精神科訪問看護に必要な書類シリーズ 第1弾~精神科訪問看護計画書の書き方~
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看護計画といえば、ほとんどの看護師が作成したことがあるのではないでしょうか?
精神科訪問看護では、サービスを提供する際に、看護計画を作成することが必須です。
今回は、精神科訪問看護計画書の書き方について、一から解説します。
精神科訪問看護計画書って?
精神科訪問看護を提供する際には、いくつかの書類作成が必要であることが、健康保険法で定められています。
そのうちのひとつが精神科訪問看護計画書です。
精神科訪問看護計画書を作成するときのポイントは大きく3つあります。
計画書は、サービス提供前に作成する必要があるので、以下のポイントを意識しながら、しっかりと作成しましょう。
ポイント① 精神科訪問看護指示書の内容に沿って作成する
精神科訪問看護計画書を作成する際には、必ず精神科訪問看護指示書の内容を確認します。
指示書に訪問看護に関する指示や留意事項がある場合は、それらを計画書の中に組み込む必要があります。
ポイント② 利用者の療養状況を踏まえて作成する
利用者がどのように生活をしているのか、心身の状況などアセスメントした内容を踏まえて、計画書を作成します。
作成した看護計画に基づいて、訪問看護を提供することになるので、具体的に、利用者ごとの個別性を考えて作成する必要があります。
ポイント③ 医療従事者以外が見ても、わかりやすい表現で作成する
訪問看護では、サービスを提供するにあたって、利用者及び家族等からサービス内容に対する同意が必要になります。具体的には、精神科訪問看護計画書に署名してもらい、一部を利用者に交付する形を取ります。
その為、医療用語や略語を多用すると、利用者にとって、意味がわかりにくい計画書となり、不親切な印象を与えてしまいます。
例えば、「BS測定」ではなく「血糖値測定」、「ADL」ではなく「日常生活自立度」と記載するなど、できるだけ医療従事者以外の人が読んでもわかりやすい計画書になるよう心がけましょう。
精神科訪問看護計画書の書き方
続いて、厚生労働省「訪問看護計画書等の記載要領等について(令 和2年3月2 7日通達)」を元に精神科訪問看護計画書の作成方法について、解説していきます。
①必要事項について
「利用者氏名」、「生年月日」、「要介護認定の状況」及び「住所」の欄に必要な事項を記入します。
②「看護・リハビリテーションの目標」及び「看護の目標」の欄について
主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテ ーションの目標を設定し、記入します。
目標は、年単位で達成するような長期目標と週・月単位で達成する短期目標に分けて作成することが望ましいでしょう。
短期目標の期間設定は、精神科訪問看護指示書の指示期間と連動させることもあります。
③「年月日」の欄について
計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入します。
④「問題点・解決策」及び「評価」の欄について
看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、訪問看護を行う上での問題点及び解決策並びに評価を具体的に記入します。
精神科訪問看護では、作業療法士の訪問も可能です。作業療法士が介入する場合は、作業療法士もこの欄を作成する必要があります。
また、問題点や解決策を作成する際には、「在宅で実行可能か?」という視点も重要です。
例えば、糖尿病を併発し、間食が多い利用者に対して「間食をしないように指導する」という目標は現実的ではないように思います。
どちらかというと間食の頻度や内容について利用者と話し合う方がより在宅における療養に適した解決方法と言えるのではないでしょうか。
⑤「衛生材料等が必要な処置の有無」「処置の内容」「衛生材料等」及び「必要量」の欄について
衛生材料等が必要になる処置の有無について○をつけます。また、衛生材料等が必要になる処置がある場合、「処置の内容」及び「衛生材料等」について具体的に記入します。
「必要量」には1ヶ月間に必要となる量を記入します。
⑥「訪問予定の職種」の欄について
訪問予定の職種及びその訪問日について記載します。
利用者の状態や提供するサービスの状況等によって、訪問予定の職種と、実際に訪問を行う職種が異なっても差し支えないとされていますが、利用者への十分な説明を行うことが大切です。
訪問する職種が看護師だけの場合は、空欄でも問題ありません。
⑦「備考」の欄について
利用者に提供する訪問看護サービスの頻度や特別な管理を要する場合はその内容、訪問看護以外のサービスを利用している場合はその状況、その他留意すべき事項等を記入します。
さいごに
以上、精神科訪問看護計画書の書き方について解説しました。
精神科訪問看護師であれば、必ず作成する書類です。
ポイントを押さえて充実した内容の計画書を作成できると、精神科訪問看護師としてのスキルアップに繋がるでしょう。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:訪問診療/訪問看護 投稿日:2023年11月3日
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