CBDとは?CBDオイルの効果と副作用を解説

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CBDオイルについて、精神科医が詳しく解説していきます。

「CBDって何だろう?」
「CBDオイルってどう使うの?」

とCBDについて、知りたい方は多いのではないでしょうか?

欧州発祥のCBDは大麻草の成分の1つで、大きな副作用もなく、体へ良い影響があると話題になっています。

しかし、CBD摂取量には上限があるなど、使う前にCBDについてよく知ることが大切です。

この記事では、CBDの効果と副作用について、詳しく解説します。

最近よく聞く、CBD(カンナビジオール)とは?

CBDの効果と副作用について

CBDとはCannabidiol(カンナビジオール)の略称で、大麻草由来の成分の1つです。大麻草の種子や茎から抽出されますが、生体へ有効な影響があるという研究報告から、医療、健康分野で関心を持たれています。

CBDとTHCはまったく別のもの

大麻草成分というと、違法なマリファナの主成分THC(テトラヒドロカンナビノール)が有名ですが、CBDはTHCとは全く別物です。

CBDとTHCの特徴をまとめると、下記のようになります。

CBDとTHCの特徴
大麻草からの抽出部位 身体の依存性
CBD 種子、茎 なし
THC 花、穂、葉、根 あり

健康な大人では、CBDは心の不安や緊張を和らげますが、THCは不安や緊張を起こすように働きます。

また、THCには「やめたくてもやめられない」という依存性がありますが、CBDはその依存性が起きないように働くというように、脳にほぼ逆に作用します。

しかし、CBDの臨床現場や脳への影響は、年齢や病気の進行度合いで違う可能性が高いです。

カンナビジオールのヒト脳機能への影響: システマティックレビュー

CBDの有効な影響ってどんなものがある?

CBDの効果と副作用について

それでは、CBDの生体への有効な影響にはどんなものがあるのでしょうか?

ここでは、研究報告から説明します。

難治性てんかんの医療用医薬品になっている

CBDは、海外ではすでになかなか治らないてんかんの医療用医薬品として使用されています。日本でも2022年4月から治験が始まりました。

医療用カンナビノイド:関連するすべての医療適応症に対する薬理学に基づくシステマティックレビューとメタアナリシス

難治性てんかんにおけるカンナビノイド(大麻抽出成分)由来医薬品の治験に向けた課題把握および今後の方策に向けた研究

不安障害をコントロールする、リラックスアイテムとして有望視されている

健康な大人の不安反応をコントロールする医薬品に代わるものとして、有望視されていることが報告されています。

不安および不安関連障害におけるカンナビジオールの使用

臨床試験前の情報ではあるが抗炎症作用もある

まだ動物モデルを使った研究の段階ですが、炎症を起こす体内物質をCBDが減少させ、病気や障害を改善させたという報告があります。

この効果でCBDをヒトに使えるようになるには、さらに研究が必要です。

炎症性サイトカインに対するカンナビノイドの効果: In Vivo研究のシステマティックレビュー

大人では重い副作用はほとんど起きない

CBD摂取でよく起こる副作用は下痢です。そのほか、子どもでは肺炎、肝機能障害のリスクも増加します。

しかし、子どもでも肝機能障害が発生するのは、CBDを高用量で摂取した時のみです。総じて、大人には重い副作用は起きないと言えます。

カンナビジオールの副作用:ランダム化臨床試験のシステマティックレビューとメタアナリシス

CBD製品にはどんなものがあるの?

CBDオイルの接種の仕方について、精神科医が詳しく解説します。

重い副作用もなく、生体への有用な影響があると分かっているのにも関わらず、CBDが「健康な大人が毎日の健康増進目的に使う」製品に留まっているのは、あらゆる年代、疾病を持つ人達が安心して使えるほど、十分に研究が進んでいないからです。

加えて、天然植物由来の成分なので、「どのように効くか」という作用機序も難しく、十分には判明していません

ここではCBD製品について説明します。

CBD製品は摂取の仕方でタイプは4種類

CBD製品は、口の中から、食べ物から、ガスにして、皮膚からと摂取の仕方で4種類あります。

摂取の仕方によるCBDの特徴
摂取の仕方 CBDの種類 効果の発現 効果の持続
口の中から摂取 CBDオイル 15分~1時間 数時間
食べ物として摂取 CBDガム、CBDクッキー、CBDグミ、CBDパウダーなど 30分~2時間 数時間~半日
気化させてガスとして摂取 CBDリキッド 数秒~数分 1時間
皮膚から摂取 CBDバーム、CBDクリーム 30分~2時間 数時間

摂取するわけではありませんが、部屋空間にスプレーして使うタイプのCBD製品もあります。

CBD製品はCBD精製方法で3種類

CBD製品は精製方法によって、「アイソレート」「ブロードスペクトラム」「フルスペクトラム」の3種類があります。

CBD製品の精製方法による特徴
精製方法 含有成分 特徴
アイソレート CBDのみ 質は原料の麻や土壌に左右される
ブロードスペクトラム THC以外の大麻草の全ての成分、CBDのみではない アントラージュ効果あり
フルスペクトラム THCを含めた大麻草の全ての成分 アントラージュ効果あり

アントラージュ効果とは、同時に複数の成分を摂取すると1つ1つの成分の効果が増強され、より高い効果が認められることです。

CBDだけより、他の成分が含まれていた方がより高い効果が期待できるということです。

フルスペクトラムにはTHCが含まれています。日本ではフルスペクトラム「THC濃度0.3%以下」の制限があり、これ以上のTHCが入っている場合は持っているだけで違法です。

海外におけるTHC濃度に関する栽培規制について

CBD製品は摂取量に注意

英国食品基準庁によると、CBDの摂取量の上限は健康な大人で1日70mgです。70mg以上だと健康に有害な影響が出る可能性があるからです。

食品安全情報(化学物質)No. 5/ 2020(2020. 03. 04)p.15

まとめ

CBDの効果と副作用について解説してきました。

CBDは健康な大人が摂取量に注意しながら使う分には、重い副作用もなく、気持ちをリフレッシュでき、健康な毎日を過ごすために有用なものです。

しかし、製品によってはTHCを許容限度以上含むものもあるので、個人輸入はせずに日本で販売されているものを購入した方が良いでしょう。

CBD(※)オイル等の CBD 製品の輸入を検討されている方へ

また、米国ではCBD製品は米国食品医薬品局が、「安全基準を満たす根拠がない」ことなどを理由に許可しないので、販売されていません。

食品安全情報(化学物質)No. 4/ 2023(2023. 02. 15)

CBD製品を摂取する場合は、CBDのことを良く知ってからにしましょう。

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カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2023年5月12日

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