精神科訪問看護に必要な書類シリーズ第3弾~精神科訪問看護報告書の書き方~
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今回は「精神科訪問看護に必要な書類シリーズ」の第三弾として、精神科訪問看護報告書について解説します。
精神科訪問看護報告書とは?
精神科訪問看護サービスを提供する際には、必ず主治医が作成した精神科訪問看護指示書が必要です。
利用者に対する精神科訪問看護サービスの内容を主治医に報告するための書類が精神科訪問看護報告書です。
この報告書は、主治医との連携による適切な訪問看護提供の為、少なくとも月に1回、定期的に主治医に提供しなければならないこととされています。
月のうち、どの時期に提出するという決まりはありませんので、毎月の訪問が必要な利用者の場合は、月末までの報告内容を翌月の上旬に提供すると良いでしょう。
また、提供の義務はありませんが、相談支援専門員[※1]やケアマネジャー[※2]に報告書を提供する場合もあります。
相談支援専門員やケアマネジャーは、精神科訪問看護師のように定期的に自宅へ訪問するわけではありませんので、利用者の生活状況を直接目で見る機会は少ないです。
報告書で、利用者のADL(日常生活自立度)の変化やニーズなどを共有することで、訪問看護以外のサービス利用についてもより充実させることができます。
報告書の提供もひとつの多職種連携の形と言えるでしょう。
※1相談支援専門員:何らかの障害を抱える人やその家族が必要なサービスなどを受けられるよう、障害福祉サービスの計画立案やコーディネートをする職種のこと
※2ケアマネジャー:介護保険法における要介護・要支援認定を受けた人及びその家族に対して、介護保険サービスを利用できるようにケアマネジメントをする職種のこと
精神科訪問看護報告書の記載方法をチェック
ここからは、精神科訪問看護報告書の具体的な記載方法について、解説していきます。
①氏名・生年月日
利用者の氏名と生年月日を記載します。
②要介護認定の状況
介護保険法における要介護又は要支援の認定を受けている場合には、該当する認定状況に丸をつけます。認定を受けていない場合には、「自立」に丸をつけます。
③住所
利用者の住所を記入します。
④訪問日
当該月の訪問状況を記載します。記載の方法には以下のようなルールがあります。
- 基本的には、訪問した日を○で囲みます。
- 利用者の精神症状が不安定で、普段よりも頻回な訪問看護が必要な場合には、精神科特別訪問看護指示書が発行されることがあります。
- 精神科特別訪問看護指示書に基づいて訪問看護を実施した日は△で囲みます。
- 精神科特別訪問看護指示書では、1日に複数回の訪問看護を提供することが可能です。1日2回以上訪問した場合には訪問日を◎で囲みます。
- 精神科訪問看護の1回あたりのサービス提供時間は30分以上90分未満が基本です。
しかし、利用者の状態によっては、主治医から30分未満で訪問するよう指示が出ることがあります。
30分未満の訪問をした日には訪問日を✓します。
記載の仕方が複雑に思えるかもしれませんが、電子カルテを使用している場合は、自動的に毎月の報告書に反映されます。
訪問しているはずの日に印がない場合は、記録が抜けている可能性があるので、訪問日の欄もしっかりと確認しておきましょう。
⑤病状の経過
当該報告月における利用者の病状を包括的に記入します。相談支援専門員やケアマネジャーに報告する場合には、ADLの状況なども詳しく記載すると良いでしょう。
⑥看護の内容
利用者に提供している訪問看護サービスの内容を記載します。
⑦家族等との関係
一般の訪問看護報告書では、この欄は「家庭での介護の状況」になっていますが、精神科訪問看護報告書では「家族等との関係」となっています。精神科訪問看護では、利用者が周囲の人とどのようにコミュニケーションを図っているのかアセスメントする視点が大切だからです。
利用者と当該利用者の家族、友人等との対人関係について記入しましょう。
⑧衛生材料等の種類・量の変更
主治医から医療行為の指示が出て、利用者に対して主治医から提供されている衛生材料を使用した場合に記載します。
例えば、創傷処置をした場合のガーゼやテープの使用などが該当します。
処置内容が変更になり、衛生材料について変更が必要な場合はその旨を記載します。
⑨情報提供
訪問看護情報提供療養費とは、利用者の同意を得て、市町村や特定の施設、医療機関などに訪問看護情報提供書を用いて情報提供した場合に、訪問看護ステーションが算定することができるものです。訪問看護情報提供書を作成した場合には、提供先と提供日を記載します。
⑩特記すべき事項
利用者のサービス提供にあたって特記事項があれば記入します。
⑪GAF
当該月最初の訪問時に評価したGAF尺度を記載します。
GAF尺度の評価方法については、別の記事で紹介しているので、そちらも読んでみてください。
さいごに
以上が精神科訪問看護報告書の記載方法です。
利用者へのサービスを提供するにあたって必要な公的書類の為、しっかりと記載方法をマスターしましょう。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:訪問診療/訪問看護 投稿日:2023年11月3日
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