不眠外来(睡眠外来)
睡眠外来とは?
当院の睡眠外来では、生活習慣の改善も大切にしながら、患者さんごとに適切なお薬を提案しながら治療を行っています。
睡眠薬には抵抗がある方も少なくないですが、出口を見据えて適切につかっていけばとても有効です。お酒に頼ってしまう方も多いですが、そうなると不眠がますます悪化してしまいます。
睡眠に関する正しい知識を身につけていただき、生活習慣の改善と合わせてお薬を使っていくことで、最低限のお薬での不眠症治療を目指していきます。
患者さんの状態によって、
- 睡眠時無呼吸症候群などの原因の確認
- 精神症状としての睡眠障害を治療
- 総合病院での検査・治療が適切な場合はご紹介
をさせていただきます。
睡眠について詳しく知りたい方は、
不眠症(睡眠障害)について 睡眠薬についてをお読みください。
シンプルな不眠症の方へ
当院ではシンプルな不眠症でお困りの方は、「不眠専門外来」を、ネット予約で対応しております。
あがり症・不眠症専門外来不眠以外の症状もお困りの場合は、通常の心療内科外来よりご予約をお願いしています。
不眠症と睡眠不足の違いとは?
「ここのところ睡眠が浅い」「最近は思うように眠れない」「仕事が遅いので睡眠時間が確保できない」など、満足いく睡眠がとれない方は少なくないかと思います。それでは不眠症かどうかは、どのように考えていくべきなのでしょうか?
不眠症の国際的な診断基準をみると、
- 普通の睡眠環境で、日中に何らかの影響があって、睡眠のことで困っていること
となっています。
睡眠で困っていて日中にも影響しているならば、医療機関で相談いただいたほうが良いということになります。
もちろん物理的に睡眠時間がとれずに寝不足感を感じていて、日中に眠気があるのでしたら睡眠不足でしょう。必要な睡眠時間の確保をしても改善が認められない場合は、医療機関にご相談ください。
不眠の原因とは?
不眠症の原因としては、大きく以下の5つがあります。
- 精神疾患
- 身体疾患
- お薬の副作用
- 生理的な原因
- 心理的な原因
精神疾患や心理的な原因があれば、その治療や心理的な葛藤の解消が必要になってきます。生理的な原因であれば、睡眠によい生活習慣などを意識していくことが必要になります。
その一方で、身体やお薬が原因であれば、その原因を取り除く必要があります。そして睡眠時無呼吸症候群や特殊な睡眠障害が関係していることもあります。
このように、不眠の原因はストレスだけでは片付けられず、心と体が影響しあって表れている症状になります。患者さんごとにそのウエイトは異なります。ですから心身の両面から原因を考えていく必要があります。
当院の睡眠外来の特徴
当院の睡眠外来では、
- 複数の医師で土日・夜も診療
- 内科医と精神科医が連携して診療
- 充実した睡眠時無呼吸検査
以上のような特徴があります。
どの医師も「患者さんの目線にたった提案」を心がけています。
当院では、複数の医師で協力して診療を行っています。また内科医と精神科医が連携して診療を行うことができるため、心身をトータルでサポートできます。
この強みが最も生きるのが、不眠症治療です。不眠の原因として多い睡眠時無呼吸症候群など、内科でしっかりと検査治療していくことで、不眠症治療をワンストップで行っていくことが可能です。
詳しく知りたい方は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)について」をお読みください
不眠の3つの悪循環
不眠が続いてしまうと、3つの悪循環が生じます。
- 日中の活動低下
- 健康の悪化
- メンタルの悪化
睡眠が十分にとれないと、集中力や注意力が落ちてしまいます。そうすると効率よく物事が進まなくなり、その結果としてストレスが増してしまいます。人によっては物理的に睡眠時間が削られてしまうこともあります。
そして健康状態も悪化していきます。後述しますが、睡眠不足が続いてしまうと血圧があがってしまったり、糖尿病をはじめとして様々な病気になるリスクが高まります。体調悪化がすすめば、ストレスも高まってしまいます。
最後に、メンタルの悪化があります。心を休めるためには、睡眠がとても大切なことはお伝えするまでもないかと思います。睡眠が安定しないと心の病気を発症してしまい、さらに睡眠が悪化してしまうことがあります。
このように不眠は3つの要素が相互に悪循環することで、ますます悪化してしまいます。
不眠は体調悪化のリスク
まずは不眠が与える体調への影響についてみていきましょう。
直接的にイメージしやすいのは高血圧かと思います。一つの調査をご紹介します。
この調査では、不眠症と睡眠不足と正常の3つに分けて比較しています。縦軸のオッズ比というのは、高血圧へのなりやすさになります。(競馬のオッズと同じです)
一概に時間が大事なわけではありません。ですがこの調査からは、睡眠時間が6時間をきったり、睡眠不足や不眠症であると高血圧になりやすいことが分かります。
高血圧以外にも、不眠は様々な病気に悪影響を及ぼします。
不眠はメンタル悪化のリスク
不眠はメンタルにも影響を及ぼします。日本人で行われたひとつの調査をご紹介したいと思います。
CES-Dというのは、医療機関でもよく使われている心理検査になります。患者さんご自身に記入していただき、うつ症状がどの程度あるのか点数にしていきます。
記入の仕方には個人差もありますが、一般的には16点を超えるとうつ状態の可能性があります。この調査からは、睡眠時間が少ない方はうつ状態になりやすいことが分かります。
不眠で悩んだら睡眠外来にご相談を
健康的な睡眠は、健康的な心身と充実した生活のために非常に重要です。
日本人には、民族として2つの特性があります。
- 眠れていないことは美徳である
- 眠れないときはお酒に頼る
といったことです。
「最近忙しくて眠れていなくて・・・」というのは、普段の会話に出てくることがあります。周囲だけでなく本人も、あまり問題意識をもっていないこともあります。その一方で、「最近ちゃんと眠れている?」と聞かれても、あまり抵抗を感じない方が多いかと思います。
そして、日本人はお酒に頼りがちといわれています。
欧米人の方がお酒でつぶれているイメージがあるかもしれませんが、日本人は実に3人に1人はお酒に頼りがちになってしまいます。その一方で、医療機関に相談いただける方は非常に少ないです。
最近に調査をすれば、もう少し医療機関で相談することの敷居は下がったかと思います。しかしながら診療をしていても、お酒に頼ってしまっている方は少なくありません。
不眠で悩んでいる方は、ぜひ睡眠外来でご相談ください。
当院の睡眠薬に対する考え方
睡眠薬に抵抗がある方も少なくないかと思います。
睡眠薬は、
- 必要なときはしっかりと使う
ほうが結果として、不眠が悪化しないことが多いです。
睡眠には、「布団に入ったら眠れる」といった自信も大きく関係しています。なかんなか眠れないという失敗体験が重なると、不眠はますます悪化します。使うときは使ったほうが、結果としてよいのです。
大切なことは、漫然と睡眠薬を使わないことです。
- 睡眠に良い生活習慣と組み合わせる
- 睡眠が安定してきたら、無理なく減らしていく意識をもつ
ということが大切です。最終的には、「万が一の場合はこの薬を飲めば眠れる」というお守りになっていけば理想的です。
お薬について詳しく知りたい方は、睡眠薬についてをお読みください。
受診される際にお願いしたいこと
睡眠外来を受診されるにあたって、お願いがございます。
大変申し訳ないのですが、心療内科・精神科の初診予約は柔軟にお取りすることができません。初診のお時間を確保するため、枠が限られてしまうためです。
また、これまで睡眠薬を他院様で処方されていて、当院での同じ処方を希望される患者様もいらっしゃいます。睡眠薬の処方内容によっては対応できないこともございますので、ご了承ください。
具体的には、ラボナなどのバルビツール系、イソミタール、ブロバリンなどの依存性の高い睡眠薬、用量以上のベンゾジアゼピン系睡眠薬(サイレース2mg以上など)は対応できません。
当院ではシンプルな不眠のみでお困りの方には、「不眠症専門外来」を、ネット予約で対応しております。
あがり症・不眠症専門外来不眠以外の症状もお困りの場合は、通常の心療内科外来よりご予約をお願いします。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了