認知症の疑いがあるときはどこの病院を受診すればよい?
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認知症は病院で何科の外来にかかればよい?
認知症が疑われる際には、まずはかかりつけ医に相談してください。
必要に応じて適切な科を紹介してくれるはずです。
紹介状をもらって紹介された病院へ受診しましょう。
紹介してもらうと、これまでの経過や現在の投薬内容を伝えられます。
紹介してもらう病院は、できるだけ近くの専門医がよいでしょう。
かかりつけ医がいない場合は以下の診療科の外来を受診してください。
- 精神科
- 心療内科
- 脳神経内科
- 脳神経外科
- 老年科
- もの忘れ外来
原因によって受診する科が異なりますが、どこを受診したらよいか迷う場合は、老年科か脳神経内科がおすすめです。
精神科
認知症の行動・心理症状BPSDに対応してくれます。
認知症の人を安心させたい場合に受診するとよいでしょう。
ただし精神科は担当する範囲が広いため、病院によっては対応が難しい場合があります。
日本認知症学会および日本老年精神医学会が認定している認知症専門医を探して、受診してください。
心療内科
ストレスからくる身体症状である心身症を診る科です。
ストレスからくる症状の緩和が目的ならおすすめです。
認知症を診てくれるかどうか問い合わせてから受診してください。
脳神経内科
脳・脊髄・神経・筋肉の病気を診てくれる科です。
もの忘れや考えたり、体を動かしたりすることが難しくなった場合に受診するとよいでしょう。
認知症を診てくれるところが多いはずです。
CT/MRI検査が受けられます。
脳神経外科
脳・脊髄の病気から起こるけいれん・片麻痺・認知症などを診てくれる科です。
認知症の原因が脳・脊髄にある場合に対応してくれます。
慢性硬膜下血腫などで手術が必要な場合には入院することがあります。
他の病院から紹介されることもあるでしょう。
老年科
高齢者の脳・心の病気全般に対応してくれる科です。
もの忘れ・理解力の低下・意欲低下などを診てくれます。
認知症かどうか判断できないときに、まず受診するとよいでしょう。
さまざまな角度から検査・治療をしてくれます。
もの忘れ外来
もの忘れが気になるときに受診する科です。
認知症や他の病気が原因である場合と、加齢による場合が含まれます。
認知症テストや頭部CT検査などで診断されます。
認知症の人が病院の受診を嫌がるときはどうしたらよい?
軽度の認知症の場合、本人が外来受診を嫌がることがあります。
しかし認知症は早期発見・早期治療が大切であり、早めに受診することが必要です。
それではどのようにして受診させるとよいのでしょうか?
無理強いはしない
力ずくで外来に連れて行っても、不安をつのるばかりで逆効果です。
少なくとも治療のための通院は不可能でしょう。
まず本人をその気にさせることが不可欠です。
認知症と言わない
本人には認知症とかぼけているとか言わないでください。
プライドを傷つけられ、かえって受診しなくなります。
「予防のために行ってみない?」
「健康診断に行こう」
などといって受診を促したり、家族が受診して、それにつきそう形で受診したりするのもよいでしょう。
すすめる人を変える
実の息子・娘が受診をすすめるとかえって拒否することがあります。
その際に、義理の娘・息子ならうまくいくことが少なくありません。
またかかりつけ医、地域包括支援センターに相談するのもよい方法です。
地域包括支援センターは、高齢者の生活を支援する相談窓口です。
市町村が定める日常生活圏域ごとに設置されています。
保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員が配置されています。
介護予防ケアプランも立ててもらえるのがメリットです。
認知症の疑いで病院を受診する際にまとめておく情報
受診の際には以下のような情報をまとめておいてください。
- 気になる症状はどのようなものか
- いつから症状がみられるか
- 症状がでるのに、病気や事故などのきっかけはないか?
- 発症してから現在までに進行しているか
- これまでにかかった病気、治療中の病気
- 服用中の薬
かかりつけ医に紹介してもらう場合は、紹介状に書いてくれるはずです。
認知症で入院するのはどこの病院?
認知症の周辺症状として、徘徊、暴力、介護拒否などがある場合、一般の病院からは入院を拒否されることがあります。
その際には、認知症の専門医がいる病院へ入院が必要です。
具体的には以下のような病院です。
- 精神科の救急病院
- 認知症疾患医療センター(都道府県または政令指定都市が指定する病院に設置されている)
「〇〇都道府県 認知症疾患医療センター」で検索すると見つかります。
まとめ
認知症を疑うときには、まずかかりつけ医に相談してください。
そうすれば必要に応じて、専門医を紹介してくれます。
かかりつけ医がいない場合は、地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。
認知症は早期発見・早期治療が大切であり、早めに受診することが必要です。
認知症の前兆がみられるMICの段階で適切な対策を講じれば、認知症への移行を防げる場合があります。
対策について詳しく知りたい方は、以下のリンクページをご覧ください。
※MCI対策につきましては厚生労働省のHPより参照
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:認知症 投稿日:2024年1月20日
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