸の内面に膜を作る
物理的な影響としては、牛乳が胃腸の内面に膜をつくってしまいお薬の吸収を妨げてしまう恐れがあります。
精神科のお薬の中では、コントミンやレボトミンといったフェノチアジン系向精神病薬、フェニトインなどが影響を受けやすいので注意が必要です。