母乳育児のメリットとは?
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母乳育児のメリットとは?
母乳育児には、赤ちゃん・お母さんの両方に様々なメリットがあると言われています。具体的にはどのようなことがあるのでしょうか?
初乳と成乳の違い
母乳は、
- 初乳:免疫物質や消化酵素を含み、タンパク質が豊富
- 成乳:カロリーの高い乳糖が多い
と、時期によって含まれる成分が変わります。
「初乳」は赤ちゃんを産んだ直後に出る母乳です。初乳の目的は、
- 赤ちゃんの免疫を助ける
- 便を出してあげる
ことです。
そのために必要なIgAと呼ばれる免疫物質や消化酵素がたくさん含まれ、タンパク質が多めになっています。
一方「成乳」の主な目的は、
- 赤ちゃんの栄養を補う
ことです。ですから、乳糖が多くてカロリーが高くなっているのです。
母乳のメリットは主に最初の「初乳」にあります。そのため、お薬の影響を考えて人工乳(ミルク)育児を選択する場合でも、初乳はできるだけ赤ちゃんに与えられるように考えていきます。
子供の免疫力が高くなりやすい
初乳には免疫物質である免疫グロブリンや白血球、ラクトフェリンなど、人工乳には含まれていない成分もたくさん入っています。
その影響により、母乳で育った子供は、
- ワクチンの効果がしっかり出やすい
- 潰瘍性大腸炎・Ⅰ型糖尿病など自己免疫疾患の発症率が低い
など、免疫力が高くなりやすいという報告がされています。
認知機能の向上や肥満などの予防につながりやすい
母乳育児についての研究では、免疫機能の他にも
- 認知機能の向上を助ける
- 肥満・高血圧・糖尿病などメタボリックシンドロームの予防につながる
という報告もされています。
消化吸収がよい
赤ちゃんは、生まれてから6か月間、母乳だけで栄養をうけて大きく成長していかなければいけません。ですから、母乳は消化吸収の効率がよく、人工乳よりも少ない量でエネルギーを吸収できるようになっています。
母乳育児のお母さんへのメリット
母乳育児は赤ちゃんだけでなく、お母さんにもメリットがあります。
母乳をあげていると生理の再開が遅くなり、その間は女性ホルモンのエストロゲンが抑えられるため、
- 乳がんや子宮体がん、卵巣がんなど「女性の癌」の罹患率が低くなる
と言われています。
また、
- 骨粗鬆症や関節リウマチや糖尿病が発症しにくくなる
という報告もあります。
そして、お母さんのエネルギーが母乳に奪われるので、
- 産後の肥満を予防する
ことにつながります。
母乳を出さないでいると、母乳がつまって乳腺炎になってしまうこともあります。
お薬を飲みながら母乳育児はできる?
ここまでにお伝えしたように、母乳育児には様々なメリットが言われています。「できれば母乳で赤ちゃんを育てたい」と希望されている方も多いでしょう。
けれど、治療でお薬を飲んでいる方は、その影響が気になってしまうこともあるかと思います。
そのときは自己判断をせず、まずは主治医に母乳育児の希望を伝え、よく相談をしましょう。
多くのお薬では1%以下の量しか母乳へ移行せず、大きな影響はないと考えられていますし、服用のタイミングをずらすなどの工夫でさらに影響を抑えることもできるため、お薬を飲みながら母乳育児を選択していただくことはできます。
微量のお薬が母乳へ出たとしても、母乳によるメリットの方が大きいと言われることも多いのです。
ただ、リーマスなど一部のリスクが高いお薬や、多量の服薬をされている方は、人工乳の選択を考えた方がいいこともあり、お薬の種類や病状、お母さん自身の考え方によっても、どちらの選択がいいかは違ってきます。
無理はせず、主治医とよく相談しながら授乳方法を決めていきましょう。
※お薬の授乳への影響について詳しく知りたい方は、『お薬は授乳へどう影響するのか』をお読みください。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:妊娠・授乳について 投稿日:2019年9月6日
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