精神科訪問看護師の給与は?働き方は?

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精神科訪問看護師の年収や働き方などについて、訪問看護ステーションを運営する精神科クリニック管理医師が解説します。

精神科訪問看護師として働くことに興味をお持ちの皆さん、精神科訪問看護師の給与や年収も気になるところではないでしょうか?

  • 病院勤務に比べて、給与は下がるの?
  • 給与の内訳は?
  • 時間外の対応は必要なの?

そんな疑問にお答えするために、今回は、精神科訪問看護師の給与事情についてお話していきたいと思います。

精神科訪問看護師の平均基本給と給与総額

2021年の日本看護協会調査研究報告※1によると、訪問看護ステーションにおける平均基本給は、269,811円でした。

また、1ヶ月の平均給与総支給額は、367,775円でした。

一方で、病院勤務の場合、平均基本給は277,696円、平均給与総支給額は386,046円でした。

訪問看護ステーション勤務よりも病院勤務の方が、平均の給与額はやや高い結果となりました。

訪問看護では、夜勤のない訪問看護ステーションが少なくないため、このような結果になったと考えられます。

ただし、上記の金額は、精神科訪問看護ステーションだけではなく、訪問看護ステーション全体の平均です。

東京都内にあるいくつかの精神科訪問看護ステーションを比較すると、基本給は28万円からとしている所が多くみられました。

そして、基本給に加えて、特殊手当や訪問件数ごとのインセンティブ、役職手当など、様々な手当がつくことが多いです。

日本では、地域で生活する精神疾患を有する人が、年々増加傾向にあります。つまり、精神科訪問看護師の需要も高まっているのです。

そのため精神科訪問看護師は、看護職のなかでも比較的高給与な仕事であると言えます。

※参照:日本看護協会 日本看護協会調査研究報告〈No.98〉2022 2021年 看護職員実態調査

オンコールはあるの?

訪問看護師の仕事のひとつとして、オンコール業務をイメージする人も多いのではないでしょうか。

オンコール業務とは、24時間利用者さんの緊急対応や相談対応ができるよう、訪問看護師が専用の携帯電話を持つことです。

多くの訪問看護ステーションでは、訪問看護に係る診療報酬として、24時間対応体制加算を算定しています。

24時間対応体制加算とは、訪問看護ステーションの営業時間外にも、利用者さんからの電話対応や緊急訪問を行える体制を整え、いつでも対応できることに対する加算です。

土日祝日など、医療機関などが休みの日も、利用者さんは安心して過ごすことができます。

この24時間対応体制加算を算定している訪問看護ステーションでは、オンコール業務や当直の対応があるかもしれません。

オンコール業務をする場合には、オンコール手当が支給されます。

全国訪問看護事業協会の調査※2によると、1回あたりのオンコール手当は1,000〜3,000円が相場です。

さらに、オンコール業務で、緊急訪問を行った場合の手当は、そのステーションの時給に夜間手当を上乗せして支給している所が多いようです。

訪問看護全体では、オンコール対応をしている所が多いのですが、精神科訪問看護の場合は、夜間対応をしていないこともあります。

身体疾患のように、夜間に対応が必要なケースが少ないということも理由のひとつですが、それ以外にも理由があります。

精神科訪問看護の場合、昼夜問わず誰かに連絡できる環境を作るというのは、必ずしも利用者さんにとって利益にはなりません。

夜間に何度も電話をして、十分な睡眠が取れなかったり、看護師に対して依存的になってしまう利用者さんもいるためです。

夜間の対応をするかしないかは、訪問看護ステーションの方針にもよるので、入職前に確認しておきましょう。

また、夜間オンコール対応を外部委託している訪問ステーションなどもあります。

※参照:一般社団法人全国訪問看護事業協会 訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業

精神科訪問看護師として働くためには?

精神科訪問看護ステーションの募集要項として、「1年以上の精神科看護の経験」という条件を見かけますが、これには理由があります。

精神科訪問看護師として働くためには、精神疾患をもつ患者に対して、相当の経験が必要であるということが定められています。

この「相当の経験」のひとつが、精神科病棟や外来での1年以上の経験があることなのです。

「私は精神科の経験がないから、働けないのか・・・」と思われた皆さん、安心してください。

1年以上の精神科看護の経験がない人でも、日本精神科看護協会などの専門機関が開催する20時間以上の研修を修了することで、精神科訪問看護師として働くことができます。

この研修は、入職後に訪問看護ステーションの費用負担で研修を受けられるので、しっかりと受講し、精神科訪問看護師としての一歩を踏み出しましょう。

すでに精神科看護の経験がある人は、その経験を在宅の場で、存分に活かしましょう。

精神科訪問看護をお探しの方へ

今回は精神科訪問看護師の給与事情についてお話しました。

病棟勤務に比べて、やや給与は下がることがあるかもしれませんが、それほど大きな差はないと感じた方もいるのではないでしょうか?

精神科訪問看護師は、夜勤業務がないことが多いので、仕事と私生活のバランスを重視したいという方にもおすすめです。

訪問看護ステーションの管理者を目指したり、専門性を高めるために資格を取得することで、給与のベースアップが期待できることも魅力的ですね。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:訪問診療/訪問看護  投稿日:2023年1月26日

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