リワークと就労移行支援の違いとは?対象や料金、利用方法など6つの違いを解説

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リワークと就労移行支援の違いを、精神科医が詳しく解説します。

精神疾患で休職中の人は、「リワーク」や「就労移行支援」というサービスを耳にしたことがあるのではないでしょうか。

どちらも職場復帰をサポートするサービスですが、両者の違いが分からずどちらを選べばいいのか迷う人が少なくありません。

今回は、「リワーク」と「就労移行支援」の違いについて解説します。

リワークと就労移行支援の違いとは?

両者の違いを分かりやすくするため、医療機関で行われるリワークを例にとりました。違いをまとめると以下のようになります。

  リワーク(医療機関) 就労移行支援
目的 休職中の人の復職をサポートする 働いていない人の就職をサポートする
対象 精神疾患などで休職中の人 何らかの障害があり、働くことを希望している人
料金 医療費の1~3割(自立支援制度利用により上限額の設定がある) 原則1割負担および収入に応じた上限額
期間 平均6~7か月 2年まで
場所 病院やクリニックなどの医療機関 就労移行支援事業所
利用方法 主治医およびリワーク施設の担当医の許可が必要 障害者手帳および診断書をもとに、自治体への申請が必要

上記の6つのポイントについて詳しく説明していきます。

【目的】「復職」か「再就職」か

リワークと就労移行支援は、それぞれ異なる利用目的があります。

リワークは休職中の人が復職できるようサポートすることが目的です。

転職ではなく、元の職場に復帰することを想定したプログラムを行います。

一方で、就労移行支援は、何らかの障害がある人の一般企業への就職をサポートする福祉サービスです。

必ずしも元の職場への復帰を条件とせず、転職も視野に入れ、安定して働けるようサポートします。

近年では、就労移行支援事業所もリワークを行う施設が増えてきましたが、休職中の人を対象としていない施設もあるので、注意が必要です。

反対にリワークでは、転職を前提とした復職支援を行っていないところもあるので注意が必要です。

【対象】「精神疾患中心」か「障害をもつ人全般」か

リワークは、うつ病や適応障害などの精神疾患により休職している人を対象としています。

一方で、就労移行支援の対象は、精神疾患に限らず、知的障害や身体障害をもつ人も含まれます。

そのため、リワークと就労移行支援とでは通所する人たちの層が少し異なるといえるでしょう。

【料金】背景にある制度により異なる

医療機関のリワークは、精神科デイケアの枠組みで実施されているため、医療保険が適用されます。

原則3割負担ですが、自立支援医療制度を利用すれば、1割にまで負担を軽減できます。

自立支援医療制度は、月額の上限額が設定されていることが特徴です。

下記のように収入や病状の程度に応じて上限額が決められており、それ以上の利用料はかかりません。

精神通院での自立支援医療の自己負担割合を一覧表にしました。

※うつ病やアルコール依存症などの精神疾患は、「重度かつ継続」に該当することが多い。

なお、医療機関以外で行うリワークもあります。障害者職業センターや自社企業で行うリワークプログラムは原則無料です。

一方で、就労移行支援は、障害者総合支援法により定められたサービスです。

そのため、障害者福祉サービスの利用料金に体系が適用され、施設利用料の原則1割負担となっています。

また、下記のように、収入に応じて月額の限度額が設定されています。

就労移行支援事業の自己負担割合を、精神科医が詳しく解説します。

最近では、リワークプログラムを提供している就労移行支援事業所も増えてきました。

その場合は、就労移行支援と同じ料金体系が適用されます。

「リワークに費用について

【期間】リワークは平均6~7か月、就労移行支援は2年まで

医療機関でのリワークは平均6~7か月でプログラムを行います。

症状や希望に応じて、2か月などの短期間でのプログラムを提供していることもあり、期間は施設や利用者により異なります。

一方で、就労移行支援の利用期間は原則2年までです。

自治体に申請すれば、必要に応じて最大12か月までの延長が認められる場合もあります。

【場所】リワークは4つの施設、就労移行支援は事業所で行われる

リワークの多くは、医療機関に併設された施設で行われます。

その他、就労移行支援事業所や障害者職業センターでもリワークプログラムが提供されています。

企業独自の復職プログラムがある企業内リワークを行う会社もあるため、自分の会社が該当するか確認してみましょう。

就労移行支援は、就労移行支援事業所にて提供されるサービスで、2023年現在でも全国に3353カ所もの事業所があり、上場企業も複数あります。

【利用方法】リワークは医師の許可、就労移行支援は申請が必要

医療機関のリワークであれば、主治医およびリワーク施設の担当医師の許可が必要になります。

病状が重く、リワークを受けるよりも症状の安定が必要だと判断される場合は、利用できないこともあります。

リワークの利用を検討している場合は、かかりつけの主治医に相談してみましょう。

就労移行支援の利用には、市町村などの自治体への申請が必要となります。

障害をもっている人を対象とした福祉サービスであるため、申請には、障害者手帳の取得が条件になっていることが多いでしょう。

しかし、主治医の診断書があれば利用が認められる場合もありますので、不明な場合は主治医に相談してみましょう。

リワークと就労移行支援どちらを選べばいい?

リワークと就労移行支援事業を精神科医が比較してご紹介します。

6つのポイントに沿って、リワークと就労移行支援の違いを解説してきました。

しかし、自分に合ったサービスを選ぶにはどうすればよいのでしょうか。

就労移行支援に適している人

就労移行支援は、復職を前提としたサービスではありません。

そのため、現在退職中の方や転職を視野に入れているという方にはおすすめだといえるでしょう。

また、就労移行支援では、仮想の職場を設定して行う職場体験プログラムが豊富なことが特徴です。

さまざまな職種を経験することで、適性を見極めたいと考える方にも適しているでしょう。

リワークに適している人

リワークは、病状の回復と再休職の防止に焦点を当てた専門性の高いプログラムを提供しています。

そのため、元の職場に復職し、以前と同じように働きたいと考えている方におすすめです。

また、医療機関で行われるリワークでは、同じような病気を抱えた休職者と一緒に取り組んでいける点もよいでしょう。

一緒に取り組む仲間が欲しい方や、集団の中で取り組みたいという方にはリワークが適しているといえます。

2つのサービスの違いを理解して最適なサービスを選びましょう

休職中に受けられるサービスについて、色んな情報があってもどのサービスが自分に合っているのか分からなくなることも多いのではないでしょうか。

特に、心のエネルギーが低下している状態では、思うように頭が回らずに自分では判断しにくいこともあるかもしれません。

今回ご紹介した6つのポイントに沿って、違いを理解し、ご自身の状態に合わせたサービスを選択しましょう。

当法人でも、武蔵小杉こころみクリニックに併設する形で大規模リワーク施設「こころみベース(COCOROMI BASE)」を運営しています。

東京方面からもアクセス良好ですので、よろしければご検討ください。

こころみベース(COCOROMI BASE)

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:リワーク  投稿日:2023年3月24日

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