【こころみアントレプレナー制度】日本のメンタルクリニックの現状を打破するために
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「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
こちらの記事は、精神科で開業を検討されている先生にむけてお伝えさせていただきます。
私たち「こころみクリニック」では、「家族や友達を紹介できる医療」を大切にしながら、ワンストップで心の治療を対応できる体制を作ってまいりました。
その中で培ってきた精神科クリニック運営の実学的な学びは、当事者でしかわかならないものがあります。
そういった経験者でしかわからないノウハウを生かして、「こころみアントレプレナー制度」を作りました。
背景には、昨今増えているコンビニ型メンタルクリニック・オンラインメンタルクリニックに対する危機意識があります。
ここでは現状を踏まえて、どのような目的でアントレプレナー制度を立ち上げたのかをお伝えさせていただきます。
メンタルクリニックの現状
まずは私たちが感じている問題意識を共有させてください。
乱立しはじめたコンビニメンタルクリニック
「数」が評価される診療報酬体系のなかで、「だれでも」できるシステムで効率的に診療をし、なかには「精神科経験不問」として、医師ならだれでも可で求人募集されているクリニックがあります。
そして「即日診断書」「傷病手当金」「障害年金」「薬の”乱用”」などをエサに患者さんを集め、Win-Winな関係の中で回復や社会復帰が遠のいていくことも少なくないでしょう。
病状がよくないときは無理をさせませんが、回復とともに本来のあるべき道を模索していくのが精神科医として重要な役割かと思います。
その過程の中で障害年金が必要な患者さんもいれば、障害者雇用が適切で就労移行支援事業につなげていくこともあるかと思います。
ですが本人も意図せずそうした機会を奪われ、疾病利得が強化されていくことは、日本という社会の生産性が低下していくことにほかなりません。
最近では倫理観の根幹を疑うようなコンビニメンタルクリニックが収益をあげ、どんどんと拡大路線をとっています。
そのようなクリニックの下流で、「標準的」なクリニックが尻拭いをしている現状になりつつあります。
明らかな適応外の自由診療TMSクリニック
最近すこしずつ増えているのが、自由診療TMSクリニックです。
こちらも美容系を中心に、発達障害を「脳の混線」として、明らかな適応外に対する根本効果をうたったビジネスが横行しています。
なかには小児まで治療対象としているところもあり、日本精神神経学会でも注意喚起されています。
私たちは東京横浜TMSクリニックとして、野田先生と協力しながら適切なTMS治療の普及に努めておりますが、患者さんの目線ではなかなか気づいていただけないのが現状です。
診断書を乱発するオンラインクリニック
もうひとつ増えているのが、診断書や睡眠薬の物販などを目的とするオンラインクリニックになります。
現状の診療報酬体系では、通院精神療法がオンラインでは算定ができず、現実的に難しくなっています。
そのようななかで保険診療部分はわりきって、「診断書」と「薬やサプリ」での自費部分を目的としたクリニックが増えています。
大手資本がバックについていたり、コロナ禍で大きく売り上げを伸ばした医療法人などが参入しています。
私たちがアントレプレナーを作った理由
そのような中で私たちは何ができるのか、考え続けていました。
メンタルヘルスの社会インフラとして、コンビニクリニックやオンラインクリニックが乱立し、藁をもすがる患者さんを自由診療TMSクリニックが漬け込む現状は非常に危ういと感じます。
行政や学会の規制には期待ができない
私たちが何かアプローチしたわけでもありませんが、行政の規制は期待はできませんし、少なくとも非常に時間がかかります。
医療広告ガイドラインも策定されましたが、今でも違反しているサイトは溢れており、それらが規制される様子もなければ罰則もありません。
そして患者さんと医療者の間には情報非対称性が大きく、サービス業としての安易な医療が選ばれてしまう状況にあります。
そのような状況ではありますが、待っているだけでは何も変わりません。
「数」ではなく「質」が評価される医療を目指して
現状をかえていくためには、「数」で評価される診療報酬から脱却して、「質」が評価されるようにならなければならないと考えました。
私たちはそれがゆえに、ワンストップで心の治療ができる体制を目指しました。
大規模リワーク、カウンセリング、心理検査、訪問診療、そして内科診療まで、当法人で完結できる体制をつくりました。
そして企業へアプローチすることで、私たちのこころの治療の「質」をお金に換える取り組みを進めています。
アントレプレナーで緩やかな連帯を
その形を実現するために、私たちは緩やかな連合体を作ることを着想しました。
それが「こころみアントレプレナー制度」になります。
小規模事業者の税制優遇措置(特措法)と非常勤勤務を組み合わせることで、個人開業を超えたメリットをつくり、診療の質を落とさずに行える仕組みを考えつくしました。
「こころみ」なら「ひと安心」、そう思っていただけるブランドを高めて、組織力を高めていきたいと考えています。
こころみアントレプラナーについて
この記事を読んでいただいた首都圏で開業を考えられている先生を中心に、私たちの取り組みをご紹介させてください。
私たちはクリニック経営を行っていく中で、様々な経営ノウハウを培ってきました。どのように歩むのがベストなのか、状況を踏まえて見通せるようになってきました。
そして診療オペレーションはもちろんのこと、運営を支えるバックオフィスチーム、広告やマーケティングといった集患戦略、そしてオウンドメディアという最大の武器があります。
また診療に必要な外部サービスの価格においても、スケールメリットがあるので値引き価格でのパッケージが出来上がっています。
これらを生かして、精神科開業を目指す先生へ、実学に基づいたコンサルティングを行っています。
開業支援のコンサルティングはもちろんのこと、首都圏の先生であれば、当法人と協業していくスキームも提案させていただいています。
診療に専念しながら開業医のメリットを
当法人との協業スキームは、個人でのミニマム開業を超えるメリットがあると確信しています。
当法人の常勤医とも連携しながら、「先生も私も患者さんも」三方よし、そして「社会も」四方良しの仕組みをご提案します。
先生にとっては、
- 診療のリスクを当法人が全面的にバックアップ(労務・集患)
- 成功した開業医と同水準のメリットを低リスク(ストレス)で得られる
- 目の前の患者さんに誠実に診療できる
私たちにとっては、
- 誠実な精神科外来の場を広げていくことができる
- スケールメリットでのコストダウンやtoBでの展開ができる
- 安心して任せらる非常勤医を確保することができる
患者さんにとっては、
- 信頼できる主治医の診療が安心して受けられる
- 豊富な治療選択肢を選ぶことができる
- 標準的な診療を安心して受けることができる
という形を考え抜きました。医師から搾取する構造には全くなっておらず、紹介で広がっていくモデルとなっています。
リスクを最小限にしつつも医療の質は保ち、開業医として経済的メリットも享受できます。
利益を追求せずに気持ちよく医療に専念できます。
自分のやりたい医療を実践できるのは、経営的な余裕ができてこそになります。
事例紹介
当法人では、2023年10月に「手塚こころみクリニック武蔵小杉」をオープンいたしました。
「武蔵小杉 心療内科」で検索すれば、順調な運営がすすんでいることがお分かりいただけるかと思います。
開業1週間前に入職内定辞退、インフルエンザでスタッフ病休といった事態もありましたが、当法人からスタッフがサポートに入り、最小限の人員構成で安心した運営が継続できています。
2024年度は、「飯島こころみクリニック元住吉」「ISTこころみクリニック浜松町」を開院しています。
精神科開業をお考えの先生へ
「誰もが安心できる精神医療の社会インフラをつくりたい」ということが、今回のこころみアントレプレナー制度の根底にあります。
そしてスケールメリットを強めていくことで保険診療を超えた事業展開を行い、全体に還元されていく仕組みをつくりたいと思っています。
当法人には15名の総合職スタッフが在籍しており、「家族や友達を紹介できる医療」を広げていくべく取り組んでいます。
当法人の開業支援は、現状では1チーム(3名兼務)で対応しておりますので、年間3~4件程度が上限となっております。
丁寧な支援のために無理なく展開していきたいと考えておりますが、体制を少しずつ整えていきたいと考えています。
もちろん開業ですから、勤務医とは異なってリスクはありますので、その覚悟をもっていただくことは必要です。
まずは開業前から当法人でご勤務いただくことで患者様を増やし、さらにリスクを減らすことも可能です。
詳細につきましては、ぜひ気軽にお問い合わせフォームよりご連絡いただければ幸いです。
こちらの取り組みとは関係なくとも、経験が少しでも役立てればうれしく思いますので、開業のご相談など気軽にお問合せください。
お問い合わせは、以下の受付フォームより、「開業相談希望」と記載してエントリーをお願いします。
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「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。
(医)こころみ採用HP取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:コラム 投稿日:2023年10月20日
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