リワークプログラムの特徴と目的

リワークで行うプログラムについて、精神科医が詳しくお伝えしていきます。

リワークプログラムとは、うつ病を始めとした精神疾患が原因で休職中の人を対象とした、復職のためのプログラムです。

職場復帰だけでなく、復職後の再発を予防することにも焦点が当てられます。

リワークプログラムは職場復帰を円滑に進めるために行いますが、具体的な目的として以下の5つが挙げられます。

  • 規則正しい通所により、生活リズムを整える
  • 休職原因や仕事の適性などの自己理解を深める
  • 似た症状や同じ状況の仲間ができる
  • コミュニケーションスキルを身に付けてストレス対処能力を高める
  • 仲間意識により復職へのハードルを下げる

通所開始直後には、まず生活リズムの安定と機能回復を目指します。

規則正しい通所が可能になれば、自己理解やストレス対処能力を高めるなど、再発予防を目的としたプログラムが行われます。

自分の状態に合わせて適切なプログラムを選択することが大切です。

リワークプログラムの内容とは?

リワークプログラムの内容について、精神科医が解説していきます。

それでは、リワーク施設ではどのようなプログラムが組まれているのでしょうか。

  • リハビリ系プログラム
  • 心理・キャリア系プログラム
  • 身体系プログラム

3つの領域に分けて解説します。

リハビリ系プログラム

リワークのリハビリ系プログラムについて、精神科医が詳しく解説します。

リハビリ系プログラムは、職場復帰後の環境に適応できるよう、作業を通してリハビリを行います。

実際の仕事を想定した作業を行うオフィスワークや、創作活動やレクリエーションを行う作業療法があります。

作業上の困難さをスタッフと共有して自分の状態を知り、目標の設定と達成を繰り返していくことが特徴です。

オフィスワーク

PC操作や書類作成などの仕事に類似した作業を行います。

集中力や思考力が十分に回復していない場合には、本や新聞を読んで過ごすという場合もあります。

作業療法

創作活動やレクリエーションを通して、作業能力を回復させていくプログラムです。

他のメンバーと交流しながら、対人関係上の適応能力を高める役割もあります。

心理・キャリア系プログラム

リワークの心理・キャリア系プログラムを精神科医が解説します。

心理・キャリア系プログラムでは、ストレス対処能力の向上やキャリアプランの見直しを行い、復帰後の再発予防に取り組みます。

代表的なプログラムとしては以下の5つが挙げられます。

  • 集団認知行動療法
  • ストレスマネージメント
  • アサーション・トレーニング
  • 心理教育・疾患教育
  • 自己分析・グループワーク
集団認知行動療法

集団認知行動療法は、グループで実施される認知行動療法を指します。

認知行動療法とは、うつ病を始めとした精神疾患に効果があるとされる心理療法の1つです。

様々な出来事への評価や解釈に焦点を当て、ストレスを抱えやすい捉え方を修正していきます。

集団で認知行動療法を行うメリットは、似た悩みや病気を抱える他のメンバーと励ましあいながら取り組める点です。

また、他人がどう考えているのかを知る機会にもなり、「こういう悩みは自分だけではない」という安心感にも繋がるでしょう。

ストレスマネジメント

仕事をする上ではストレスを回避することは難しいといえます。

職場復帰後に再休職に至らないよう、ストレスに適切な対応をするための方法を学びます。

ストレス対処のためには、『モニタリング』と『コーピング』という2つの要素が大切です。

モニタリングとは、体調や気分の変化を記録し、ストレス反応がどのように生じたかを観察することです。

不調に気づき、早い段階でストレス反応に対応することを目指します。

ストレス反応への対処行動がコーピングです。コーピングの種類を増やしたり、特定のコーピングに偏りすぎていないかを検討したりすることでストレス対処能力を高めます。

アサーショントレーニング

アサーションとは、自己主張をしつつ、相手も尊重するコミュニケーションスキルです。

相手と対等な関係を築くために必要なスキルであり、仕事を進める上で役立ちます。

ビジネスでは、上司や取引先、部下、同僚など様々な立場の人達と関わらなくてはいけません。

立場が違うと対等でなくなりやすいといえます。

例えば、上司の顔色を気にしすぎて、こなしきれない業務量を引き受けてしまうというような場合です。

アサーショントレーニングは、こういった立場の違いを埋めるために、適切な自己主張スキルを身に付けるものです。

休職理由が周囲とのコミュニケーションにある人に適したプログラムだといえるでしょう。

心理教育・疾患教育

精神疾患や症状のパターンについて、正しい知識を身に付けるプログラムです。

例えば、うつ病の場合であれば「症状が落ち着いても再発しやすい」「否定的な思考パターンは症状の1つ」などの知識を得て、疾患理解を深めます。

病気を正しく知ることで治療意欲を高めるとともに、いずれは自分でコントロールしていくことを目指します。

自己分析・グループワーク

休職に至った理由を自己分析し、復職後の再休職を予防するプログラムです。

自分の価値観や能力を整理して適性を見極めるような、キャリアマネジメント的な内容も含まれます。

また、個人で考えるだけでなく、グループ単位で話し合いながら進めるグループワークも行われます。

自分とは異なる視点から意見が得られるため、一人では考えつかなかった分析ができるメリットがあるでしょう。

身体系プログラム

リワークの身体系プログラムについて、精神科医が解説します。

復職のためには、体力や判断力、集中力の回復が欠かせません。身体に焦点を当てたプログラムは、以下の3つが代表的です。

  • 生活リズムの記録
  • 認知機能トレーニング
  • 運動レクリエーション
生活リズムの記録

体調や気分、睡眠時間の変化を記録する方法で、ストレスマネジメントにも関連します。

自分がどの程度回復しており、安定的な生活が送れているかをチェックできます。

セルフチェックだけでなく、職場復帰の可否を判断する材料にもなるでしょう。

認知機能トレーニング

PCを活用したゲームを通して、集中力や判断力の回復を促すプログラムです。

精神疾患では認知機能が低下する場合があります。

復職後に「段取りよく動けない」「気が散りやすい」といった状態にならないよう、機能回復に取り組みます。

運動レクリエーション

スポーツを通したレクリエーションによって、体力の回復を図ります。

多くはグループ単位で行われるため、他人との交流をしながら、社会的な適応能力を取り戻していく効果もあるでしょう。

状態に合わせて適切なリワークプログラムを選びましょう

本記事では、リワークプログラムの内容について具体的に解説しました。

復職までには、回復や疾患教育、ストレス対処能力の向上など様々なプロセスを経る必要があります。

しかし、状態や症状の特徴によっては適さないプログラムもあるかもしれません。

専門スタッフと相談のうえ、自分に適したプログラムがある施設を選びましょう。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2023年1月13日

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