【専門家が解説】就労継続支援施設B型(B型作業所)

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就労継続支援施設B型とは?

就労継続支援施設B型は、一般就労の難しい障害者の方(または医師の診断がある方)が支援を受けながら、リハビリや訓練を兼ねた作業を行う福祉施設です。

障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一環で、平成18年の法改正にともない設立されました。それ以前は『B型作業所』と呼ばれていた施設の多くが、現在は就労継続支援施設B型となっています。 就労継続支援施設にはA型とB型があり、A型は雇用契約を結び一般就労に近い形で、ある程度しっかりと働き、収入を得たい方が対象です。

一方B型は雇用契約を結ばず、体調や障害に合わせたマイペースな利用ができます。 B型では雇用契約を結ばないのでA型のように保障された賃金はありませんが、作業に対する成果報酬として『工賃』が支払われます。比較的軽く短時間の作業を通し、働くために必要な技能や知識を身に着けていくことが目的です。

厚生労働省の調査によると、平成29年時点での就労継続支援施設B型の事業者数は11,041施設となっています。前年の2016年では10,214施設、2014年には8,722施設で、経年的に増加傾向です。利用者数は2017年9月時点で258,357人と報告されています。

就労継続支援施設B型が利用できる方

就労継続支援施設B型の対象者は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含む)、難病などがあり、利用について主治医の了解がある方で、以下の要件のいずれかを満たす方になります。

  • 就労の経験はあるが、体力や年齢から一般企業に雇用されるのが困難な方
  • 就労移行支援事業所の利用をしたが、B型事業所の利用の方が適切であると判断された方
  • 50歳に達している方
  • 障害年金1級の受給者

障害者手帳は必ずしも取得していなくても利用は可能ですが、医師の利用に際する診断が必要になります。

B型の利用は個々の状態に応じて臨機応変な対応もあり、自治体によっても要件は異なります。精神科や心療内科に通院中の方はまず主治医と相談し、B型の利用が向いている状態かどうかを聞いてみましょう。

細かな要件は、お住まいの地域の役所の障害福祉課へお問い合わせください。

就労継続支援B型事業所の利用料

就労継続支援B型は障害福祉サービスの一環で、福祉サービスの利用料がかかります。原則は1割が利用者の方の自己負担です。

ただし、前年度の課税額によって免除や上限が設けられています。以下の方は自己負担がありません。

  • 生活保護を受給している世帯の方
  • 市町村民税が非課税の世帯の方

前年度に働いていて収入と課税があったときには、課税額に応じ月の上限が定められています。

<自己負担月額の上限>

  • 市町村民税の所得割が16万円未満の方
    →9,300円となります。
    ※市町村民税の所得割が16万円未満の世帯とは、収入が約600万円以下の世帯です。
  • 上記以外の方、20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者
    →37,200円となります。

20歳以上の入所施設利用者とグループホーム・ケアホーム利用者は、額に関わらず市町村民税課税の世帯なら負担上限月額は37,200円となります。

※具体的な利用料や細かな要件は、自治体によって異なります。詳しくはお住まいの市区町村役所の障害担当の課にお問い合わせください。

就労継続支援B型の賃金

B型では雇用契約を結ばないのでA型のように保障された賃金はありませんが、作業に対する成果報酬として一定の『工賃』が支払われます。工賃のシステムは事業所によって違い、1日〇〇円と決まっている所や、作業の内容によって出来高制になっている所があります。

厚生労働省の調査によると、B型施設の平均工賃(平成28年度)は、

  • 月額 :15,295
  • 時間額:199

となっています。

これはあくまで平均で工賃は事業所によって様々です。時間額にして100円を切っている所もあれば、400円を超える所もあります。

B型の工賃については向上への取り組みがされており、年々少しずつは上昇しています。現在は、月に利用者に支払われる工賃が、平均3000円を下回ってはいけないと決まっています。(最低3000円の保障というわけではなく、事業所が利用者全体に支払う工賃の平均額が3000円を下回らないようにする形です。利用者個人で見た時に工賃が3000円以下になる方も勿論います)

就労継続支援B型の作業内容と時間

作業内容は事業所によって様々ですが、例をあげると以下のような作業があります。

  • 袋詰めや値付け
  • ボールぺン等の組み立て
  • ミシン作業や工作など手工芸
  • パンやお菓子の製造
  • 作った商品の販売・提供
  • 調理補助
  • パソコンの入力作業
  • クリーニング
  • 農作業

などになります。

 

その他、レクリエーションを行ったり、季節ごとのイベントの企画を立てたり、利用者の方が集まって勉強会や発表などを行う機会を提供している事業所もあります。

B型では短時間・軽度の作業が中心です。時間は事業所によりますが、2~3時間の作業時間が基本になっています。事業所によっては1時間のみの利用ができる所もあります。

具体的な時間や調整の方法は事業所によって異なりますが、スタッフと面談をしながら出勤日や時間の調整が行えることが多く、10~12時、1315時、10~15(昼休憩を挟む)など、自分の動きやすい時間帯を選べたり、勤務日数も週1~週5まで調整ができたりする事業所もあります。

体調に合わせて柔軟に対処しやすいのが、B型の特徴です。

就労継続支援B型の利用方法

就労労継続支援のサービスを希望するときに必要なステップは、以下のような流れになっています。

  1. 主治医と相談する
  2. 主治医の許可が出たら希望の事業所を探す
  3. 事業所との相談で利用が決定したら、役所に利用申請をする
  4. 『障害福祉サービス利用受給者証』の発行後、事業所で正式な手続きをして利用開始

①主治医と相談する

精神科・心療内科に通院中の方は、まず主治医と相談をしましょう。サービスの利用の必要性があり、事業所の利用が可能な状態と医師が判断することが条件になります。

②希望の事業所を探す

主治医への相談後は、自分が通いたいと思う事業所を探しましょう。どんな事業所があるかは市区町村役所の障害福祉課などで紹介が受けられます。インターネットで検索をすることもできます。通院先の医療機関にソーシャルワーカーがいる場合は、そちらへ相談してみるとスムーズです。

事業所により特色や得意が違うので、自分が学びたいと思うことや希望の業種などを考え、合いそうな所を探してみましょう。気になる所を見つけたら、実際に問い合わせて見学や相談に訪れます。体験ができる所も多いです。相談や体験を通し、よく検討することをお勧めします。

③市区町村の障害福祉担当窓口に利用を申請する

事業所との相談の上で通所が決定したら、市区町村の障害福祉担当の窓口にサービスの利用を申請します。その後に役所の担当者からサービス利用についての聞き取り調査があり、サービス支給認定のための会議があって正式に就労継続支援事業所の利用が決定します。

また、サービスの利用にあたって『サービス等利用計画書』という書類の作成が必要になります。自分で作成することも可能ですが、難しいときは指定の特定計画相談事業所に作成を依頼します。

『サービス等利用計画書』の作成方法や特定計画相談事業所の紹介は役所の窓口で説明してもらえます。まずは窓口に、通所する就労移行支援事業所が決まったことを伝えましょう。

④受給者証の発行・事業所での手続き・通所開始

認定が下りると『障害福祉サービス利用受給者証』が発行されます。受給証を受け取ったらそれを持って事業所で契約手続きを行い、通所が開始できます。受給者証には期限があり、1年で更新が必要です。

就労移行支援・就労継続支援A型・B型の違い

障害者の方が就労支援を受けられる就労系福祉サービスには、就労継続支援施設A型以外に就労継続支援B型と就労移行支援があります。

<就労継続支援施設B型・就労移行支援との比較>

就労支援事業所と作業所の違いを表にしてまとめました。

就労継続支援A型との違い

就労継続支援施設A型とB型の大きな違いは、

  • 雇用契約を結ぶか結ばないか

です。

A型は雇用契約を結ぶため一般就労に近い形になり、

  • 就労時間・日数が契約で定められる
  • 比較的長時間(4~8時間)の勤務になる
  • 賃金は地域の最低額が保障される
  • 各種保険なども適応される

などが特徴です。

一方、就労継続支援施設B型は雇用契約を結ばず、自分の体調に合わせたマイペースな通い方ができます。年齢制限もありません。就労の場として利用する方もいますが、就労が目的就労に向けたリハビリとして利用する方も多く、仕事内容もごく軽度の作業が中心です。

作業の成果に対しては一定の工賃が支払われますが、A型に比べるとかなり安い場合が多くなります。

就労移行支援との違い

就労移行支援は、一般企業への就労を目指す方が対象です。就労継続支援施設と違って仕事は行いませんので、賃金はもらえません。就職する為の訓練を目的とした事業所で、働くために必要な知識や能力を培う職業訓練、企業実習、就職活動のサポートなどの支援が受けられます。

就職後に安定して働き続けるための職場定着支援も含まれます。 これらのサービスは同時に受けることはできず、状態に合わせて選択することになっています。途中で状態が変われば移行することが可能です。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:制度・サービス  投稿日:2019年5月11日

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