漢方薬の効果が発揮される病気とは?
西洋薬と漢方薬は違う?
西洋薬と漢方薬。同じお薬でも、その性質はまったく異なります。それぞれに強みや効果が違うため、上手く組み合わせることで治療の幅が広がっていくのです。
漢方薬の効果の強み
西洋薬は、動物実験や臨床試験によって、その薬の作用メカニズムがおおよそわかっています。ですから、不調の原因に対し、ピンポイントで薬の効果を期待して使っていきます。効果も副作用も、理屈で考えられる部分が大きいです。
一方漢方薬は、長きにわたる経験に裏打ちされてはいるものの、その根拠がしっかりと検証されているわけではありません。漢方薬は生薬の合剤で、それぞれの生薬には多彩な作用があります。そのため、良くも悪くも効果がボヤっとしていることが漢方薬の特徴です。
そんな漢方薬が効力を発揮する病気としては、大きく分けて2つあると感じます。
- 自然治癒力が重要な病気
- あいまいな病気
自然治癒力が重要な病気
放置しても治るような自然治癒力が重要な病気、例えば、
- 風邪
- 急性胃腸炎
といった病気に対しては、漢方薬に強みがあります。
漢方は「身体のバランスを整える」という発想で治療をしていくため、漢方薬も自然治癒力を高めていくのが得意なのです。
あいまいな病気
- 更年期障害
- 月経前緊張症
- 自律神経失調症
など、はっきりした症状というより、全体に何となく調子が悪い不定愁訴の目立つ病気に対しては、漢方薬が強いと感じます。
多彩な作用をもつ生薬の合剤である漢方薬は、あいまいな病態と相性がいいのでしょう。
漢方薬の心理的効果
漢方薬は、西洋薬と比べるとプラセボ効果が高いという報告もあります。プラセボ効果とは、薬を飲んだという安心感が病気の改善に良い作用をすることです。漢方薬に独特の苦味が、まさに「良薬は口に苦し。これは効きそうだ!」と感じさせてくれるのかもしれません。
このように、西洋薬と漢方薬はその性質や得意分野が異なります。西洋医学の病院であっても漢方薬を上手く組み合わせることで、治療の幅は大きく広がるのです。
ただ、漢方薬は、患者さんそれぞれの体質や病状の出方に合ったものを使うことが重要です。そのため、同じ病気であっても処方する漢方薬は異なります。その点には注意しましょう。
※漢方独自の処方について知りたい方は、『漢方の「証」について』をお読みください。
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カテゴリー:漢方について 投稿日:2020年8月11日