認知症にならないために注意すべきポイント
【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
この記事では、認知症にならないために、食生活、運動、社会活動、ストレス発散、質の良い睡眠、聴力低下の対策、レクリエーションにおいて注意すべきポイントを解説します。
認知症にならないために注意すべきポイントになります。
認知症が気になる方は役立ててみてください。
認知症にならないために注意すべきポイント
認知症は予防することで発症のリスクを下げられます。
認知症にならないために以下の6点に注意してください。
- 脳の老化は40代後半から始まるため、40代から認知症の予防を始める
- 認知症は関連している高血圧・脂質異常症・肥満・糖尿病などの生活習慣病を治療する
- 食生活を見直し、適度な運動をして生活習慣病を予防する
- 禁煙する
- 認知症の発症リスクを下げるために社会的な活動をする
- 認知症の原因の一つであるストレスを発散する
認知症にならないために食生活を見直す
アメリカのラッシュ大学医療センターの研究によると、「マインド食」をとっている人はアルツハイマー型認知症の発症リスクが53%低下するそうです。
マインド食とは、高血圧を予防するための食事方法を改良したもので、「DASHダイエット」と「地中海ダイエット」を組み合わせたものです。
摂取すべき10食品
マインド食で推奨された食品は、野菜・根菜・ナッツ・豆・ベリー・魚・全粒穀物・オリーブオイル・鶏肉・赤ワインの10種類です。
これらの食品には以下のような栄養素が含まれます。
- 野菜・根菜・豆・果物:ビタミンB群・ビタミンC群
- 魚(とりわけ青魚):ビタミンB群
- ナッツ:ビタミンE群
- にんじん・ピーマン・ほうれん草:βカロチン
あまり多く摂取すべきでない5食品
逆にあまり多く摂取すべきでない食品を示します。
- 赤身の肉
- チーズ
- バターとマーガリン
- スイーツ
- ファーストフード
ただし全く食べてはいけないわけではありません。
またオックスフォード大学の研究チームによると「適量のアルコールでも脳の海馬を委縮させる」とのこと。
アルコールとりわけ赤ワインは、摂取すべきかどうかの意見が分かれています。
糖質・塩分の制限
糖質の取り過ぎは血糖値が高くなり、アルツハイマー型認知症・血管型認知症のリスクを高めるため、制限が必要です。
また塩分の取り過ぎは、高血圧を介して、脳血管障害のリスクを高めるため、減塩が必要です。
認知症にならないために運動する
認知症の予防のために、有酸素運動とりわけ「ながら運動」が効果的です。
有酸素運動
ウォーキングなどの有酸素運動により、脳由来の神経栄養因子が出て、新しい神経や血管が生まれます。
1日30分以上の運動を週3回以上行うと効果的です。
また有酸素運動はセロトニンを増やし、うつ状態を改善させて、認知症を予防します。
ながら運動(デュアルタスク)
同時に2つのことをする「ながら運動」が認知症の予防に効果が高いとされています。
たとえば数を数えながら足踏みをするなどです。
体を動かすことで脳を活性化すると同時に、課題を達成することで前頭葉を刺激します。
認知症にならないために社会活動に参加する
社会活動に参加して他人とコミュニケーションをとることがうつ状態・認知症の予防になります。
おしゃべりは脳を刺激し、脳の活動を活発にするのです。
また出かける時に身なりを整える、持ち物を準備するなどの段取りは、脳を刺激します。
さらに社会活動によって、行動・思考が単調にならなくてすみ、生活に張りをもたせられます。
社会活動の例
図書館・映画館・博物館・俳句会・サロン・料理教室・デイサービスなどがあります。
認知症にならないためにストレスを発散する
中年期に不安や嫉妬といった感情をためていると、老年期にアルツハイマー型認知症になるリスクが2倍になるそうです。
またストレスはうつ病発症のリスクの一つであり、若いころにうつ病を発症した人は、アルツハイマー型認知症・脳血管型認知症にかかりやすくなります。
以下のような方法でストレスを発散させましょう。
- 日光を浴びながら散歩する
- 自然に囲まれて運動する
- 温めのお風呂にゆっくりつかる
- 趣味を楽しむ
認知症にならないために質のよい睡眠をとる
認知症の予防には、1日に6~7時間の睡眠が理想です。
アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβは、質のよい睡眠によって脳から排せつされます。
質のよい睡眠をとるためのポイント
- 規則正しい生活
- 昼寝は30分未満
- 就寝の2~3時間前に入浴
- 寝室の温度・湿度を整える
- 自分に合った寝具を選ぶ
- 起床後は日光浴で体内時計をリセットする
認知症にならないためには聴力低下の対策をとる
聴力低下を放置すると、脳に入る情報が減り、脳神経細胞の活動が衰えます。
適切な補聴器を使って、聴力低下の対策をとりましょう。
早い人では40~50歳代で補聴器が必要になることもあります。
認知症にならないためにレクリエーションをする
テレビゲーム・将棋・囲碁・脳トレなどのゲームが認知症の予防に役立ちます。
テレビゲーム
眼でものの動きを追いながら考えて指を動かすため、脳を刺激して認知症の予防になります。
とりわけアクション系ゲームは処理速度を鍛えるのに効果的です。
将棋・囲碁
思考力・記憶力を使い、相手の出方を推測するため、脳が活性化されます。
また相手とコミュニケーションがとれるのもメリットです。
脳トレ
文字を書く、計算する、塗り絵、折り紙などを通じて、自分で考え、手を動かすことは、脳を刺激します。
楽器演奏
指を使い、息を吹くことで音を出し、脳を活性化します。
手芸
編み物・刺しゅうなどの手芸で指と脳を使います。
料理
レクリエーションではありませんが、献立を考え、段取りをして料理するのは、脳を活性化するのに役立ちます。
9.まとめ
認知症にならないためには、マインド食の摂取、有酸素運動やながら運動、趣味の会などの社会活動への参加、日光浴などのストレス発散、1日6~7時間の質の良い睡眠、補聴器による聴力低下の対策、レクリエーションへの参加などが大切です。
日々の心がけを大切にしながら、無理なく認知症の予防にとりくんでいきましょう。
10. 参考文献
- Morris MC, Tangney CC, Wang Y, et al. MIND diet slows cognitive decline with aging. Alzheimers Dement. 2015;11(9):1015-1022. doi:10.1016/j.jalz.2015.04.011
- Dhana K, James BD, Agarwal P, et al. MIND Diet, Common Brain Pathologies, and Cognition in Community-Dwelling Older Adults. J Alzheimers Dis. 2021;83(2):683-692. doi:10.3233/JAD-210107
【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。
(医)こころみ採用HP取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:認知症 投稿日:2024年3月29日
関連記事
高齢者のうつ病の症状とは?家族の対応4つをわかりやすく解説します
「親の表情がくらい」「親がふさぎこんでいる」このような悩みはありませんか? これは高齢者のうつ病かもしれません。 仕事の退職や大切な人との死別などのライフステージの変化により、うつ病を発症するリスクが高まります。 高齢者… 続きを読む 高齢者のうつ病の症状とは?家族の対応4つをわかりやすく解説します
投稿日:
人気記事
デエビゴ(レンボレキサント)の効果と副作用
デエビゴ(レンボレキサント)とは? デエビゴ(一般名:レンボレキサント)は、覚醒の維持に重要な物質であるオレキシンの働きをブロックすることで、睡眠状態を促す新しいお薬です。 オレキシン受容体拮抗薬に分類され、脳と体の覚醒… 続きを読む デエビゴ(レンボレキサント)の効果と副作用
投稿日: