認知症の初期症状|チェックリスト・対応策を解説
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「もしかしたら家族が認知症かもしれない」
「認知症の初期症状を知りたい」
そういった方のために記事を書いています。
認知症についてはいろいろな情報があり、どれを信じてよいのか迷ってしまいますね。家族が認知症かどうかは、どういうときに疑ったらよいのでしょうか?
この記事では、認知症の初期症状のチェックリストをご紹介し、認知症を疑ったらどうしたらよいのかを解説します。
ご家族の介護をする際に役立ててみてください。
認知症の初期症状のチェックリスト
「公益社団法人認知症の人と家族の会」の家族がつくった認知症早期発見のめやすです。
このような症状が出てきたら認知症を疑います。ただし認知症の診断基準ではありません。
ひどい物忘れ
記憶障害と呼ばれる症状です。
- 新しいことが覚えられない
- 今切ったばかりの電話の相手を忘れる
- 同じことを何回も言う・問う・する
- 置き忘れ・しまい忘れが増えて、常に探し回る
- 財布・通帳・衣類などを盗まれたと言う(盗られ妄想)
判断力・推理力の衰え
理解力・判断力の低下と呼ばれる症状です。
- 料理・片付け・計算・運転のミス
- 話のつじつまが合わない
- テレビ番組の内容を理解できない
時間・場所がわからない
見当識障害と呼ばれる症状です。
- 約束の日時・場所を間違える
- 慣れた道で迷う
性格が変わる
性格変化と呼ばれる症状です。
- 怒りっぽい
- 人の話を聞かない
- 何でも人のせいにする
- わがままで頑固になる
- このごろ様子がおかしい
不安感が強い
不安障害と呼ばれる症状です。
- 一人になるのを怖がる
- 外出時に持ち物を何度も確かめる
- 頭が変になったと訴える
意欲の低下
無気力・無関心と呼ばれる症状です。
- 身だしなみを構わなくなる
- 趣味や好きなことに興味を示さなくなる
- 何をするのもおっくうがる
認知症の他の初期症状
認知症の初期にみられる他の症状を解説します。
思い込み
思い込みが激しくなり、人間関係でトラブルを生じることがあります。
例えば以下のような思い込みです。
- 財布を盗まれた
- 浮気している
- いじめられる
認知症の方は、日常生活で不自由を来すにもかかわらず、自分で認知症と自覚できないことが多く、混乱します。不安・焦りを感じて、思い込みが激しくなるのです。
めまい・頭痛など
レビー小体型認知症では、自律神経症状としてめまい・頭痛などを起こします。
脳・心臓・腸管などの自律神経にレビー小体という異常な物質が現れ、自律神経の働きが乱れてしまうからです。
主な自律神経症状は以下に示します。
- めまい
- 頭痛
- 起立性低血圧
- 食後低血圧
- 便秘症
認知症の初期症状の診断は何科でする?
認知症の疑いがあるときには、診断のために以下の医療機関を受診してください。
- 精神科
- 心療科
- 心療内科
- メンタルクリニック
いずれも認知症の専門家であり、認知症の診断と治療方針を立ててもらえます。
認知症の初期症状に効く薬は?
アルツハイマー型認知症に効く薬が4種類、レビー小体型認知症に効く薬が1種類認められています。これらの薬は、根本的に認知症の進行を止める作用はありません。
しかし生き残っている脳神経細胞を活性化させ、覚えたり考えたりする力をある程度保つ作用があると考えられています。
- アリセプト(レビー小体型認知症にも適応あり)
- レミニール
- イクセロンパッチ・リバスタッチ
- メマリー(中等度・高度のアルツハイマー型認知症に適応)
認知症の初期症状はどうすればよい?
まず以下のところへ相談して対応策を練ってください。
- かかりつけ医
- もの忘れ外来
- 認知症疾患センター
- 市町村の認知症に関する相談窓口
- 認知症の人と家族の会 – 電話相談窓口
認知症に似た病気や、早く治療すれば治る認知症もあります。認知症が疑われたら、早めに専門医を受診してください。
まとめ
認知症の初期症状を確認するチェックリストをご紹介しました。
認知症は不治の病ではなく、認知症にある程度は効く薬もあります。
認知症の初期症状のチェックリストをみて、家族の認知症を疑ったら、早めに専門の医療機関を受診してください。
また薬以外の治療法も行われており、認知症の対処法を研究中です。
その中の一つに「TMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)」がありますが、従来の薬の治療とは異なったメカニズムで効果が期待できます。
まだまだ認知症に対するエビデンスは確立されていませんが、有効な治療法の一つとして研究がすすめられています。
興味がある方は、以下の関連サイトをご覧ください。
認知症予防に有効?TMS治療の可能性と高齢者へのTMS治療ポイント
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カテゴリー:認知症 投稿日:2023年5月2日
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