認知症になると顔つきが変わる!?その原因と対策

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認知症と表情変化について、精神科医が詳しく解説します。

認知症になると顔つきが変わってくることがあります。

以前と違った表情になり、家族は不安で、対応しにくくなるかもしれません。いったいどう対応したらよいのでしょうか?

この記事では、認知症の人の顔つきの特徴、顔つきが変わる原因、顔つきが変わってきたときの対策について解説します。

顔つきを通して、認知症の人の問題点が理解できるひとつのキッカケになればと思います。

それにより、問題点の解決策も立てやすくなるはずです。認知症の人を介護する際に役立ててください。

認知症の人の顔つきの特徴

認知症になると以下のように顔つきが変わることがあります。ただし個人差があり、誰にでも全ての症状がそろうわけではありません。

  • 生気を失ったような目つき
  • 目つきが険しくなることもある
  • まぶたが下がる
  • 口角に力がなくなる
  • 顔がたれる(おかめ顔)
  • 表情が乏しい
  • ぼんやりしている
  • 元気がない
  • 悲しそうな暗い表情

以前と比べて本人の顔つきが変わってしまい、家族や周囲の人は心配すると思います。

それでは認知症になると顔つきはどうして変わるのでしょうか?

その理由を次の段落で解説いたします。

認知症になると顔つきが変わる原因

顔つきが変わる原因には以下の3種類があります。

  • 精神的な原因
  • 身体的な原因
  • 日常生活の変化

精神的な原因

まず精神的な原因から考えてみましょう。認知症になるとアパシーや抑うつにより意欲が低下して、顔つきが変化します。

アパシー

アパシーは、無関心・無気力となり、周囲のことばかりでなく、自分自身のことにも興味がなくなる状態です。意欲が湧かなくなり、表情が乏しくなります。

抑うつ

認知症によって、今までできていたことができなくなり、イライラしたり、不安になったりすると、ゆううつ、不安感が強くなります。気分が落ち込み、表情が暗くなるのが特徴です。

認知症の症状・診断・治療について

身体的な原因

また身体的な原因もあります。認知症になると、顔の表情筋が衰えてくるため、顔全体が垂れ下がってしまいます。

しゃべったり、笑ったりする機会が減り、口角が下がるのが特徴的です。

認知症に伴ってパーキンソン症状がみられると、体をうまく動かせなくなり、外出の機会が減り、外部からの刺激も少なくなります。

まばたきが少なく、一点を見つめて、口を開いたままの表情になることがあります。

またレビー小体型認知症では、表情筋を動かしにくくなり、無表情となるのが特徴です。

レビー小体型認知症の症状・診断・治療

日常生活の変化

日常生活が単調になりやすいのも原因の一つです。食事・排泄・入浴の繰り返しで、行動の変化がなくなります。

外部の人との接触が減り、外部からの刺激が減ります。脳への刺激も少なくなり、外部からの刺激に反応する機能が低下して、表情が乏しくなります。

認知症により顔つきが変わってきたときの対策

認知症により顔つきがかわってきたときには、どうしたらよいのでしょうか? 以下の2種類に分類して解説します。

  • 周りの人が心がけるべきこと
  • 本人がすべきこと

周りの人が心がけるべきこと

周りの人が認知症の人に共感し、安心させることが大切です。具体的な対策をご紹介します。

あいさつをする

おはよう、ありがとうなど、こまめにあいさつをしてください。あいさつは相手を幸せな気持ちにします。認知症の人の心に声を届けましょう。

話をていねいに聞いてあげる

認知症の人を受け入れ、寄り添うことで、認知症の人のつらい、苦しいといった気持ちを和らげてください。

相槌をうつ

相槌をうつ、相手の目を見るなどで上手に話を聞きましょう。「話を聞いてくれている」という安心感を与え、一緒に笑顔で楽しい時間を過ごしてください。

相手の話のペースに合わせる

話す速度を落として、難しいことばは使わないようにしましょう。

声の高さは低くして、落ちついて話すと聞き取りやすくなります。認知症の人が覚えている昔の話をするのが最適です。

本人がすべきこと

本人がすべきことをご紹介します。ただし本人だけに任せず、周囲の人も援助してあげてください。

生活のリズムを整えメリハリをつける

生活のリズムを整えたほうが、本人の気持ちが落ち着くとともに、周囲の人も接しやすくなります。

運動をする

適度な運動は、精神的にも身体的にもよい影響を与えます。ラジオ体操、ストレッチ、散歩くらいで十分ですから、毎日の運動を心がけましょう。

まぶたを大きく開けて目を動かす、唇の運動をするなどして、表情筋を鍛えるのも効果的です。

自分でできることは自分でする

介護者が認知症の人にかかりきりだと、認知症の人はますます何もできなくなります。自分でできることは自分でさせるようにしてください。

他の人と交流する

家族以外の人とも交流するのは、認知症の進行予防に効果的です。

認知症カフェ、趣味の集まり、デイサービス、ショートステイなどを利用して、交流範囲を広げてください。

まとめ

認知症になると、顔が垂れて、表情が乏しく、元気のない顔になってきます。

その原因は、アパシー・うつ状態におちいること、表情筋や身体の動きが悪くなること、日常生活が単調となり外部からの刺激が減ることなどです。

対策としては、周りの人が認知症の人に共感し、安心させること、本人は他の人と交流することが重要でしょう。

認知症の人の介護をする際に、この知識を役立ててみてください。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:認知症  投稿日:2023年7月5日

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