認知症の介護施設の種類と選び方!介護施設に入れるタイミングは?
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認知症は進行性の病気であり、介護も長期間に渡ります。
在宅での生活に限界を感じ、介護施設への入所が必要になることも少なくありません。
本記事では、認知症の介護施設の種類と特徴、介護施設の選び方、介護施設に入れるタイミングについて解説します。
これを読めば介護施設の概要が理解できるでしょう。
認知症の方を介護施設にいれる際に役立ててみてください。
1.認知症の介護施設の種類
認知症の方が利用できる介護施設には、介護医療院・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・ケアハウス・グループホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向き住宅・介護付き有料老人ホームの8種類があります。
1-1.介護医療院(介護療養型医療施設)
医師の配置が義務付けられている施設です。
- Ⅰ型:入居者48人あたりに医師1人
- Ⅱ型:入居者100人あたりに医師1人
一定の医療設備も備えられており、医療ニーズが高い方に対応できます。
ターミナルケアやみとりも行っています。
1-2.介護老人保健施設
病院から退院後すぐに在宅生活に復帰できない方が、数カ月程度滞在する施設です。
理学療法士または作業療法士が常勤しており、リハビリを重視している人に向いています。
入所申し込みをしてから3~6カ月くらいで入所できることが多いのが特徴です。
ただし長期の入居はできません。
1-3.特別養護老人ホーム
原則的に「要介護3以上」の認定を受けている方が対象の施設です。
介護保険の適用があり、低価格で利用でき、みとりまで対応してくれます。
待機者が多く、なかなか入居できないのがデメリットです。
また日常的な医療ケアが必要な場合は入所できないことがあります。
1-4.ケアハウス
運営費に国庫補助があるため、経済的な負担が比較的小さい「軽費老人ホーム」の一つです。
自宅での単身生活に不安があったり、家族の援助が得られなかったりする60歳以上の高齢者向けです。
- 一般型:家事などの生活支援サービス付き
- 介護型:生活支援サービスに加え、介護サービスの利用が可能
待機者が多く、入居までに数年かかることが多いようです。
1-5.グループホーム
認知症の方が5~9人程度の少人数でユニットをつくり、専門職員からサポートを受けながら共同生活する施設です。
入居者ができることに応じて家事の役割を担いながら暮らすのが特徴です。
できることを自分で行うことにより、認知症の進行を防げると考えられています。
1-6.住宅型有料老人ホーム
介護が必要のない自立の方から、軽度の介護が必要な方が入居する施設です。
入居時に入居一時金を払い、利用権を得る契約形式です。
基本のサービスは食事の提供・生活相談・見守り・安否確認などです。
それ以外の身体介護・機能訓練などのサービスは、利用したサービス分だけ課金されます。
1-7.サービス付き高齢者向き住宅
介護施設ではなく住宅として扱われる住まいです。
入居時に敷金を払い、賃貸契約を結びます。
外出や外泊が自由なところが多く、自由度の高い生活を送れます。
基本のサービスは食事の提供・生活相談・見守り・安否確認などです。
それ以外の身体介護・機能訓練などのサービスは、利用したサービス分だけ課金されます。
- 一般型:外部事業者により介護サービスが行われます。
- 介護型:内部介護職員により介護サービスが行われます。
1-8.介護付き有料老人ホーム
本格的な介護・生活支援・看護・リハビリなど広い範囲のサービスを受けられる施設です。
入居時に入居一時金を払い、利用権を得る契約形式です。
介護保険サービスは入居する施設において定額で行われます。
- 介護専用型:要介護の方のみ利用可
- 混合型:自立・要介護どちらの方も利用可
2.認知症の介護施設の選び方
認知症の方が利用できる介護施設を選ぶ場合の主な要因は、認知症の方の要介護度と介護施設の費用相場です。
介護サービスが多いほど便利なことは確かですが、それだけ費用も高くなります。
予算の範囲内で、より多くの介護サービスを得られる介護施設を選んでください。
2-1.認知症の方の要介護度
認知症といっても軽度から重度まで幅広くあり、身体的な合併症によっても要介護度が変わります。
介護度の低い方は、介護サービスが比較的少ないケアハウス・グループホーム・サービス付き高齢者向き住宅・住宅型有料老人ホームなどの利用が可能です。
介護度の高い方は、介護付き有料老人ホーム・特別養護老人ホームの利用が必要です。
また医療ニーズの高い方は、介護医療院・介護老人保健施設の利用が必要です。
年月がたって要介護度が変われば、施設を転居することがあります。
2-2.認知症の介護施設の費用相場
介護施設によって費用相場が変わってきます。
一般的には、公的施設より民間施設の方が費用は高く、民間施設において介護サービスの量が多いほど費用は高くなります。
また介護施設の立地条件でも費用が変わり、地方よりも都会のほうが、同じ地域でも主要駅に近いほうが費用は高くなります。
各施設の月額費用相場を示します。
- 介護付き有料老人ホーム:14.5~29.8万円
- サービス付き高齢者向き住宅:11~20万円
- 住宅型有料老人ホーム:8.8~13.8万円
- グループホーム:8.3~13.8万円
- ケアハウス:7.5~12.4万円
- 特別養護老人ホーム10~14.4万円
- 介護老人保健施設:8.8~15.1万円
- 介護医療院:8.6~15.5万円
3.認知症の方を介護施設に入れるタイミング
介護施設に入れるタイミングは、在宅での生活に限界を感じた時です。
たとえば以下のようなケースです。
- 介護者の身体的・精神的な疲労が限界にきた時
- 介護者が始終そばにいられず、転倒や誤えんのリスクを感じる時
認知症は進行性の病気であり、年月とともに介護度は上がってきます。
また介護者も加齢とともに体力が落ちていき、介護負担も増していきます。
ですから介護期間が増えるほどに、介護施設に入れる必要も増してきます。
3-1.認知症の介護施設に拒否されて入れないことはある?
医療的なケアが必要な場合は入所を拒否されることがあります。
- 入院治療が必要な方
- 人工透析・人工呼吸器管理・気管切開後の処置が必要な方
- 点滴・経鼻栄養が必要な方
- 精神科での専門的な治療が必要な方
- その他医師が医学的判断に基づき施設入所が困難と判断した方
まとめ
認知症の方が利用できる介護施設には、介護医療院・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・ケアハウス・グループホーム・サービス付き高齢者向き住宅・住宅型有料老人ホーム・介護付き有料老人ホームの8種類があります。
認知症の方が利用できる介護施設を選ぶ場合の主な要因は、認知症の方の要介護度と介護施設の費用相場です。
予算の範囲内で、より多くの介護サービスを得られる介護施設を選ぶとよいでしょう。
また介護施設に入れるタイミングは、在宅での生活に限界を感じた時です。
この記事を参考にして、認知症の方に最適な介護施設を選んでください。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:認知症 投稿日:2024年3月19日
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