亜鉛欠乏症とは?亜鉛のサプリメントとお薬について

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亜鉛欠乏症とは?

亜鉛欠乏について、精神科医が詳しく解説します。

亜鉛は体内でつくることができない必須微量金属であり、体内に2~3g存在します。

数百種以上の酵素に含まれ、さまざまな生体内の反応に関与しています。

タンパク質の合成やDNAの合成にも必要なので、骨、肝臓、すい臓、腎臓、筋肉といった新しい細胞が作られる組織で多く働きます。味覚に関わる味らい細胞や免疫反応における役割もあります。

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、亜鉛の1日の摂取推奨量は18~74歳の男性で11mg、75歳以上の男性で10mg、18歳以上の女性で8mg、妊婦で10mg、授乳婦で12mgとなっています。

亜鉛欠乏症の診断基準

日本臨床栄養学会が発行している『亜鉛欠乏症の診療方針2018』によると、血清亜鉛濃度の正常範囲は80 – 130μg/dLで、亜鉛欠乏症の診断基準は以下になります。

  1. 下記の症状/検査所見のうち1項目以上を満たす
    1)臨床症状・所見 皮膚炎、口内炎、脱毛症、褥瘡(難治性)、食欲低下、発育障害(小児の体重増加不良や低身長)、性腺機能不全、易感染性、味覚障害、貧血、不妊症
    2)検査所見 血清アルカリホスファターゼ(ALP)低値
  2. 上記症状の原因となる他の疾患が否定される
  3. 血清亜鉛値
    1)60μg/dL未満:亜鉛欠乏症
    2)60 – 80μg/dL未満:潜在性亜鉛欠乏症
  4. 血清亜鉛は、早朝空腹時に測定することが望ましい
  5. 亜鉛を補充することにより症状が改善する

亜鉛補充前に、上記の1~3を満たす場合は、亜鉛補充の適応になります。

亜鉛欠乏症の治療でのお薬とサプリメント

亜鉛を補充する場合、成人では亜鉛50~100mg/日を食後に内服します。

慢性肝疾患、糖尿病、慢性炎症性腸疾患、腎不全があるとしばしば血清亜鉛値が低値ですが、血清亜鉛値が低い場合に亜鉛摂取により基礎疾患の所見や症状が改善することがあるため、このような疾患では亜鉛欠乏症が認められなくても亜鉛補充が推奨されます。

亜鉛欠乏症に対する治療は、

  • 酢酸亜鉛(商品名:ノベルジン)
  • ポラプレジンク(商品名:プロマック錠)

により行います。

お薬としては、ノベルジン25mg錠には25mgの亜鉛が、プロマック75mg錠には17mgの亜鉛が含まれています。(※プロマック錠は胃薬になりますが、ジェネリックが発売されているため薬価が抑えられます。)

亜鉛は他の必須微量金属と違い、極めて安全域の広い金属元素であると知られており、1日50mgまでの摂取では問題が起きにくいとされています。サプリメントとしても市販されていますので、過量にとらなければ大きな問題はおこりません。

ただし、50mgを超えてくると銅の吸収抑制が起こる可能性があり、100mgを超えると消化器症状を来しやすくなります。

亜鉛投与による有害事象としては、

  • 消化器症状(吐き気、腹痛、下痢)
  • 頭痛
  • 血清膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)上昇
  • 銅欠乏による貧血・白血球減少、鉄欠乏性貧血

が報告されていますが、血清膵酵素上昇は特に問題がなく、経過観察で良いとされています。

亜鉛補充中は定期的に血清亜鉛、銅、鉄を測定し、血清亜鉛値が250µg/dL以上になれば、減量します。また、銅欠乏や鉄欠乏が見られる場合、亜鉛補充を減量もしくは中止し、銅や鉄の補充を行います。

※当院では、オンライン診察の上で明治グループの医療機関専用サプリメント『メイキュアEPA1000』のご相談を行っています。詳しく知りたい方は、『【医療機関専門サプリメント】メイキュアEPA1000の効果と副作用』をお読みください。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:サプリメントについて  投稿日:2022年5月7日

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