リワークを選ぶ7つのポイントとは?悩みに合わせて選ぶ方法を解説
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メンタルヘルス不調による休職中に行う治療の1つとして、リワークがあります。
リワーク施設にはさまざまな特徴があるため、どれを選べばよいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リワーク利用を考える際に悩みがちな7つのポイントに沿って、リワークの選び方を紹介します。
「費用を抑えたい」「復職後も会社と連絡を取ってほしい」などさまざまなニーズに合わせて選べるような内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
「東京や横浜のおすすめのリワークが知りたい」という方はこちらの記事もおすすめです。
悩み①:どの場所・エリアのリワークに通えばいいか分からない
リワークでは、週に3日もしくは5日など、決められた日数に規則正しく通うことで、病状の安定を図っていきます。
定期的に通うため、通所する場所は自宅からどれくらいの距離が良いのか、迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
リワーク施設をネット検索で調べていると、数字だけで判断してしまい、実際通うと負担だったということがあります。
そのため、リワークを決める際には、実際に通うことをイメージして選ぶことが大切です。
通所するために通う時間の電車の混雑度や駅から歩く所要時間など、具体的なイメージから通えるかどうかを判断するとよいでしょう。
また、復職や転職後の職場に近い立地を選ぶこともおすすめです。
例えば、休職中の職場が繁華街にある場合は、それに近い場所を選ぶとリハビリになります。
リワークの場所は、距離の近さだけでなく、通えるかどうかという視点や、復帰後を想定して考えるとよいでしょう。
悩み②:どんなリワークプログラムが必要か迷っている
リワークでは、運動や模擬的なオフィスワークなどでリハビリを行い、休職の原因を分析し再発しないように取り組みます。
そのためにさまざまなプログラムに取り組みますが、施設により提供されるプログラムの種類は多岐にわたるため、選び方が難しいでしょう。
リワークプログラムは、以下のように「リハビリ系」「心理・キャリア系」「身体系」の3つのプログラムに分かれます。
- リハビリ系:オフィスワークや創作活動などを通して、作業能力を回復させる
- 心理・キャリア系:集団認知行動療法やキャリアデザインなどにより、ストレス対処能力や働き方を見直す
- 身体系:運動や認知機能トレーニングなどを通して、体力や集中力の回復をはかる
病状が完全に回復しておらず、身体を慣らす目的で通いたい人には、リハビリ系や身体系が充実しているところを選ぶとよいでしょう。
「自分を振り返りたい」「コミュニケーション力を高めたい」という人は、心理・キャリア系が充実している施設がおすすめです。
リワークで行われるプログラム内容については、こちらの記事もご覧ください。
悩み③:通所にかかる費用を抑えたい
休職中は収入がない状態であるため、できるだけリワークにかかる費用を抑えたいという方も多いのではないでしょうか。
できるだけ費用を抑えたい場合は、医療や福祉制度が活用できる施設を選ぶとよいでしょう。
最も費用がかからないのは、障害者職業センターで実施される「職リハリワーク」です。
公務員以外の方は無料で利用できます。しかし、定員が決められており、すぐに利用できないこともあるでしょう。
医療機関は、医療保険の枠組みで料金が決まるため、原則3割負担です。
ただ、自立支援医療制度を利用すれば1割負担にまで軽減できます。
自立支援医療制度を利用した場合、1日6時間の利用で1回800円程度という料金が多いでしょう。
福祉施設(株式会社)は、自立訓練・生活訓練の枠組みになりますので、年収によって異なります。
年収600万円までの方では、医療リワークと同等の自己負担です。
自治体によっては、リワークに通うための交通費や食事代の助成制度があるところもあります。
お住まいの自治体で制度がないか確認してみるとよいでしょう。
昼食を無料提供しているとことが多く、実質的にお昼ご飯代くらいの負担であることが多いです。
リワークにかかる費用については、こちらの記事もご覧ください。
悩み④:早く復職したい/じっくりリワークに通いたい
リワークの開始から終了までの期間は、施設によって差があります。
「経済的な余裕がなく、早く復職したい」という方もいれば、「じっくり取り組みたい」という方もいるでしょう。
医療機関であれば、利用期間が決められているところが多く、平均6~7か月を1単位として組まれていることが多いでしょう。
病院によっては、2か月程度の短期集中で復職を目指すプログラムや、離職者も含めた1年単位のプログラムも実施されています。
障害者職業センターでは、プログラムが3カ月と決められており、その期間で復職を目指すことになります。
就労移行支援事業所では、最大2年まで利用可能ですが、早ければ2か月、平均して6ヵ月程度で復職する方が多いようです。
生活リズムが整っていて、外出する習慣も戻ってきているようであれば、短期間のプログラムでも問題ないでしょう。
一方で、生活リズムの安定や体力の回復から取り組む必要がある場合は、6ヵ月コースのプログラムを選ぶとよいでしょう。
悩み⑤:リワークの雰囲気が自分に合うかどうか心配である
リワークは2~6ヵ月程度通うことになるため、リワークの雰囲気が自分に合うのか不安に感じることもあるのではないでしょうか。
他の通所者の方や、スタッフによってリワーク施設の雰囲気は左右されます。
可能であれば、見学に行って実際の雰囲気を確かめてみることがおすすめです。
見学の際には、以下のようなポイントに注目するとよいでしょう。
- 施設の雰囲気:明るく活発、落ち着いている、真面目
- 集団活動の様子:前向きに取り組む人が多いか
- スタッフ:気軽に相談できそうか、親しみやすいか
- 環境:個別スペースの有無、広さ
見学は、通所したいと考えている時間に行うと、より具体的にイメージができます。
見学してみて、「自分には合わないな」と感じたら、他のリワークも見学してみるとよいでしょう。
悩み⑥:休職中の会社に復職するか迷っている
リワークは、基本的には休職中の方が現在の会社に復職するための治療プログラムです。
しかし、復職自体を迷っており、転職も視野に入れて治療に取り組みたいという方も少なくありません。
転職も視野に入れてリワークに通いたい方には、就労移行支援事業所が運営するリワーク(生活訓練・自立訓練)がおすすめです。
必ずしも復職を目的としない場合でも、リワークプログラムに参加できることが多いでしょう。
一方で、医療機関で行われているリワークは、現在の会社に復職することが条件として決められているところがあります。
中には、転職を検討している方や、現在仕事をしていない方も利用できる場合があるので、確認してみましょう。
悩み⑦:復職後もサポートしてもらえるか
十分に回復し復職したとしても、再び体調を崩して休職してしまうケースが少なくありません。
しかし、復職後に心身の不調が表れたとき、「○○が原因で体調を崩していて、勤務時間を短くしてほしい」などとお願いするのは気が引けるでしょう。
施設によっては、リワークのスタッフが間に入り、「程よく働けるにはどんな方法があるか?」というポイントを話し合う連携を行っているところもあります。
また、「アフターリワーク」などの名称で、定期的に復職後も通所し、グループで振り返りを行う場合もあります。
リワークは復職すると終わりではなく、再休職を防ぐためには復職後のサポートが重要です。
リワーク施設を探すときには、復職後も連携を取ってサポートしてもらえるかを確認するとよいでしょう。
分からない点は主治医やスタッフに確認しましょう
リワーク施設は多数あり、自分に合う施設がどこなのか判断がつかないことがあります。
本記事でご紹介した7つのポイントをもとに、通所するときのイメージを膨らませながら、確認していくとよいでしょう。
しかし、ネット検索など自分で調べるだけでは限界があります。
主治医に自分の病状から考えて最適なリワーク施設はどこかを聞いたり、見学時にスタッフに疑問点を尋ねてみることがおすすめです。
病状や復職後の目標や働き方に応じて、自分に合ったリワーク施設を選びましょう。
当法人でも、武蔵小杉こころみクリニックに併設する形で大規模リワーク施設「こころみベース(COCOROMI BASE)」を運営しています。
東京方面からもアクセス良好ですので、よろしければご検討ください。
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【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2023年6月9日
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